清水

私のイメージの中では、少年が、
貧乏生活もしてきた、孤独も知っている子が、
いつの間にか70人超える会社を作ってるって、
すごいサクセスストーリーでもあるじゃない？
そういう人が一番怖いのってやっぱり
健康じゃなくなることとか、死ぬことかなって思ったの。

糸井

いや、それは別に怖いとかじゃなくて、
責任があるんだよ。それだけのことだよ。
だから、忙しいんだよ。

清水

へえ。「もうやめたいっ」ってならない？

糸井

やめたいって言っちゃいけないじゃん。

清水

ああ、そうね。

糸井

清水さんも「私は倒れちゃいけない」っていうことは
きっと思ってるでしょう？

清水

本番で倒れちゃいけないとは思うけど、
でも、やっぱり糸井さんのスタンスとは全然違います。

糸井

そうか。でも、その色、形、大きさは違うけども、
そこは大人はみんなあるわけで。
そこはもうしょうがないよね。

清水

そうだね。

糸井

で、まんざらでもないみたいなとこあるじゃないですか。
「皆さん、お元気ですか」って言ったら、
「元気でーす！」って返ってくるとか、
武道館で面白いことして、ワーッて湧くみたいなのとか。
そういうのも含めて、私じゃないですかやっぱり。

清水

そうか、うん。

糸井

だから、やれるうちはやろうって。
ただ、もう引退の準備をしながら
一生懸命やってるみたいな状況ですよ。

清水

あ、本当？

糸井

うん。得意で社長やってるわけじゃないから、俺。
金儲けの種をもっとぼくにやらせるには、
早く社長をやめさせてあげたほうがいいかもとも思うんだよ。

清水

なるほど。使ったほうが。

糸井

うん。そこはだから、何とも言えなくて、
こういう変な社長だからできてることもあるし、
逆に社長がブレーキをかけてる部分もあるし。
そこは何とも言えないんだけど、
まあ、年取ったらよしたほうがいいなと思って。
　
ずっとしゃがんでたあとで、
立ち上がったときに、ひざが痛いもん。

清水

なるほどね（笑）。

糸井

清水さん、これから先どうするみたいなこと考えるの？

清水

先どうするは考えないけど、占いに行ったときがあって（笑）。
そしたら、なんか車椅子に乗って演芸やってるって。

糸井

ああ（笑）。
でも、それを拍手で迎える人がいる限りは、OKですよね。
車椅子に両側に龍をつけてね、雷様みたく、雷鳴と共に登場。
「さあ、笑え！」、ドワワワァー！

清水

ここだぞーって、ドラが鳴ったりして（笑）。
笑えないです（笑）。

糸井

あ、じゃ、考えたくないのはあるんだね。

清水

うん、そうですね。
でも、私、不幸になるような気がしない。

糸井

ああ。それがすべてだと思うね。
その「運悪くないし」みたいなね。

清水

うん、そうね。

糸井

ボーフラでもそうなんだよね。

清水

ん？

糸井

ボーフラでも多分そうなんだよね。

清水

何？

糸井

ボーフラってあの‥‥

清水

あ、ボーフラ（笑）。失礼だな、この会社（笑）。

糸井

いや、あんなやつらでも「運悪くないし」と思ってると思う。

清水

やめてよ（笑）。

糸井

いや、思ったのよ。俺、孫ができたじゃん。
で、見てるとね、うらやましいの。

清水

あ、楽観性？

糸井

うん。それないとやっぱり生き物ってダメでさ。

清水

うまくいく人は大体そういう人多いからね。

糸井

そうそう、そうなんです。
　
まあ、清水さんのサクセスストーリーを
順番に語っていくような企画にはならなかったけれども（笑）。

清水

やり直して、これ（笑）。

糸井

（笑）。
俺、4年か5年前、最初の武道館をやったときに、
ああ、清水さんもボスになったんだと思ったよ。
立候補しないのにボスになった人って一番いいなと思ったよ。

清水

ああ、武道館？　うーん。

糸井

何ていうんだろう、利害関係なく集まってんじゃん。
その場所に立つのって、なかなか大変なことでさ。
だけど、目指したわけでもなく、
人の世話をしてきた覚えもない。

清水

うん。ボーフラ扱い、あんまりだな（笑）。
　

清水

でも、若い頃は思ったの。
私も永六輔さんみたいになって、
新人のライブを見に行って「こうしたほうがいいよ」とか
背中を押してあげるようなおばさんに
なれたらいいなと思ったけど、
やっぱり自分は自分でいっぱいいっぱいなのよね。

糸井

つまり、してないって。

清水

してなーい。これからもしなーい（笑）。

糸井

（笑）。
でも、「こんなんでもいいんだよね」は見せてるよね。

清水

うん、そうだね。こんなんでも大丈夫ですよって（笑）。

糸井

例えば清水ミチコがゲストなんだけど、
結局二言ぐらいしかしゃべんなくても、
お笑いの本職の人だとわりと気にするんだけど、
全然気に（笑）‥‥。

清水

しない。しょうがないじゃんつって（笑）。

糸井

まあ、ピアノも弾くしみたいな（笑）。
そういう、全部アリですよねっていうの、
ちょっといいですよね。

清水

うん。
初めて客観的に自分を見たような気がした。

　　　　　　　　　　　　　＜つづきます！＞