もくじ
第1回青春時代はハガキ職人 2018-02-05-Mon
第2回共感させる芸 2018-02-05-Mon
第3回永ちゃんの責任感 2018-02-05-Mon
第4回解像度とモノマネ 2018-02-05-Mon
第5回この先の話 2018-02-05-Mon

大学4年生で春から社会人。ライターをするのは初めてです。好きなものはお米。

清水さんと話す、モノマネについて</br>清水ミチコ×糸井重里 対談

清水さんと話す、モノマネについて
清水ミチコ×糸井重里 対談

第4回 解像度とモノマネ

糸井
どうして声が似るのっていうのは聞かれたことある?
清水
ああ、ない。どうして似るんだろう(笑)。
糸井
おかしいよね。しゃべりの癖を似せるのはできるよ。要するに、ここがこうなんだなとかいうのを再現してるわけでしょ?
清水
そうそうそう。
糸井
それはできるんだけど、声の質まで似るのはなんでだろう。
だってユーミンと矢野顕子、似てないじゃん。
清水
うん、似てないですね。全然違う(笑)。
糸井
どうして清水さんが挟まると(笑)。
清水
うーん。自分ではわかんないな。どうしてなんだろう。
モノマネって、あんまり自分の何かを表現したいってものがない人が得意かもね(笑)。
「私の歌を聴いて」って気持ちに全然ならないけど、「私が演じる誰かを聴いて。面白がって」っていう気持ちにはすごいなる。
モノマネしてる人ってみんなそうだけど、10代のときに影響された人ばかりやってて。30代、40代超えてからは、増えたレパートリーっていうと瀬戸内寂聴さんぐらいで(笑)。
糸井
ということは、今流行ってる、誰か若い歌手のマネしなさいって言われたら、あんまりよくできないんですか。
清水
そうですね。
糸井
例えば、水の中に氷が浮かんでますっていうスケッチとかって、絵描きさんは描けるじゃないですか。それはカメラの解像度と一緒で、そこにピントが合って見えてるから描けるわけですよね。
でも、ぼくらはその氷が浮かんでるところがうまく見えてないんですよ。
解像度が低いから、描きようがない。
清水
そうそうそう。本当確かにそう。
安室奈美恵さんがやめるっていうときに号泣したりとか、そういう人たちの気持ちに1回なろうと思うんだけど、やっぱりなれない(笑)。
糸井
その世代の清水ミチコがいたら、安室奈美恵のコピーができてるんだろうね。
清水
うん、きっとそうだと思いますね。
糸井
だから、絵描きは自分たちと違うものが見えてるから描けるっていうのと、モノマネで似させるのは、おそらく同じなんだろうなと思いながら、今日、清水ミチコさんに会って。
あ、できないんだって(笑)。
清水
聞こえ悪いな(笑)。
糸井
つまり、10代のとき夢中になった人はできるってことは、そのときは受け止める側の細胞が、脳細胞がパッチンパッチンになってるんだ。
清水
歌で泣いたりとか、一緒に喜んだりとかしてた感受性が、もうやっぱりこの年になって今の歌手の人には出ないんですよね。
糸井
脳がついてってない(笑)。
清水
多分、うん、解像できない。
糸井
そういう部分で、年とってからでも好きになった人はいるっていうのは多少はある?
清水
だから、瀬戸内寂聴さんとか、山根会長とか(笑)。
なんか面白がりましょうよっていう気持ちはやっぱりあるから。
糸井
ああいうモノマネは、普通の人が意に介してないものを、ちょっとピントを合わせて見てるんだよね、きっと。
清水
あ、そうですね(笑)。
糸井
だから、商売にするにはちょっと、本当は足りないでしょうね。
ユーミンと山根会長を比べると、完成度が(笑)。
清水
全然違う違う(笑)。
あとは大坂なおみさんかな。
「スゴク、ツカレタ」(笑)。
糸井
ああ(笑)。
清水
めっちゃかわいいですもんね、あの人。
そのくらいですかね、ここ最近は。
第5回 この先の話