もくじ
第1回中央線が嫌いだった。 2019-02-26-Tue
第2回中央線と友だちになる。 2019-02-26-Tue

北国出身です。料理すること食べることが好き。

中央線で過ごした10年。

中央線で過ごした10年。

担当・さとりえ

第2回 中央線と友だちになる。

東京にいる時間は、すぐに過ぎていきます。
毎年7月1日がくると、
「今日で東京に来て何年だなぁ」と思い返します。
去年は東京に来て10年。
気づいたら仙台にいた時間の倍以上、東京にいました。

最初に働いていた代々木オフィスは、
東京に来て2年目のときに閉鎖になり、
今は別の会社で働いています。

最初に住んだ阿佐ヶ谷の家は引っ越し、
西荻窪を経て、
今の住まいは三鷹にあります。

中央線が「嫌い」だったのに
中央線で引っ越しを重ねています。

10年間のうちに、
気づいたら中央線が「好き」になっていました。

今回エッセイを書くにあたり、
「好き」の気持ちを振り返ってみたら、
「中央線と『友達』になった」
という気持ちが近いかなと思います。

どうして気持ちが変化したのでしょうか。

だんだん仕事に慣れてくると、
週末に外出する余裕ができてきて、
毎週末は中央線のどこかの街を散歩。
その街のお店で、
ご飯を食べたりコーヒーを飲んだりしていました。

そういうことを毎週繰り返していると、
同じ中央線でも、
街によって雰囲気がガラリと違う、と
わかるようになります。

街がまるで、個性を持った「人」のように
感じられるようになりました。

たとえば阿佐ヶ谷は、初めて住んだ街ということもあるので、
同年代の「女友だち」。

西荻窪は、個人経営の美味しい和食のお店や、
遅くまで営業している古本屋がたくさん。
自分の知らない世界を見せてくれる、
「先輩」のような存在。

その街のことを
少しずつ知っていく=好きになっていくと、
なんだかその街と「友だち」になれたような気持ちになり。
その街に遊びに行くときは、
まるで街に「会いに行く」ような感覚になっていきました。

そして、中央線沿線で、
会いたい友だちもできました。

中央線の好きなお店で、友だちとお酒を飲みながら、
最近の仕事や美味しかったお店について話すのは
とびきり幸せな時間です。

10年前のわたしは
東京で友だちを作れると思っていなかったので、
なんだか奇跡みたいだと感じます。

上京前に持っていた、
「きらびやかで、何もかもが手に入る」という東京のイメージ。

いまこうして振り返って、
「何もかもが手に入る」にはほど遠いけれど、
10年間で「中央線」という好きな場所や、
会いたい友だちができたのは
自分にとって大切な財産です。

これからもし中央線を離れることがあっても、
中央線を好きな気持ちや過ごした時間は
ずっと心の引き出しの中にあるんだと思います。

そして、別の街に住んだとしても、
その街とも「友だち」になれたらいいな、と思っています。

(おしまいです。最後まで読んでいただきありがとうございました。)