もくじ
第1回おばぁは怒らない 2019-02-26-Tue
第2回加速度的に老いは進む 2019-02-26-Tue
第3回おばぁは、今幸せ? 2019-02-26-Tue

地方で編集・ライターをしています。
おいしいものと心地いい陽気が好きです。

私の好きなもの 94才のおばぁとのお茶

私の好きなもの 94才のおばぁとのお茶

担当・カワノリナコ

第2回 加速度的に老いは進む

おばぁは今も元気だ。
庭の草を抜き、手洗いで洗濯をするのが日課だ。
「おばぁは風邪は引かないさ」と笑い飛ばす。

けれど、やっぱり確実に年は取っている。
おばぁは何年か前から「火を扱うのが危ない」と料理をしなくなった。
「意味が分からない」とテレビを見なくなった。
「歩けないから」と私の結婚式には参加しなかった。

この1年、加速度的に老いは進んでいる。
声をかけてからの反応がゆっくりになった。
目はほとんど見えていないみたいだ。
おしゃべりをしていてもボーッと違うところを見ることが増えた。
会うたびに年を取っているなぁと思う。

こんなことだったら、と後悔していることがある。
数年前におばぁと妹とおばさんと私でドライブに出かけた。
おばぁが昔と変わった街並みを見たいと言ったから。
半日かけて市外を回った。
なんてことのないドライブだったけれど、
遠出をすることがほとんどないおばぁはすごく喜んでくれた。
「1年後にでも、また行けたらいいねぇ」とおばあが言って、
「そんなに後じゃなくても、いつでも行けるよ~」と
みんな笑ったけれど、結局その後行くことはなかった。
おばぁはだんだん歩きづらくなって、外に出なくなったから。

ドライブにもう一回行っておけばよかった。
もっと元気な時に旅行にだって連れていきたかった。
人は変わるし、時間は思っているよりも有限だ。

おじぃは数年前に亡くなった。
認知症になって入院し、だれのことも分からなくなって、
最後はごはんも食べられなくなっていた。

おばぁとお茶ができるのは、あとどのくらいだろう。

第3回 おばぁは、今幸せ?