私はおばぁにとって初孫で、小さなころからそれはそれは可愛がられた。
実家とおばぁの家は同じ敷地で、一緒に過ごす時間は多かった。
妹ができても「おばぁ抱っこして」と甘えたし、
親に怒られたらおばぁの家に逃げ込んだ。
私に問題が無いから、怒られなかったわけではない。
その昔、私は病的に忘れっぽい子どもだった。
小1の時、書道教室にランドセルを忘れた。
忘れ物を繰り返すことに怒った母親に
「自分で取りに行きなさい!」と家から出されて行方不明に。
周囲を巻き込んで大騒ぎになった。
まぁ、母が怒るのも当然なくらい私の忘れ物はひどかったのだ。
ランドセルや体操服、教科書とあらゆるものを忘れては、
おじぃが小学校まで自転車で届けてくれた。
おばぁが歩いて届けてくれたこともあった。
家から小学校までは約2キロ。
車が無いと、地味に遠い。
何回?と聞くと苦笑されたから、数えきれないのだろう。
「何で怒らなかったの?」と聞いたら「何で怒るかー」と笑われた。

おばぁのことは大好きだったけれど、
思春期になっておばぁの家に行く回数は減った。
大人になってからも、何となく足が遠のいていた。
おやつを食べても食べても
「もっと食べなさい」と言われると返答に困ったし、
「何を話そうか」と考えるのもちょっと面倒だった。
おばぁとお茶をするようになったのは、6年くらい前。
おばぁとお茶をしていた妹が県外に行くことになり、
誰も行かないのは寂しいだろうなぁと、努めてお茶に行くことにした。
行き慣れると、会話が続かないのは気にならなくなった。
まったりお茶をしながらお菓子を食べるのは、ホッとできる時間になった。
そんなおばぁとのお茶はうれしいけれど、最近ちょっと切ない。