財務オタクすぎて財務官と呼ばれている先輩。
講義は続きます。

「企業の個性が出るという意味では、
同じ業界でも財務諸表は全く違うということだ。
例えば野球の球団でも、球場を持っている球団と
持っていない球団では財務諸表は大きく変わる。」

「企業の財務諸表を単体で見ていても、
個性には気付けないかもしれない。
でも、他の年のものと比べたり、他の企業と比べたり。
そうすることで今の企業の様子が見えてくる。」

例えばBSを比べるときの方法として、
実際の数字に合わせてグラフの大きさを変える
という方法を教えてくれました。
試しに自動車業界のトヨタとマツダを見てみると、
トヨタがいかに大きな企業かが分かります。

もちろんBSが大きいと良い企業というわけではないので、
ROAだのROEだの呪文のような分析指標を生み出し、
企業のことを正しく知ろうとみんな頑張っているのですが。

「ね、面白くなってきたでしょ？
全く知らないから面白くないしとっつきにくいけど、
少しでも知ると面白いと思うんだ。」

確かに、ちょっと眺めてみるだけならいいかも…。
愛おしそうに話す先輩を見ながら、
ちょっとそんな気持ちになってきました。

「最後に。最初にも言ったけど、
企業の活動によって財務諸表は変わる。
例えばもっと設備を拡大してたくさん商品をつくりたい！
というメーカーがあれば、設備投資をたくさんしてるだろう。

企業がやりたいと言っていることと、
投資している内容は一緒かな？
という視点で見てみるとまた面白い。」

「これは自分の家計を見直すのにも役立つ。
例えば将来ハワイに移住するぞ！という夢があるなら、
そのための貯金や、英会話にお金を投資する（使う）べき。
でも実際の日々の投資は、お洋服だったりコスメだったり…
他のことだったりする。」

そう言って先輩はまさに給料が入り次第洋服やコスメに
お金をかけている私を見ました。

「いや、私にとっては、
ハワイ移住より好きな洋服で過ごすことが大事なんです」

そう言うと先輩は嬉しそうに笑います。

「そう。こうやって財務諸表に個性が出て来るんだ。
普段なんとなくお金をつかっているかもしれないが、
自分という会社は何を成したくて、何に投資すべきか。
一度考えてみると、きっと君らしい財務諸表ができるよ。」

最後はいつの間にか企業でなく個人の話になっていました。
でもそうすることで、より財務諸表が身近になってくる。
日々お金を使う際も、「これは何のための投資だろう」
と思うようになりました。

ちょっと見てみたい、自分の財務諸表つくってみたい。
そう少しでも思ってもらえたら今日はとっても嬉しいです。

上場している企業の財務諸表は、
インターネット上で公開されています。
ということはほぼ日のものも、見れるということ。
ぜひ気になる企業の財務諸表を、見てみてください。

（終わり）