ここから本題ですが、
では具体的に、テン泊(テンパク)の何がいいのか。
はじめに、テントじたいの物理的なよさから。
軽くてコンパクト、丈夫で、
どこにでも持っていけるから節約にもなる。
ちなみにテントにはいくつか種類があって、
大別すると、いわゆるアウトドアキャンプ用のテントか
「山岳テント」、つまり登山用のテントになると思います。
私たち夫婦が使っているのは、その山岳テントのほうです。
車で運ぶことの多いキャンプ用とちがって
人がかついでいくことを前提としているので、
じつはそんなに重くありません。

これがうちの装備です。
一番上にあるのは寝袋で、それ以外がテント一式。
想像していたよりは、コンパクトだなと思いませんか?
山岳テントの場合、2人用でだいたい1.5キロ前後。
最近はどんどん軽量化が進んでいて、
1人用なら500g以下、というものもあるようです。
思い立ったらわりとどこへでも持っていけるので、
旅行先でもかなり活躍しています。
テントがあることで臨機応変に行動できるし、
宿泊費の節約にもなる。
私たちは買ってから1年くらいで、すぐ元がとれました。
たとえばこちらはスイスの広大なオートキャンプ場。
立派なキャンピングカーで来ている人だらけの中で、
こんなちんまりとしたテントはもちろん私たちだけでしたが(笑)。

たとえよく知らない場所でも、
テントをポンと置いた瞬間、
そこに自分の部屋ができた感覚になれるのがすごいところ。
薄いテントのカバーでおおわれただけなのに
なんということでしょう、
この安心感。守られてる感。
テントの中はほんわかと温かいので、
気持ちもおだやかになるようです。
これってもしかしたら、
母親のおなかの中にいたときの感覚‥‥?
私なんて、リラックスしすぎて
10時間、山のふもとのテントで熟睡したことがあります。
不眠になやむかたには、テント睡眠をぜひおすすめしたいです。
ただし注意点としては、音は基本的につつぬけです。
こちらの出す音も外に聞こえてしまいます。
お隣のテントが近い、なんていうときは要注意。
それでも、視界はさえぎられているぶん、
プライベート感はかなり保たれると思います。
それと、音で言えば、夜中にゴォーと風の鳴る音や
雨の打ちつける音にドキドキしたり、
外がそんなに荒れてるのに、テントの中は静かで、
ものすごく安どしたり。
そんなふうに外の様子を間近に感じながら過ごせるのも、
テン泊ならではの素敵なところだと思います。
自分はいつもと変わらないのに、いつもとおなじテントなのに、
目の前の景色が、聞こえてくる音がちがう。
いつもそんなワクワクがあります。
非日常の場所を訪れていても
そこでふだんのように起きて、着替えて、
ご飯をたべて、眠って‥‥と「生活」ができるテン泊。
山でも海でも、ただただ広い場所でも、実家の庭でも
きっと、どこでもいいと思う。
空を見ながら小さな鍋でお湯をわかすとか、
腰から下はぬくぬくと寝袋に入ったまま
テントの入り口から顔だけ外に出して歯みがきするとか。
私も自分が体験するまでわからなかったのですが、
これってすごく楽しいので、
みなさんにも、ぜひやってもらいたいなあと
思ったりしています。
道具にこだわったりおしゃれな感じにもできるけど、
私は、この生活感あふれるシンプルなテン泊が
とても好きです。
