東京で働いてはいるものの、岩手の紫波町というところで120年以上続く餅屋を継ぐかどうするかの瀬戸際にいます。先のことはわからないから、まずは頑張って生きます。

ポケットに短歌を

ポケットに短歌を

担当・髙橋元紀

すきなもの、と言われて「これ」と一切の迷いなく決められる人はどれだけいるのでしょう。
私はぜんぜん決めることができませんでした。
ありとあらゆることがすきだけど、
ありとあらゆるものに浅い思いしか持てない。

すきだなあと思えるものを頭の中の箱にいったんすべて入れて、
優先順位をつけてひとつひとつ、外に出していきます。

その箱の中に最後のひとつとして残ったものが「短歌」でした。
決してこれのために全ての時間を捧げるほどすきとは言えません。
その代わり、ふとした瞬間、気まぐれに遊びたくなる存在。
気心の知れた昔ながらの友人のよう。
それが私にとっての短歌です。

何首かの歌を紹介しながら、このエッセイは進みます。
読み終わった後に「短歌っておもしろいかも」と
思ってくれたらこれ以上にうれしいことはありません。

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