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第0回 2017-04-18-Tue

フリーで編集とライターをしています。
鳩サブレ勉強家です。

私の好きなもの</br>鉄道

私の好きなもの
鉄道

担当・マチコマキ

私の好きなものは「鉄道」です。

日本の鉄道史は、1872年9月12日
新橋と横浜間の29kmから始まりました。
2027年にはリニアモーターカーこと、リニア中央新幹線が
品川から名古屋間の開業を目指しています。

歴史と技術とロマンがつまった鉄道はファンが多く、
そのファン行動は様々な名称で呼ばれます。

電車の写真を撮るのが好きな、撮鉄。
電車の音が好きな、音鉄。
子供と一緒に電車を楽しむ、ママ鉄。
路線図が大好きな鉄道ファンもいます。
いろんな人の「好き」を受け止める鉄道は、
本当に懐が深いのです。

私と鉄道のこと、お話します。

ドクターイエローという新幹線があります。
新幹線のレールや架線・信号などを調べる
電気軌道総合試験車で、ついた愛称が新幹線のお医者さん。
めったに見られないため、
出会ったら幸せになるというジンクスも持つ
黄色い新幹線です。

とある日。
私は新神戸のカフェで、
ドクターイエローカレーを食べていました。
新神戸の駅は、ドクターイエローがたまに通るんですね。
今日あたり来るかもしれないよとカフェのご主人が言います。
ここは、鉄道カフェです。

カフェの中は精密な電車模型であるNゲージがあります。
白い壁には小田急のロマンスカーや
一般車両のビデオが映されていて
カレーを食べている間じゅう、その映像を見ていました。
私、小田急線がある神奈川から来たのになあ、
関西の鉄道が見たいなあ、と思いながら。

聞くと、ご主人は小田急線沿線に住んでいたそう。
脱サラして、新神戸に鉄道カフェをオープンしました。
鉄道に魅せられて仕事を変えちゃう。
こういうのが、すごく好きなんです。
鉄道への愛を感じます。

「阪神の打出駅の急加速はすごいんですよ。
ぜひ体験していってください」

ご主人にとって阪神電車は
いまや「私の路線」になっていました。

よし、阪神に乗ろう。

阪神・JR・阪急・JRと乗り継ぎ、
一番早く着く電車の3倍くらい時間をかけて、
神戸から京都へ向かいました。

その土地の在来線に乗るのは、冒険みたいなもの。
駅や車両はいつもと勝手が違うし、
知らない読めない駅名ばかり。
私は観光で来ているのに、
乗っている人のほとんどが地元の人。
ちゃんと目的地に向かっているのだろうか、
降りたい駅に停まるだろうか?
こんなハラハラやドキドキを経験できる、
その土地の在来線に乗るということ。

間違っても大丈夫です。
鉄道なら、乗り換えも引き返すことも簡単にできます。
ポイントは、時間をたっぷりと鉄道に捧げることだけ!

いっぽう新幹線は、眺めるだけでも楽しいものです。
東京駅・新幹線のホームでは、丸1日を過ごせます。
ほぼ5分きざみで発車し、到着する東海道新幹線のダイヤ。
芸術品です。
予定通りの運行を支える人たちのドラマが見えます。

JR東日本側の新幹線ホームもいい。
長旅を終えた新幹線がホームへ帰ってくるとき、
清掃スタッフの方たちが
一斉にお辞儀をする美しさといったら!

もちろん旅客に対しての一礼だと思いますが、
私には仕事仲間である新幹線へ
お疲れ様と声をかけているように見えます。


ホームに子供達が集まっていたら。
そこは、東北新幹線(E5系)と秋田新幹線(E6系)が
連結している位置でしょう。
盛岡で切り離され、また連結して帰ってくる。
ぴかぴかツルツルのボディの中で、
メカニックな連結器をちらっと見せるのが
とにかく、カッコイイのです。

九州新幹線には、思い出があります。
私が高校生の頃、
JRの西鹿児島駅は大きく改築されて
のちに鹿児島中央駅と呼ばれるようになりました。
九州新幹線開業に向けてのものです。

博多までの全線開通は、2011年の春。
まだまだ先だなあと思いながら、
私は飛行機に乗って上京してきました。
もう、18年経ちます。

初めて子供を連れて帰省したとき、
鹿児島中央駅は新幹線がやってくる駅になっていました。
ホームに停まっていたのは、
東海道新幹線「のぞみ」N700系をベースとした「みずほ」。

「これに乗ったら、新大阪まで行けるんだ」
行き先である新大阪の文字を見たとき、私は涙ぐみました。

大阪へ行くなら、飛行機のほうが早いじゃないか。
そうかもしれません。
でも、初めて九州新幹線と会ったときの私は、
閉塞感を抱えて地元を出たがっていた
高校生の頃に戻っていました。
道はずっと繋がっている、そんな明るさを感じたのです。

まだ九州新幹線には乗ったことがありません。
博多駅から乗ろうか、鹿児島中央駅から乗ろうか、
迷っているところです。

(おわり)


参考資料
・国土交通省「鉄道主要年表」「日本鉄道史」
・公益財団法人メトロ文化財団「メトロアーカイブアルバム」