実際に坊主頭になってみると、いいことがたくさんありました。
なんといっても、その解放感!
知らないうちに自分がとらわれていた
「世間」や「イメージ」から
抜け出すような快感がありました。
今ならなんでもできるかもしれない、と思いました。
どこか一点突き抜けると、これまでのしがらみも
まとめてどこかへ行ってしまうのかもしれません。
そして、「私は、私である」ということを強く感じました。
逆説的ですが、坊主頭にしてみても、
劇的な変化など起こりません。
わかったのは、
髪型ごときで自分は変わらないということです。
そして、自分がしたいことを実行するのは、
すこぶる気分がよい、ということ。
端的に言うと、自己肯定感が爆発するのです。
周りの人たちのことも、いっそう好きになりました。
正直なところ、坊主実行前には多少不安があったのです。
私が、ある種の奇抜な髪型になることで、
周囲はどんな反応をするのか。
離れていってしまう人はいないだろうか。
一緒にいるのを避けたがる人はいないだろうか、と。
しかし、これも杞憂でした。
私の坊主熱を知っている友人からは
「ついにやったか!」と笑顔で迎えられました。
なんの前触れもなく私の変化を目にした人たちも、
最初は一瞬驚くものの、「いいね〜」という言葉とともに
笑顔を向けてくれるのは同じです。
「え、ちょっと頭触らせて」と
普段ならありえないスキンシップまで生まれます。
人間関係はより深まったといえるでしょう。
坊主期にはじめて会った人は、
すんなりと坊主頭の私を受け入れてくれました。
人は思ったよりも、柔軟です。
外見なんかに惑わされません。
みくびっていた自分を恥じました。
そして、季節の移り変わりを、一日一日の空気の変化を、
肌で感じることができます。
真冬の寒さでさえ、心地よかったことをよく覚えています。
(これは単なる坊主ハイだったのかもしれません)
実際の生活のなかでも、嬉しいことがありました。
とにかくラクチンであること。
坊主ならば、シャワーやお風呂のあとは、
タオルで拭いた、乾いた、と一瞬で済みます。
寝癖もつかず、常に整った髪型(坊主)をキープできます。
髪が邪魔になることもなく、まとめる手間も不要です。
出産してからは特に、絶え間ない抱っこやら授乳やらで
心身ともに余裕が根こそぎ奪われます。
それに加えて、夜泣きやら授乳やらで寝不足。
時間が少しでもあるなら寝たい、という状態です。
ちょっとしたことで生まれる5分の余裕が、
なんと貴重なことか。
ありがとう、坊主!
また、産後は抜け毛がそうとう多い(らしい)のですが、
坊主頭だった私は、まったく気になりませんでした。
5mmの髪の毛は、風に乗ってどこかへ飛んで行ってしまったのかしら。
振り返ってみると、
坊主にしたデメリットはほとんど感じませんでした。
困ったことといえば、徐々に髪が伸びるにつれて、
頭がまりものように大きくなっていったことくらいでしょうか。
私は、出産後5ヶ月目に
(産休2ヶ月をあわせ、坊主実行から7ヶ月後)
職場復帰しましたが、
坊主からまりもを経て、
髪は短めのショートカットになっていました。
私は坊主であったことに気づかれることなく、
ふたたび会社に違和感なく溶け込んでいったのです。
まさに完全犯罪‥‥もとい、
仕事に支障をきたすことなく坊主を満喫することができました。
そしてその後、私は坊主頭&出産をさらに4回経験しています。
坊主になりたくて妊娠したわけではありませんが、
出産するなら坊主なのです。
一度知った心地よさは、手放せません。
とはいえ、出産もおそらく昨年の5人目が最後です。
これからは、坊主頭を日常に取り入れていく方法を
考えていきたいと思います。
ところで、不思議なことがひとつあります。
こういった経験にもとづいて、
当然ながら私は友人知人が妊娠するたびに
「出産のときは、坊主頭が絶対オススメ!坊主にしよう!」
と力説しているのですが、
実行してくれる人はいまだひとりも現れません。
ほんとうに不思議です。
坊主、いいのになぁ。