もくじ
第1回リアルタンポポと呼ばれて 2016-12-06-Tue
第2回長渕さんと家族のこと 2016-12-06-Tue
第3回ラーメンと群馬と大橋さん 2016-12-06-Tue
第4回上京は2011年3月12日 2016-12-06-Tue
第5回常連さんのこと 2016-12-06-Tue
第6回チャレンジします 2016-12-06-Tue

放送作家です。
ラジオとテレビをちょこちょこと。
輪島塗職人の次男坊でもあります。

やさしいラーメンができるまで。

やさしいラーメンができるまで。

担当・ながけん

第5回 常連さんのこと

ラーメン屋さんでの修行経験なし、そして、自分が持った初めてのお店、そんな状況の中、度胸で開業した「中華そば 向日葵」
店主はラーメン歴わずか半年のママさん大橋さん。その本音をさぐるべく居酒屋インタビューは続きます。

——
開業した「2016年5月12日」のことって何か覚えてます?
大橋さん
それがあんまり記憶にないんですよね。
——
そうなんですか?
大橋さん
ただ、すごく多くのお客さんが来てくださって、たくさん並んでいただいて、とにかく忙しくて・・・その記憶しか残ってないです。
——
初日は何杯くらい出たんですか?
大橋さん
初日はそんなにお客さんが来ると思ってなかったので・・・
60食くらいでスープが終わっちゃったんですよ。

——
何時くらいにお店を閉めたんですか?
大橋さん
全然覚えてないな〜(笑)
2時半までは持たなかったと思います。
——
そうですか〜。
大橋さん
最初の3日間は「スープ終了」で、2時半より前に閉めてたと思います。

——
けど、なんでそんなにお客さんが来たんですかね・・・
大橋さん
ポスティングしてたのもあるんでしょうけど・・・
——
ご自身で?
大橋さん
いえ、そこはさすがに・・・業者の方にお願いしました。
——
なるほど。
大橋さん
でも、なんでしょう、近所じゃないところからも新店オープンっていうことでラーメンマニアの方がかなりいらっしゃってたみたいで・・・それはなんでだろうって私も思ってますけどね。
——
なんでラーメンマニアの人だってわかったんですか?
大橋さん
聞いてくることが他の人とぜんぜん違いますから(笑)
——
なにを聞かれたんですか?
大橋さん
「ダシは何を使ってるんですか」とか「ゆで時間は秒数なんですか」とか、細かいことを質問されてましたから。
——
へ〜。
大橋さん
あと「連食されていく方」とか。ひとりで2杯を食べていかれました。
——
でも、はじめてのラーメン屋さんで、オペレーションもてんやわんやの中、緊張してるときに、そんなに「するどい質問」をされたらね〜。
大橋さん
パニックですよね〜(笑)
——
たいへんだったろうな〜(笑)
大橋さん
まあ、でも、そのときは、どんぶりを洗ってくれたりとか、主人が厨房を手伝ってくれたので・・・居酒屋で慣れてるので助かりました。
——
あ〜、なるほど、なるほど。
大橋さん
オープンして3日間は、主人がサポートしてくれたんですよ。
——
そういうことだったんですか。
大橋さん
はい、さすがに・・・
そんなに人が来るとひとりじゃもう、ぜんぜんダメだったので・・・
——
券売機は最初からうまく動いてくれました?
大橋さん
はい。券売機トラブルはなかったですね。

——
そんなパニくってる時に券売機トラブルが起ころうもんなら、すっちゃかめっちゃかですもんね。
大橋さん
それがいちばんつらいですよね〜、はい(笑)
——
子供たちが最初に食べたのはいつなんですか?
大橋さん
確かオープンの2日前くらいだったと思います。試作品を食べてもらいました。
——
そのときは、なんていってました?
大橋さん
最初は「麺がかたい」っていわれて、あんまり食べなかったです。
——
子供の反応って正直ですもんね。
大橋さん
うちの子は特にかたいのは食べたがらないんです。お肉とかもそうですし。うどんばっかり食べてます(笑)
——
まあ、コシのある麺を好む子供って、なかなかいないですからね(笑)
大橋さん
そうですね。
このかたさがいいんだよ〜とはいわないですもんね(笑)

〜常連さん〜

大橋さん
おかげさまで、常連さんも最近、増えてきました。
——
常連さんってどんな人がいるんですか?
大橋さん
若い方からご年配の方までいろいろですね。
——
覚えてる常連さんっていますか?
大橋さん
あ、います、います。
——
どんな感じの方ですか?
大橋さん
前の工場の方だったり、あとは大学生とかも多いですし。
——
お客さんの比率でいうと男性と女性、だいたい、どんな割合ですか?
大橋さん
「6:4」くらいですかね。
6男性、4女性。
——
でも、4割も女性が来るんですね。
大橋さん
ぼちぼち多いかなとは思いますね。
——
年代的には?
大橋さん
30代、40代くらいの主婦の方。私と似通った感じの方です。
——
はい。
大橋さん
たぶん私みたいな女性がひとりでやってるからだと思うんですけど。
——
そうでしょうね。
主婦のお客さんって見たらわかります?
大橋さん
わかりますね!
ひとりで来ます。
——
主婦がひとりでラーメン屋さんに行く動機って何だと思います?
大橋さん
なんだろう?
たまには外食でもって感じですかね。必ず午前中にいらっしゃいますよ。男性客でいっぱいになる前をねらって来てるんでしょうか。
——
主婦のお客さんは大橋さんに話しかけたりしてきます?
大橋さん
しますよ。
——
なんて話しかけてくるんですか?
大橋さん
「友達においしいって教えてもらって来たんです」とか・・・
——
そうなんですね。
大橋さん
でも、話したい人と話したくない人を見極めるのって難しいですよね。
——
基本的には待ちの姿勢なんですか。
大橋さん
今は、はい。
ただ、お子さん連れだったりすると、こっちから話しかけることも多いです。
——
はい。
大橋さん
「お子さん、何歳なんですか?」とか「うちも今、同じくらいの子がいるんです」とか。
——
お店のまわりに住んでるママさんネットワークって、けっこうあるんですかね?
大橋さん
それはありますね。
やっぱり保育園も近いですし、保育園のママさん同士とか、わりと来てくださったりしてます。
——
そういう人たちは何を食べるんですか?
大橋さん
だいたい「中華そば・醤油」を食べていきます。

——
は〜、「煮干しそば」じゃないんだ。
大橋さん
「煮干し」じゃないですね。煮干しは案外、男性の方が多いですね。
——
わかる。
大橋さん
わかりますか(笑)
——
男性はやっぱり「パンチ」が必要なんですよ。
大橋さん
ですよね。
——
中華そばだけだと、チャーハンを頼みたくなるんですよ。
大橋さん
あ〜、わかります。
お店のSNSのコメントでも「ちょっと物足りない」とかありますからね。
——
だから、ごはんつけてって人、多いんじゃないかなって思うんですよね。
大橋さん
そうですね。
ごはんはよく出ます。大盛りにごはんもよく出ます。
——
お店で出してる「かやくごはん」が家庭的な味がしてすごく好きです。あれは大橋家の味なんですか?
大橋さん
若干、お店用にアレンジしてますけど(笑)

——
そういえば、私が食べてたときに、たまたまテニスサークルの団体客が入ってきたことがありましたよね。
大橋さん
覚えてます。主婦の5人組がいらっしゃってましたよね。
——
それってお店の特徴だな〜って思ったんですよね。
なかなか、ああいう女性が連れ立ってテニス帰りにラーメン屋さんに寄ろうって思わないですもんね〜。
大橋さん
来ないですよね(笑)
テニス帰りにラーメン屋さんには。
——
これ、こってり系のお店だったら、絶対に入らないだろうな〜って思いますもんね。
大橋さん
そうかもしれないですね。
——
でも、女性らしい気づかいは、そこかしこにありますよね。
大橋さん
ホントですか?

——
ああいう、黒板のメッセージとかは、女性ならではやさしさかな〜って思いますし。
大橋さん
そっか〜。

——
お花を飾ったり。
大橋さん
花はそうですね。
——
男性店主で花を飾ってるお店って、ちょっと記憶にないですもん。
大橋さん
確かに。

——
お客さんから差し入れをいただくことってあるんですか?
大橋さん
はい。
——
どんなものをもらうんですか?
大橋さん
お菓子が多いです(笑)
クッキー、ジュース、お茶とか、あと、ビール(笑)
——
ビールをもらうんですか(笑)
大橋さん
はい(笑)
——
じゃあ「出張に行ってきたから、お土産買ってきたよ〜」みたいな常連さんはいますか?
大橋さん
そこまでの常連さんはまだついてないですね。ラーメン屋さんの常連さんってなかなか話さないじゃないですか。
——
でも、お客さんとしては話したいと思いますよ。
大橋さん
そうなんですか?
——
ただ、すごく忙しそうだから、なんだか申し訳ないな〜って、みんな思ってるんですよ。
大橋さん
いやいや・・・
そんなことはぜんぜんないですけど。
——
ここはこうした方がいいよって、アドバイスしてくれるお客さんっています?
大橋さん
たまにいますね。トッピングはこういうのが欲しいとか。
——
どんなものをいわれるんですか?
大橋さん
煮干しのスープだと「酢」がほしいとか。酸味がほしいから「レモン」を置いてほしいとか。
——
けど、ラーメン屋さんのコミュニケーション戦略、なかなかハードルが高そうですよね。
大橋さん
お客さんは早さが重視なので・・・ゆっくり話す時間がないですよね。
——
そこは既存のラーメン屋さんとは違うママさん店主ならではの特徴が出せるといいですね。
大橋さん
はい、頑張ります。

(つづきます)

第6回 チャレンジします