受注で進んでいく、 表現する欲
第4回 「表現する欲」への発注
- 糸井
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表現しなくて一生を送ることだってできたじゃないですか。
でも、やっぱり表現しない人生は考えられないでしょう。
- 浅生
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そうですね。
- 糸井
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受注なのに。
- 浅生
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そうなんです。それが困ったもんで。
- 糸井
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そこですよね、ポイントはね。
- 浅生
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そこが多分一番の矛盾。
- 糸井
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矛盾ですよね。
「何にも書くことないんですよ」とか
「言いたいことないです」「仕事もしたくないです」。
だけど、何かを表現してないと‥‥。
- 浅生
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生きてられないです。
でも、受注ない限りはやらないっていうね。
ひどいですね。
- 糸井
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「受注があったら、
ぼくは表現する欲が満たされるから、
多いに好きでやりますよ、
めんどくさいけど」。
自分もちょっと似てるんじゃないかなという気がしますね。
- 浅生
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かこつけてるんですかね。何かに。
- 糸井
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そうね、何かを変えたい欲じゃないですよね。
- 浅生
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変えたいわけではないです。
- 糸井
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表したい欲ですよね。
表したい欲って、裏表になってるのが「じっと見たい欲」ですよね。
- 浅生
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「じっと見たい欲」?
- 糸井
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うん。多分表現したいってことは、
「よーく見たい」とか「もっと知りたい」とか
「えっ、今の動きみたいなのいいな」とか、
そういうことでしょう?
- 浅生
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画家の目が欲しいんですよ。
あの人たちって、違うものを見るじゃないですか。
画家の目はきっとあるとおもしろいなって。
- 糸井
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それはでも絵を描いてたほうが、
画家の目が得られるんじゃない?
- 浅生
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そうかな。そうかもしれない。
- 糸井
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画家の目って、ほんとうにすごいですよね。
違うものが見えてるんですからね。
- 浅生
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あと、見えたとおりに見てるっていうか、
見たとおりに見えてるじゃないですか。
ぼくらは見たとおりに見てないので。
- 糸井
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そこに画家は個性によって、実は違う目だったりする。
受け取る側の話をしてるけど、
でもそれはやっぱり表現欲と表裏一体だよね。
これでどうでしょうね。
さっきぼく臨終の言葉を言ったので、
浅生さんの自分の死ぬときの言葉を。
受注、今した。
- 浅生
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死ぬときですよね。
まえ死にかけたときは、「死にたくない」って思ったので、
今もし急に死ぬとして
‥‥「仕方ないかな」?
「仕方ないかな」っていうので終わる気がしますね。
- 糸井
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(笑)
「人間は死ぬ」と
あまり変わらないような気がしますけどね。
- 糸井
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ありがとうございました。
- 浅生
-
ありがとうございました。