もくじ
第1回第1回 2016-06-28-Tue
第2回第2回 2016-06-28-Tue

広告制作11年目、1児の父。立浪和義が晩年、ネクストバッターズサークルに立ったときのナゴヤドームの歓声が好きでした。

かーくんの、とくべつな、ふつうの日。

仕事を終えて帰宅すると、息子はだいたい寝ている。
休みの日くらいは、一緒になってあそぶけど、
結局、親の予定に付き合わせてしまうことも多い。

今回、「ほぼ日の塾」の課題に取り組むにあたって、
1日、息子のさせたいように、させてみたらどうかな、
と考えた。想像してみると、面白そうだった。

「とくべつな日だから、すきにしてもいいよ」
と伝えられた息子は、どんな顔をするだろう。
いったい、何を言い出すだろう。
どこへ行きたがるのか。
なにを食べたがるんだろう。
‥‥そもそも、よろこぶだろうか?

ということで、一日、息子のやりたいようにやらせてみた、
「とくべつな、ふつうの日」の記録をまとめました。

担当は「ほぼ日の塾」のミズノです。

おはよう。
息子
おはよう。きょうは、とーちゃん、おしごとないの?
ないよ。土曜日だからね。
息子
やったー。
あのね、きょうは、かーくんのしたいことを
なんでもしていいよ。
息子
えー!なんでー?
きょうは、とくべつな日なの。
息子
ふーん。
なにかしたいことある?
息子
(しばし考えて、)たくみがおうちつくるテレビ、みたい。
たくみが?え‥? ああー。

最初の願いは、録画してあるテレビ番組を見ることだった。
彼が選んだのは、大好きな「ピタゴラスイッチ」でもなく、
いま熱中している「動物戦隊ジュウオウジャー」でもなく、
「大改造!!劇的ビフォーアフター」だった。

匠と呼ばれる建築士が、依頼者の悩みを解決するべく、
住宅リフォームを行う模様を追う、ドキュメント番組だ。
たしかに、親が好きでよく見ているが、
ふだんは興味も示さない。意外な選択だった。

古くなった家屋が取り壊される映像を見ながら、
「あー、かべがこわれちゃったー」とか言いながら、
わりとたのしんでいる。

妻が朝ごはんを用意してくれたので、
食べながら、いっしょに見た。

匠が、すばらしい家をつくりきる前に、
「えほん、よんで」と言いだした。

いつもより丁寧に、絵本を読みきかせた。
ふだんは2回くらいで「他の本にしようよ」と、
僕からもちかけるのだが、きょうは、
彼が飽きるまで何回も読んだ。
物語に出てくるケーキがおいしそうだった。

その後、「こうえん、いきたい」と言うので、
さっと支度をして、みんなで近所の公園に向かう。

とても良い天気だ。
最高気温は30度にもなるそうだ。

ブランコを飽きるまでやり、すべり台へ移った。
ふと、すべり台の下で息子がうずくまった。
何してるのか聞くと「くさのケーキ、つくってる」と言う。

ふだんの3割増しくらいの時間をかけて、
それぞれの遊具をこなしていく。
よく飽きないなあ、と感心する。

それにしても、暑い。
集中してあそぶ息子に、時おり声をかけて水分をとらせ、
日射病にならないために、帽子がはずれたらかぶせた。

砂場であそんでいると、
ふだん、保育園でなかよくしているともだちが来た。

挨拶を交わすこともせず、しぜんに、あそびはじめた。
助かった、と思った。日頃、まともに体を動かしておらず、
とーちゃんには、体力がないのだ。バトンタッチする。

我が家は共働きで、保育園には0歳のときから預けている。
このともだちは何歳か上で、乳児のころからの付き合いだ。
ふたりであれこれと喋りながら、てぎわよく
「おしろ」をつくったり、こわしたりしている。

友達
ねーねー、かーくん。
息子
なに?
友達
あかちゃんのころに、だっこしてあげたの、おぼえてる?
息子
おぼえてるよー。
(そんな頃の記憶があるのか、すげーな‥‥)

息子の通う保育園では、園での生活や、
イベントごとの写真を購入することができるのだが、
こうして子どもどうしであそんでいる姿を、
見ることはなかなかない。いいものを見た。

強い日差しのせいで、砂が固まらないので、
すこしづつ水をかけながらあそぶ。
泥だらけになるが、構わずやりたいようにさせる。

子ども達が、服を汚しているのを見ながら、
洗濯すればいいのだ、と思うも、
砂がすみずみまで入り込んだスニーカーは、
洗うの大変なんだよなあ、と暗い気持ちにもなる。

30分くらいあそんで、ともだちが帰った。

木陰で休んだりしつつ、あそばせてはいるし、
顔色も、声も問題なさそうではあるものの、
ぼくらがここに来てから、けっこうな時間が経っていた。

「かーくんも、帰ろうか?」と声をかけるも、
「すべりだい、やる」と言う。
そろそろ暑さに耐えられなくなってきた僕は、
まじか、と思いつつ、従う。

ふだんなら、「5回だけだよ」などと声をかけて、
「あと3回」「1回」と、カウントダウンをしながらやる。
そうしないと諦めがつかず、全然おわらないからだ。

でも今日は好きなだけやらせる。
そして息子も、飽きもせず、延々とやる。

さすがに満ち足りたのか、帰ることになった。

帰って、電池がきれたように眠る。

親もけっこう消耗したので、みんなでお昼寝をした。

起きてきて、「ガチャガチャがしたい」というので、
バスにのって、近くのショッピングセンターへ向かう。

(あとすこしだけ、つづきます!)

第2回 第2回