Vol.10 ルーサイト(書籍紹介編)
‘‘PLASTIC JEWELRY’’
著者 Lyngerda Kelly、Nancy Schiffer
出版社 Schiffer
ISBN 978-0-7643-4349-0
タイトルのJEWELRYという綴りからもわかるように、
これはアメリカの書籍である。
(イギリス英語ではJEWELLERY。)
アメリカをはじめ、世界で
いつ頃プラスチックジュエリーが広まったか、
ヴィンテージジュエリーには
どんな種類のプラスチックが使われていたかが
簡潔にまとめられている。
本書によると、
「ルーサイト」はアクリルプラスチックで、
もともとの研究は1901年のドイツに遡るという。
その後1931年までの間に、アクリルプラスチックは
物質のコーティングやガラスの安全な結合のために
使われるようになったが、
クリスタルのような透明度、容易に着色できて
見た目に美しいところが高く評価された。
高温にすると溶ける性質のサーモプラスチックで、
簡単に加、研磨ができ、他のプラスチックよりも
安定性がある。いろんな点で、ジュエリーを作るのに
ぴったりの素材だったというわけだ。
1931年、日本でもテフロン加工の鍋でおなじみの
デュポン社が、第二次世界大戦中に
ルーサイトという名のアクリルレジンを開発。
93%の透明度を持ち、防水、紫外線カット、
そして厚みが増すと防弾にもなる
高い強度があったため、戦闘機の
ノーズ・コーン(先端の、円すい形の構造部)
などに使われたが、
一方でジュエリーにも加工され、
製品は、ファセット(切子面)がつけられたり、
文字や模様が刻まれたり、削られてビーズに姿を
変えたりした。
1941年5月16日付けの『ニューヨーク タイムズ』で、
ルーサイトの特許はニューヨークシティの
コスチュームジュエリー製造会社の代表、
マクシミリアン・C・メイヤーという人物に
与えられることが決まったと報道された。
ルーサイトは登録商標で、今でも
航空機の窓ガラスなどに使われているそうだ。
写真は、この本のルーサイトブローチのページ。
当コンテンツでご紹介した鳥モチーフの
ルーサイトブローチ群と同じ技法の品が掲載されている。
このページの掲載商品はtinycrownのオンラインショップで
2020年1月10日17:00(日本時間)から販売されます。
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