こんどの「JAZZ」、どうする?

第3回 平原綾香さんも、じつは。

糸井 みんなが漠然と思い描いている「ジャズ」って、
「モダンジャズ」のことじゃないんですかね?
山下

そうですね‥‥でもたとえば
ベースの向きが「ヨコ」なのか、「タテ」なのか。
そのへんあんた、どう考えてんの? ってところから
話していかないと。

同じ「ジャズ」って言ったときにも、
頭に思い浮かべてることが
ぜんぜん違ってたりするんですよ。

糸井 ほんとは同じじゃない音楽のことを、
「ジャズ」って言葉であらわしながら
話しあってる場合もあると。
山下

そうです、そうです。

たとえば年配の人だったら、
ジャズといえば「グレン・ミラーの音楽」だけ、
なんてこともあるかもしれませんし。

糸井 ああ、そうか。
山下

大学にジャズを学びにくる
若者なんかに聞くと、
はじめはロックやろうと思ってた、
なんて人がほとんどですね。
で、いろいろ参考に聴いていた音楽のなかに
フュージョン系のものがあって‥‥。

糸井

「こっち、何?」って。

山下

そうそう、このサックスおもしろいけど、
何をどうやってるのって、
調べていったら
ジャズという音楽にたどりつく。

糸井 そういう人が、増えてるんですか?
山下

入り口としては多いですね、
そういう人たちと出会って、ま、教えるわけですが、
たとえば『のだめカンタービレ』のロケ地になった
洗足学園音楽大学ってところには‥‥。

糸井

はい、はい。

山下

ジャズのコースがあるんですよね。
設立時にたずさわったんですけど、
いまでは1学年で60人くらいの学生が
在学しているということです。

糸井 ジャズミュージシャンになりたい人たちが。
山下

1学年60人で4学年ですから、
合計で240人の学生が
毎日、プロのミュージシャンと
1対1でレッスンができるんです。

だからこういうコースのトップ5に入っていたら、
そうとう「すごい」はずですよ。
歌手の平原綾香さんなんかも、そこ出身なんです。

糸井 ああ‥‥そうですか。
山下

今年の3月に、サックス科ですから
ジャズサックスを吹いて卒業したんですね。
サックスも、上手いそうです。

糸井 はー‥‥。
山下

好きだった歌のほうは
そういうジャズの環境のなかで
自分でその才能を伸ばしていったんでしょうね。

だから彼女の頭のなかには
膨大なジャズの知識があるんですよ。

糸井 じつは。
山下

ええ、じつはね。

理論も実践も
4年間でそうとう高度なことをやりますから、
たとえば「C7の代理コードは何か」くらいのことは
朝飯前でしょうね。

糸井 いろんな音楽のおおもとにあるだけでなく、
いろんなミュージシャンのベースにもある、と。
山下 そんなとこが、ジャズの歴史と奥深さですね。
< 続きます >

2007-09-27-THU
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