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年末年始スペシャル!
『糸井重里500分』
今回のインタビュアー
柳瀬博一さん
第1回 改めて聞きたいことは「性」?

(※最初の数回は、この糸井重里インタビューが、既に
  6時間以上続いた後の、まったりとした所をおとどけ!
  日経BP社の編集者・柳瀬博一さんが登場しています。
  ちなみに、この日の糸井重里インタビュアー、他には、
  秋山具義さん [アートディレクター]
  今泉清保さん [アナウンサー]
  田中宏和さん [某大手広告代理店勤務]
  枡野浩一さん [歌人] という面々です。おたのしみに!)


柳瀬 こんばんは!
糸井 こんばんは。
柳瀬さんってさ、ふだん、
おじさんとばっかり会ってるよね。
柳瀬 そうなんですよ。
老人と会ってる時間が長い感じがします。
糸井 うん、「老人とウニ」。
柳瀬 (笑)え……?
ぼく、今、途中で来たからわかんないけど、
このインタビュー、
ひょっとして、そうとう煮詰まってる?
もう「老人とウニ」が出てきてるってことは。
糸井 (笑)だいじょうぶっすよ。カモン!
柳瀬 えー。じゃあ、はじめてみます。
ぼくがはじめて糸井さんに会ったときは、
すでに男女関係について
激しくない人になっていたんですけど、
若い頃の糸井さんのいろんなものを読んでると、
それはそれは、「乱暴者」だったらしくて。
そのへんを、うかがいたいんです。今は……?
糸井 ものすごい、乱暴者じゃないです。
柳瀬 (笑)
糸井 一般の人の乱暴じゃない点数を10点として、
いちばん、乱暴な人を0点としたら……。
オレは、10点以上ですね。
柳瀬 (笑)
糸井 うん。
柳瀬 あの、大気圏外……。へぇー。
糸井 審査員です。
柳瀬 (笑)もはや、審査員!
糸井 殿堂入りさえしてます。
君子の付き合いは水のごとし、みたいな。
酒でいったら水です。
柳瀬 (笑)なるほど。
それ、いつからそうなったんですか?
糸井 ところで、なんでその話をしたいの?
柳瀬 前から、人間の最終的な根っこは
何だろうか、って考えてるんですよ。
政治家でもなんでも、最後、偉い人が
失敗するのは、100%、それなんですよね。
偉いっていわれてる人は、だいたいスケベだし。

例えば、開高健か誰かが書いてましたけど、
今西錦司が70歳のとき、
開高健のインタビューの合間に、
今西さんのポケットから、
ポロッてコンドームが落ちたらしいんです。
「おっ!?」って聞くと、
「いや、まだ現役だから」と言ったと。
糸井 まぁ、どっちもどっちだけど(笑)。
柳瀬 松本清張もその方面で有名だし。
君子であることとセックスの話って、
男は、女とぜんぜん違うなと思ってたんです。
一見、偉くて聖人君子っぽい偉い人も、
よく見てると最終的に
何が動機になってるかっていうと、
偉くてお金があってどうでもよくなってるけど、
最終的にムーブメントを起こす理由の
大半は「モテたい」らしいと。

その「モテたい」の根っこって、
中学生のセックス願望と
すごく近いとこじゃないかなと。
ぼくぐらいの40歳前後だと、そこが
ちょうど雑念がいろいろ入ってしまってて。
言い訳があったり、社会的な縛りがあったり。
今まで築いた地位とかいろいろあるから、
中学生みたいな願望は消えてると思うんだけど、
それって、70歳ぐらいになって
また出てくるのかなと思って……。
ぼく、「ほぼ日」で長老を集めたときに、
あの人たちに、そこを訊ねたかったんです、実は。

ぼくが最初に糸井さんに会ったときも、
もう、そこのところが
デオドラントされてたんですよ。
糸井 (笑)
柳瀬 ただ、「糸井重里」という人の
今までのアウトプットで考えてみると、
セックスの臭いみたいなものが、
ぜったいどこかにあると思うし、
今でもどっかにあるんでしょうけど、
そこらへんが、見ててよくわかんないんですよ。

敢えてのけてるのか、
70歳になって、もう1回出てくるのか。
そこらへんについてね、
糸井さんはどう思ってんのかなと。
糸井 すごく単純に言うと、
人生、先が長いと思ってるんですよ。
ぼくが小さいときに、
石川達三の『四十八歳の抵抗』っていう本が
ベストセラーになったんです。
50歳を目前にして、老いに入っていくから、
最後の炎を燃やすっていうことで、
「ただれたライフにいくぞ!」っていう、
老いへの抵抗の小説で、映画化もされた。

それが、当時、世のサラリーマン諸君の
ひじょうに大きな共感を得たらしいんですよ。
ぼくは子どもとしてそれを見上げてたんで、
ほんとうの説明は、違うかもしんないけど。

ただ、肉体の衰えって、ぜんぜん後なんです。
食欲がなくなるだとか、眠りが浅くなるとか、
いろいろあるだろうけど、食事も睡眠もある。
それと平行して、性欲だってあるんだよね。
柳瀬 ポテンシャルとしてはあると。
糸井 ただ、性欲っていうのは、
純粋に文化的なことなんですよ。
「体から突き上げるような衝動」っていうのは、
もうみなさんもう、
20代でだいたい済んだと思うんですよね。

「オレはなんでここに立っているんだろう?」
とか、
「この隣りのやつは、その、誰なんだろう?」
とか、あるいは、
「急いで帰らなくちゃ!」
みたいな衝動は……。
柳瀬 (笑)あはははは!
糸井 「そんなつもりじゃなかったのに」
って後で思うような衝動。
柳瀬 (笑)
糸井 それは、もう、終わってるじゃないですか。
何が起こるか、だいたいわかるんですよね。
その時点で、もう「衝動」とは違う。

予想できるっていうと……
SMのSになれといわれて
よろこんで鞭を振る人もいないでしょう?
柳瀬 (笑)義務教育みたいなイヤさかげん。
糸井 「もっとひどいことをして欲しい、しろ!」
って言われてするバカはいませんよ。
そういう例と、似てますね。
柳瀬 なるほど。
糸井 「とろろ」をすってるときに、気づいたんです。
早くとろろすったほうがすぐに食えますよね。
力を入れて早くすったほうが、
そりゃ、とろろは早く食えるんですよ。

でも、それはほんとうに求めている
とろろの姿からすると、弱いんだよね。
弱い力でコリコリコリコリ、
ずーっとやってたほうが、
とろろとしては完成度が高いんですよ……。
それに気づいたときに、
「おぉ、セクシー!」って思った。
柳瀬 (笑)
糸井 いろんなことを考えると、
きっと、みんな、経験を積んで
そのとろろに至る道なんだなぁと。
柳瀬 糸井さん、それは、
何年ぐらい前に気がついたんですか?
糸井 とろろについては、今日ですね。
柳瀬 (笑)今かよ!
糸井 前々から、気づきの予感はあったけど(笑)。

(つづきます)

2003-12-22-MON
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