おさるアイコン

アーカイブ 2012/01/29
 
レシピその161
クラテッロとフィオッコのタリオリーニ
〜ジベッロのクラテッロ工房へ〜


クラテッロを食べに、ジベッロに来ました。
ジベッロはミラノから車で2時間弱、
パルマの北部、ポー河とエミリア街道に挟まれた
「パルマの低い土地」と呼ばれる地域にある街で、
この地区の12市のうち
8市がクラテッロのDOPの産地です。
DOPとは、イタリアの伝統的な食材を守るための
品質管理・保護制度で、
認定を受けたものだけが、
DOPの品質表示をもらえます。
長い熟成後、
クラテッロをひとつひとつ
小さい木ずちで叩き、
音ででき具合を判断し、
できの悪い物はDOPにはなりません。

ポー河の氾濫もあるこの地区でのクラテッロ作りは
この河の恩恵も受けています。
クラテッロは豚の腿の外側だけ
つまり、お尻のやわらかい部分だけで作ります。
その部分を丸ごと豚の膀胱に入れて
ゆっくりと時間をかけ、
サラメのように良質のカビで覆いながら
熟成させます。

パルマといえば生ハムでも有名ですが
こちらの生ハムはエミリア街道から
5km南のポー河からの湿度と霧を避けて
乾燥させる環境での熟成です。

特に違うのは生ハムは、
腿丸ごとをそのままそっくり
使用する事で膀胱には詰めません。

それでは
皆さんにジベッロのクラテッロ作りを御紹介します。


▲レストランの隣にある食肉加工工房。
 10月から2月まで寒い時期に加工します。
 早朝から冷たい工房で成形をします。



▲8kg前後の腿肉の骨を外し
 外側臀部のクラテッロの部分と
 内側のフィオッコの部分に分け成形する。
 残った肉はストルギーノ(熟成の浅いサラメ)や
 脂肪分を加えて作るマイオーラなどを作ります。
 「捨てるところはない。全てを使うのだよ」と
 ご主人のグイドさん87歳。



▲紐結びをして、塩をもみこみ、
 数日から1週間休ませる。



▲水とビネガーで洗った豚の膀胱に入れる。


▲乾燥後(約半量の重量になる)を
 想定しながらの紐かけ。職人技。



▲湿度乾燥安定室に入れる。
 この後レストランの裏にある
 カンティーナで
 表面をカビで覆いながら
 10ヵ月から2年熟成させる。



▲「僕の作ったクラテッロや
  サラメを是非食べて行って」
 とクラテッロ職人の
 ジュリアーノさん61歳の言葉。
 お父さんもクラテッロ職人。
 この道一筋の職人さんの
 自負を感じる仕事ぶりです。


厳しい自然とのコンラボレーション。
人間の知恵と技の結晶のクラテッロ、
次回は、隣接しているレストランで
いただいたお料理をご紹介いたしますね。

さて、今回ご紹介するお料理は、
このクラテッロを使ったパスタです。
贅沢でシンプルな味を楽しんでくださいね。
生パスタを使用するときは
手早く作りますので
材料をすべて揃えてから始めましょう。
もちろんスパゲッティでもおいしくできます。

クラテッロとフィオッコのタリオリーニ

■材料(2人分)

タリオリーニ:200g
※ないときはお好みのパスタで
クラテッロ:100g
フィオッコ:20〜50g
※ないときは生ハムで
コショウ:ティスプーン半分(粗挽き)
バター:20g
生クリーム:小さじ1
パルミジャーノ:大さじ2
オリーブオイル:大さじ2
塩:適量




☆下準備

・鍋にお湯をわかす。
・クラテッロとフィオッコは拍子切りにする。
・チーズはすって置く。
・コショウは粗挽きにした後、
 甘めのワインをひたひたに入れて
 コショウが液体を吸い込むまで1日置く。



この写真は黒・白・赤のコショウを合わせ、
すり鉢で潰して
赤ワイン、甘口フォルターナに漬けて
数日経ったものです。




■作り方

(1)フライパンにオリーブオイルを入れ
あたたまったら
クラッテロとフィオッコを入れる。



(2)弱火でゆっくりと
かりかりになるまで炒め、
飾り用に少し取り分ける。



(3)塩入りのお湯でパスタをゆでる。



(4)上にあがって来たら直ぐにとる。
(かなり固めの状態)



(5)中火にしてフライパンにバターを入れる。



(6)直ぐにパスタを入れる。



(7)パスタのゆで汁を
3杯(100〜150cc)入れる。



(8)パルミジャーノを入れる。



(9)コショウを入れる。



(10)隠し味の生クリームを入れる。



(11)全体を混ぜ合わせ
塩味の塩梅をみる。



はい、出来上がりです。
上にかりかりのクラッテロと粒コショウ少し、
粗めにすったパルミジャンを
たっぷりとかけて召し上がって下さいね。
シンプルで贅沢な味をお楽しみ下さい。
BUON APPETITO!


 
ご感想はこちらへ もどる   友だちに知らせる