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アーカイブ 2010/03/21
 
レシピその113
ピリ辛キンカンジャム〜理想の目のかたち〜


若い頃、映画を観ているときに
外国人の女優さんが
今にも泣くその数秒間前、
目にいっぱい涙をためるシーンがありました。
涙が満ちあふれんばかりの湖のような目になり、
そのうるわしさに、うっとりとしたものです。
そして、次の瞬間、まばたきとともに、
大粒の涙が頬を伝わったときには、
その美しさにため息をついたものです。

私のように目が小さい者にとっては
涙がたまるスペースもなく、
河の水がとどまることなく流れるように
さらさらと流れてしまいます。
けして、涙と感情の高まりを
ためこむ面積は持ち合わせていません。
当時の私は、
少しでも目が大きく丸く見えるように、
目の運動や化粧に精を出したものです。

ところが、あるイタリア人の友人は、
私からみれば素晴らしく大きい目と、
まばたきをすると
空気の波ができるのではないかしらと思うほど、
長いまつげの持ち主ですが、
その彼女がなんと、切れ長の目に見えるように、
アイラインの入れ墨のようなものをしました。
つり目になるようなカーブです。
「あなたのような切れ長の目になりたいの!
 寝起きでもお風呂上がりでも海でも、
 いつもはっきりとした目でいたいの」
と言ってました。

そう、「アーモンドのような目」といわれる
東洋人の目に憧れる
イタリア人女性は少なくありません。

私も彼女も
まさしく「ないものねだり」ですね。
大きくて、かつ、切れ長の目‥‥
これが女性があこがれる
目のかたちの極みでしょうか?

さて、今回ご紹介するレシピは私の大好物で、
イタリアに住んでいる日本人の友人が
イタリア人のシニョーラから教わった
「ピリ辛キンカンジャム」です。
キンカンはこちらでは
「中国みかん」と呼ばれていて、
イタリアの南の地方では、
みかんやオレンジの木と
一緒に植えられているところを見かけます。
ちいさい実がたくさんなってかわいいので、
ミラノでは、鑑賞用として
鉢植えにして飾る人もいるほどです。

「ピリ辛キンカンジャム」は
イタリアの南の地方のペペロンチーノと
東洋の味が融合した魅力ある味です。
今回は友だちが教えに来てくれました。
みなさんも私と一緒に習いましょう。

ピリ辛キンカンジャム

■材料

キンカン:2kg
砂糖:1.6kg
赤唐辛子:16本




■作り方

(1)キンカンのくきとへたを取る。



(2)キンカンをよく洗ってから鍋に入れ、
水をひたひたに入れて
フタをして火にかける。
沸騰したら弱火にして5分間ゆでる。
(鍋とフタの間に楊枝を入れて隙間をつくり、
 ふきこぼれを防ぐ)。



(3)灰汁(あく)が出ているのでお湯を捨てる。
もう一度水を入れて煮て、沸騰したら茹でこぼし、
キンカンをざるにあげる。



(4)キンカンをざるから鍋に入れ、
キンカンと砂糖を入れて
全体をかき混ぜながら弱火にかける。



(5)フタをしないで弱火で45〜60分煮る。



(6)ときどきかき混ぜる。



(7)煮えてきました。
まだ水分がじゅうぶんにあります。



(8)赤唐辛子の種をとってから、
鍋に入れる。
少し火を強めて、10分間沸騰させる。



(9)熱いうちに裏ごし器に入れて、
裏ごしする。
(裏ごし器がないときは、
 ざるとしゃもじを使って裏ごししてください)。



(10)種や皮が取り除かれました。



(11)裏ごししたものを、おたまですくうと、
とろっとして、とてもやわらかい仕上がりです。
(手前の器に入っているものは、
 裏ごしして取り除いた種や皮です)。



(12)できあがりです。
あまいなかにもぴりっとした辛さがあり、
おいしいです。
パンにつけたり、
チーズといっしょにめしあがってください。

保存するときは、熱いうちにビンにつめて
フタをしっかりしてからビンごとお湯で煮ます。
くわしくは、「レシピその25 トマトの保存食」
(4)をご参照ください。

BUON APPETITO!


 
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