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アーカイブ 2009/09/20
 
レシピその100
プロフィットロール〜連載100回記念のお菓子です〜


私と同じマンションの住人ミンマをご紹介します。
82歳、独身で、ひとり暮らしです。
20年ほど前、一緒に暮らしていたマンマと叔母、
牧師の兄を次々と亡くし、
喪失感にくれていたときに、
兄さまがしていた活動のひとつを
受け継ぐことにしたそうです。
彼女自身が発起人となり、
'85年から<必要な人に手を差し伸べる>
ボランティアグループを主催してきました。

ボランティアグループの活動の内容は、
・服や寝具、小物にいたるまで必要な物を提供する。
(これはいただき物でまかないます。)
・ケガや病の人を医療手当をしたり、
 病院の付き添いをする。
・食事の提供をする。
これらが主な活動ですが、
それに関わる小さなリクエストまで
きめこまやかに対応します。

はじめのうちは、たったひとりで、
自室のキッチンで始めましたが、
少しずつメンバーが増えてきたそうです。
ミンマは'87年から年金生活に入ったのですが、
その後も毎日、ボランティア活動をしながら過ごしています。
特に、毎週1度の食事提供は欠かしたことがありません。
毎週約800個のパニーノと、
パスタやフルーツなどを配給します。

私が参加したきっかけは、子供たちです。
まだ子供たちが小さかったころ、
たくさんの荷物を持つミンマを手伝ったことがあり、
以来、子供たちはパニーノ作りに参加していました。
子供たちが学校に行くため家を出た10年前に、
私にバトンタッチした、というわけです。

私が担当するのは、
毎週火曜日に仕込みをして、
水曜日にパニーノやパスタを作る仕事です。
作った料理は、別のグループが中央駅まで配りに行きます。
クリスマスなどの行事があるときは、
特別料理もします。

食事を作るグループ、物を収集するグループ、
配給グループ、医療グループ‥‥
だんだんとメンバーも増え、
いまでは70名にもなります。

私の場合、週1回ですし、
むりなくできる範囲でするボランティアですので、
続けてこられたと思いますが、ミンマは毎日です。
すべてのグループをまとめて、
毎日、毎週、欠かすことなく続けることは、
かんたんなことではないと思うのですが、
彼女はさらりと、
「神が全てをしてくれている」と言うだけです。

それでは、私たち食事を作るグループと
マンマミンマを写真をご紹介しますね。


▲彼女の家の一室は、
 皆がお祈りできるところになっています。



▲グループのひとりが提供してくれた車。


▲私の所属する食事グループです。
 このメインのメンバー以外にも、
 学生やほかのメンバーも加わります。
 食事を作るスペースもグループのひとりが、
 スポンサーになって借りてくれています。



▲食事のメニューは、老人用、
 イスラム教徒の人たち用‥‥と細かく作り分けます。



▲ミンマと、彼女の家を掃除するボランティアのターニャ。
 できあがったばかりのプロフィットロールを
 味見する食いしん坊でもあるミンマです。


一日も欠かさずに続けていくことの大切さ。
そして、そこにかける想い。
ミンマの姿を見て、私はたくさんのことを学んでいます。

さて、「イタリアンマンマの直伝レシピ。」は
おかげさまで今回で連載100回を迎えられました。
みなさん、ご愛読を本当にありがとうございます!
そして、ご理解のある「ほぼ日」の乗組員のみなさまに
感謝いたします!

重ねる想いを、
100回目となるメニュー
「プロフィットロール」で表してみました。
上にかけるチョコレートは私はたっぷりとかけますが
量はお好みで調節してくださいね。
シューの中に入れるクリームは、
今回は甘さをおさえた生クリームですが
カスタードクリームや、
生クリームとカスタードをあわせたクリームにするなど、
いろいろとお楽しみください。

プロフィットロール

■シュー生地とその中身用の材料

小麦粉:75g
バター:70g
卵:3個
水:100cc
塩:少々
生クリーム:200cc
砂糖:大さじ1



■シュー生地とその中身の作り方

☆下準備
・オーブンを200度にあたためておく。
・卵は割りほぐす。
・小麦粉は塩といっしょに一度ふるう。
・他の材料は計っておく。



■作り方

(1)鍋にバターと水を入れ、中火にかける。



(2)沸騰したら、火からおろす。



(3)(2)に小麦粉を一度に入れ、
木べらで強くかき混ぜる。



(4)(3)を弱火にかけて、
ぴちぴちと音がするようになるまで
火を通す。(1分〜1分30秒くらい)



(5)火からおろす。
卵を入れるときは全部を一度に入れずに、
かたさを確認しながら少しずつ入れていく。
まず、卵を1個分入れよくかき混ぜる。
生地にまんべんなく卵が混ざったら
また1個分くらいを入れてかき混ぜる。



(5)何度か卵を加えてかき混ぜて、
木べらですくったときに、
木べらからぽとんと落ちるくらいのかたさにする。



(6)(5)を絞り袋に入れる。



(7)鉄板にオーブンシートをしき、
そこに(6)を絞り出す。
最後に霧吹きで水を少しかけ、
200度にあたためておいたオーブンに入れる。
20分たったときにまだ柔らかい場合は、
温度を下げてさらに数分焼く。
※焼いている途中でオーブンの扉を開けると
 生地がしぼんでしまうので
 20分はオーブンを開けないように。




(8)焼き上がったシューは、鉄板から取って冷ます。



(9)冷めたシューの底にペティナイフで穴をあける。



(10)生クリームに砂糖を入れてたてたものを
絞り袋に入れて、
(9)のシューの穴から注入します。



これでシューができあがりました。
続いてシューの上からかける
チョコレートクリームを作ります。

■チョコレートクリーム用の材料

ミルク:250cc
小麦粉:25g
砂糖:50g
チョコレート:50g(大さじ1のカカオ粉でもよい)
黄身:2個



※今回、チョコレートクリームは、
 作り置き用に材料に記載した分量の
 倍の量で作りました。
 写真の材料は倍の量です。ご了承ください。


■チョコレートクリームの作り方

☆下準備
・各材料を計っておく。



・チョコレートは湯煎にかける。



■作り方

(1)鍋に黄身を入れ、砂糖を加えてよくまぜる。



(2)小麦粉を加える。
※チョコレートの代わりにカカオ粉を使用する場合は、
 このタイミングで入れる。




(3)よく混ぜ合わせる。



(4)(3)に湯煎したチョコレートを入れる。



(5)(4)にあたためたミルクを入れて、かき混ぜる。



(6)中火にかけて、数分間かき混ぜながら煮立たせる。
クリーム状になったら火からおろして冷ます。



(7)お皿にチョコクリームをひいて、
その上にシューを並べる。



(8)シューの上にチョコクリームを少しかけて、
そこにシューを積み上げます。
これを何回か繰り返して小さな山のかたちにします。
最後に上から
チョコレートクリームを好みの分量かけます。



出来上がりです。
スミレの砂糖漬けと生クリームを飾ってみました。



量少なめでマイルドな味にするミンマ用は、
小さめのシューを半分に切り、生クリームをつめ、
余ったチョコレートクリームにミルクを足して、
ミルクチョコレート味にしたものを上からかけました。
ローズの砂糖漬けを飾りました。


 
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