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アーカイブ 2009/02/01
 
レシピその84
小イワシの塩漬けとオイル漬け
〜チェルヴィアの塩田〜


前回は「黒い金」とも称される
「トラディショナル・バルサミコ」の
お話をしましたが、
今回は「白い金」と称される「塩」の話です。

お塩は、私たちが生きていく上で、
たいへん重要で、身近な物です。
お料理にも欠かせません。
イタリア語では「SALE(サーレ)」と言います。
ラテン語の「塩」を意味する
「SAL(サレ)」が語源になっています。
貨幣がなかった時代に、
お給料の支払いを塩でしていた、
という話を聞きました。
「SALARIO(サラリオ)」というと
「お給料」という意味になりますし、
英語では「SALARY(サラリー)」で
お給料を貰って働く人は
和製英語ですが「サラリーマン」になりますね。

その他、塩を使って作る身近な物に
SALAME(サラメ)、
SALSA(ソース)、
SALSICCIA(腸詰めソーセージ)
などがあります。

20年ほど前、リエティに住んでいたころ、
家の近くにはローマ時代に作られた塩街道、
「VIASALARIA(ヴィアサラリア)」が
通っていました。
当時からずっと、この塩街道の先にある
アドリア海のチェルヴィアの塩田を
訪ねてみたいと思い続けてきました。

この塩田は、
潮の干潮と満潮の満ち引きを利用して
塩浜へ海水を引き込む、入浜式塩田です。

中世は、ローマ法王領であったため、
作られた塩は、塩街道を通って、
ローマのバチカンに献上されていました。

ここの塩はこの地の風と柔らかい陽光で、
ゆっくりと結晶化させるので
苦みや辛みが優しく、「甘い塩」と呼ばれます。
なかでも、
はじめに浮いてくる結晶は一番塩で、
もっともデリケートな味わいで、
「塩の華」「法王の塩」と呼ばれるほどです。

5世紀から始まったこの塩田は、
機械化と共に栄えますが、
時代の流れとともに寂れ、
1998年に閉鎖されます。
そして、2003年に
一部の市民の努力で復活しました。
塩職人が伝統的な手法で、
文字通り手塩にかけて作る塩は、
「プレシディオ(守るべき伝統的な食や食材)」
として、
イタリアのスローフード協会に認定されました。


以上のことは、以前は塩田で働いていたという
チェルヴィアの
「塩博物館」のボランティアの人が
説明してくださったものです。
チェルヴィアの塩を誇りに思う気持ちと、
伝統を愛する気持ちが伝わってきました。

さて、今回のメニューは
粗塩をたっぷりと使った保存食です。
新鮮な小イワシが見つかったときに
どうぞ試してみてください。
手作りならではの味わいです。

小イワシの塩漬け

■材料

カタクチイワシ:400〜500g
粗塩:800g
塩:適量

※保存用のビンを煮沸消毒しておく。
※保存用のビンに入る大きさの重石を用意する。
 今回は水を入れたビンを使いました。



■作り方

(1)小イワシを掃除する。
まず頭の少し下の部分を軽く持つ。



(2)頭に爪を立て、
そのまま頭を持ちながら‥‥



(3)頭と一緒にはらわたを
そっと引っ張り出す。



(4)小イワシを広げて
水分をキッチンペーパー等で取る。



(5)入れ物に並べて、塩を一面にふる。



(6)30分〜1時間置く。
このときに出る水分はとっておいて、
後で水分が足りなかったときに使う。



(7)ビンに粗塩を敷き、
小イワシを一列に並べる。



(8)(7)の上から粗塩を一面にふる。



(9)これを繰り返し、
最後には粗塩を小イワシ一面にかぶせる。
その上からアルミホイルを敷き、
水を入れて重くしたビンなど
重石になるもので
少しなじませる感じで軽く押す。



(10)アルミホイルを取り除き、
重石ごとそのまま冷暗所で保存する。
重石をはずすタイミングは、
小イワシの大きさや気温によるが、
小イワシの一番上の表面に
しみ出した汁が届いたときにはずす。
なかなか汁が上がってこない場合は
(6)で出た塩水を少し足す。



これが1ヵ月経ったものです。



写真ではわかりにくいかもしれませんが、
しみ出した汁が
一番上の層まで上がってきました。
重石を取り除いた後、
3〜5ヵ月くらい経ってから食べられます。



今回は小さめの小イワシでしたので
まだ1ヵ月しか経っていませんが、
すでに熟成した香りがします。

さて、こちらは去年の5月に漬けたものです。
8ヵ月でこんなふうになりました。



これを使って、
小イワシのオイル漬けを作りましょう。



小イワシのオイル漬け

■材料

カタクチイワシの塩漬け:80g
塩抜き用の水とお酢:「水7:お酢3」の割合で適量
オリーブオイル:100cc
コショウの粒・月桂樹:適量

※保存用のビンを煮沸消毒しておく。
 今回使用したビンの容量は200ccです。


(1)指で開き、背骨や背びれなどを取り出して
半身にする。



(2)水7:お酢3をボールに入れて、
その中で洗い、
まわりについている塩を取り除く。



(3)(2)から取り出し、
キッチンペーパー等で
しっかりと水分を取る。



(4)煮沸消毒したビンに入れて、
好みでコショウの粒や月桂樹などの
香辛料を入れ、
オリーブオイルで
小イワシに空気が触れないよう、
全てを覆う。
しっかりとフタをして保存する。
2週間経ったころから食べられます。



こちらは1ヵ月経ったものです。



塩漬けは使う分だけ塩から出し、
酢水に漬けて塩分を取り除いてから
指で開き骨を取って、お料理に使います。
オイル漬けのほうは
そのまま食べてもよし、
お料理にも使ってもよしと、
いろいろと使えて便利ですね。

 
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