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アーカイブ 2008/06/15
 
レシピその68
スパゲッティ ボンゴレローザ
〜イタリアの病院〜


運動をしているときに不注意でひざを痛めました。
イタリアに来てから25年、
はじめて整形外科系のケガをしました。
軽傷とはわかっていましたが、
バカンスも控えていることだし、
念のため、夫に病院へ連れて行ってもらいました。
その病院は整形外科専門病院で
子どもが何回もお世話になった
見覚えのあるところでした。

まず、受付で症状を簡単に説明すると
すぐに病院内の移動ベッドに寝るように指示されました。
受付の対処の早さに
「すぐに診察室に行けるかも!」
という明るい希望の光が見えましたが、
わたしの名前が院内放送で呼ばれたのは、
それから2時間後のことでした。
放送で何回も名前を呼ばれても
周りに人がおりません。
しかたなく
「います! ここにいます!」と
ベッドの上で大声で叫びまくり、
ようやく看護士さんが気がついてくれて
やっとの思いで診察室に入りました。

診察室に入ると、先生は
「靭帯の損傷。冷やして、杖を使用すること。
 MRIの検査をして結果をもって診察に来ること。
 完治予想2週間です」と診断書に書き込み、
問診は5分間で終了しました。
思わず、
「先生、MRIの予約はすぐには取れません!」
と抗議すると、
「大丈夫。今はそんなに時間はかからないから、
 心配しないように」と言われました。
先生の言うように、
最近は待たされなくなったのかもしれない
‥‥と、少しほっとしました。

翌日、夫がMRIの予約に行ってくれました。
予約がとれたのは、なんと16日後でした。
2週間で完治するケガのMRIを
16日後にとってもしかたがないので、
もっと早くできないかお願いすると、
「プライベートシステムにすると
 今すぐできます」との返事。
プライベートシステムというのは、
保険あつかいではないので、
保険を利用したときの
6倍の料金を支払うことになります。
この医療制度に辟易とした夫は燃えました。
主治医のところに相談に行き、
保険利用の「緊急対処あつかい」にしてもらえるよう
手配してくれました。
16日後といわれていたMRIは3日後となり、
MRIの結果が出るのは6日後ということになりました。
とはいえ、「緊急対応あつかい」といっても、
ケガをした日から数えると
MRIの結果が出るまでに9日かかっています。
それから病院を予約することになるので、
病院で診断してもらうときには、
ほとんど完治した状態だと予想されます。
そして、万が一、
MRIの結果が靱帯損傷と違うとなったら、
またふりだしに戻って、
いちから別の検査の予約を入れなければなりません。

ここイタリアでは、今回のような軽傷の治療は、
重傷のときとは対応が異なり、
なにをするにも予約が必要で待たされるため、
時間と忍耐が必要です。
しかし、私は思わぬ「休養」をいただき、
家族や友人のやさしいいたわりや
あたたかい心遣いを
たくさんプレゼントしてもらいました。
膝を悪くして転びましたが、
そんな身近な人たちからのプレゼントをもらい、
ただでは起き上がらない私です。
そんなに辛抱強く柔らかい私になれたのは
やはりラテンの国だからでしょうか。

さて、今回ご紹介する料理は、
あさりのスパゲッティ、
スパゲッティ ボンゴレローザです。
膝は日増しによくなってきていて、
腫れはずいぶんひいてきましたが、
まだいたむため、
お友達が手伝ってくれました。

スパゲッティ ボンゴレローザ


■材料(5〜6人分)

パスタ:500g
ボンゴレ(あさり):1kg
ニンニク:1カケ半
鷹の爪:1本
トマト:大1個半
イタリアンパセリ:みじん切りにして大さじ山盛り2
オリーブオイル:大さじ8〜9
塩:適量






☆下準備
・砂出ししたボンゴレ(あさり)を流水でよく洗う。
・トマトは湯むきして種をとり、細かく刻む。
・ニンニクは芯をとる。
・鷹の爪はからいのが苦手な人は種を取り除く。
・イタリアンパセリはみじん切りにする。






■作り方

(1)深いフライパンにオリーブオイル、
ニンニク、鷹の爪を入れて火にかける。



(2)ニンニクの香りがしてきたら、トマトを入れる。
※ニンニクの香りや味を強くしたくないときは、
 このタイミングで取り出す。
※からいのが苦手な人は、鷹の爪をここで取り出す。




(3)ボンゴレを入れる。



(4)フタをして蒸し焼きする。



(5)ボンゴレが開いたらボンゴレだけを取り出す。



(6)イタリアンパセリを入れる。



(7)イタリアのボンゴレは日本のものよりも
塩味が濃いため、
別鍋でパスタをゆでるときに入れる塩の量を
(6)の塩加減を味見して決める。
(6)の塩味が濃い場合は、
パスタをゆでるときに入れる塩は少なめに。
逆に、塩味が薄いときは、
パスタをゆでるときの塩の量を多く
※パスタのゆで汁は後で使うのでとっておく。



(8)パスタがアルデンテの
ちょっと前のかたさになったら(6)に入れ、
さらにゆで汁を小さなおたま一杯分入れて
アルデンテに仕上げる。



(9)(5)で取り出したボンゴレを
(8)に半分加えて、味を全体になじませる。



(10)お皿に盛り、
半分残っているボンゴレを加えて、
イタリアンパセリをかけて出来上がりです。
これは我が家の一人分の分量です。
かなり大盛りですね。



BUON APPETITO!


 
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