おさるアイコン
最新の記事 2006/02/28
 
レシピその10
CHIACCHIERA〜幼稚園のカーニバル〜

今回も息子が子どもだった頃の話です。
イタリア人を理解するためにも、
教育観を知りたいと思っていましたが、
そんな悠長なことを言っている場合ではなく、
我が子が幼稚園に入園する3歳になり、
徒歩通園ができる近くの幼稚園を選びました。
クラスは、午前中のクラスと午後クラス、
そして、その後に働いている主婦のための
特別クラスもありました。
我が家はバッバの勧めもあり、
午後までのクラスにしました。
ちなみに食事も幼稚園で出してくれます。
アレルギー食やその時々にも身体の具合にあわせて
「白い食事にして欲しい」とお願いしておくと、
全くトマトを使わない
オイルとチーズで味付けしてある食事を
用意してくれるほど、きめ細かい対応です。

希望担任の先生も指定できたのですが、
全くわからなかったので指定はしませんでした。
息子の担任になったのは、
ブロンドの中年の優しいクラウディア先生でした。
同じ幼稚園でも担任の先生によって教育内容が違います。
彼女の部屋は大きく3つのスペースに分けてありました。
ひとつは机が並んでいるコーナー。
もうひとつは、寝っころがって勝手に遊んだりできる
絨毯がひいてあるコーナー。
最後のひとつは、板の間コーナー。
これらの場所で子どもたちは、
ほとんどを占める自由時間に自由に好きなことができます。
長男はいつも机で先生にアルファベットや、
数字遊びを教えてもらっていましたし、
後に同じクラスに通った次男は、
活発に板の間でボールで遊んでいました。
ここではそんなふうにして、この時期から、
子どもの個性を大切にしてくれます。
私がすばらしく驚いたのは
折々の時節に触れての詩を覚えさせるしかたです。
まず、色ペンや色鉛筆クレヨン、水彩絵の具で、
絵文字を書かせます。
何枚もの紙に描き、それをつなぎ合わせて、
クラスに入るとまず目に入る大きな壁に張り出し、
それにメロディーをつけたりして覚えさせます。
絵の描き方も自由で、指や手を筆がわりにして、
顔から洋服から汚して描かせていました。
それまで、バッバから子どもに汚すことを
させないように言われて育てていたので
わたしは心から先生に感謝しました。
子ども達ものびのびと喜びの中で絵を描いていました。

おかげで、我が家をふくめ子どもがいる家の
パーティーのハイライトは、
いつも子どもの詩の朗読でした。
数々あるパーティーでも今の時期のカーニバルほど、
子ども達にとって楽しいパーティはなかったと思います。
カーニバルの時期のパーティでは、
親が工夫して作った洋服で変装してきた子ども達に、
先生がお化粧をしてくれます。
親達の作ったお菓子を一杯食べ、
可愛いカップルで踊るダンスパーティーです。
紙吹雪や吹き紙テープをかけあったりして遊びます。
我が家は1年目は人気“海賊”スタンダードな物でした、
そして2年目は、日本のテレビ番組の
「赤ライダーと黒ライダー」。
お面から拳銃、洋服までかなりの意気込みで作りましたが、
日本から送られてきた子ども雑誌から
選んだものだったため、
イタリア人の子どもはまだ知らなくて、
説明に大変だったでした。
そして3年目ちょんまげかつらまで作ってがんばった
「侍」。これは人気の的でした。

さて、イタリアの今の時期は、
道に5色の紙吹雪がいっぱい!カーニバルです!
“無礼講”がまかりとおるカーニバル、
ペルージャでは窓からどっさりと小麦粉をかけられたり、
ミラノでは泡スプレーの代わりに、
ひげ剃りスプレーをかけられたりとしましたが、
このときばかりは怒らずに、
“にーたー”と半笑顔で返すしかないのです。
ボーっと歩けない時期でもあるのです。
さすがに、最近ではそこまでのことは
少なくはなってきていますが。

今回ご紹介します物はカーニバルのときに
食べるお菓子です。

CHIACCHIERA
(キャッキィエラ)




■材料(4人分)

小麦粉:300g
全卵:2ケ
砂糖:50g
バター:50g
白ワイン:大3
(グラッパマルサーラシャンペンでも可)
バニラオイル少々
塩少々
堅い時はミルクを入れる


■作り方

作り方の基本は、今までご紹介したパスタ作りと同じです。
甘いパスタ生地を作ると思ってください。

(1) ボールに小麦粉、全卵、砂糖、溶かしバター、
   白ワイン、バニラオイルを入れよくかき混ぜ、
   パスタを作る要領で良く練る。
   30分以上生地を休ませる。
   良く休ませると揚げた時に
   生地に小さい気泡ができます。
   ただし、シャンペンや発泡白ワインのような
   発泡系のものを使った場合は、
   休ませなくても良いです。


(2)パスタマシーンで薄く延ばす。
   好みで最後の薄さや次の薄さで生地を延ばし、
   切り、ねじったりそのままの長方形で
   形を作ったら、
   揚げやすいように真ん中に筋を入れて下さい。






(3)生地を中温の油で揚げます。
   ラード等で揚げたりもしますが、
   私はピーナッツオイルか揚げ専用のオイルで、
   色がつくまで、からっと揚げます。




(4)こんなに沢山作れました。
   できあがりに粉砂糖を茶こしで漉しながらかけます。
   溶かしチョコレート絞り袋でデコレーションしたり、
   私は今回は生地半分にシナモンを入れて練りました。
   シナモンの量は好みですし、
   生地に入れたり、
   揚げたてにシナモンパウダーをかけても良いですね。



CHIACCHIERA、意味はおしゃべり。
語源は奥さん達がおしゃべりをしながら作ったから、とか、
パリパリと食べる時の音から、
とかいわれがありますが
地方によって名前も色々です。

確かに一人で作るより、皆で作る方が楽しいお菓子ですし、
皆でわいわいとこぼしながら食べるのが最高ですね。
 
ご感想はこちらへ もどる   友だちに知らせる
©2005 HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN All rights reserved.