糸井重里は気づきました。
よかったイベント、おもしろかったラジオ、
楽しかった収録、そのそれぞれに
「また石井玄(ひかる)さんがいる」と!
石井さんは、オールナイトニッポンの
チーフディレクターを務めたのち
「株式会社玄石」で独立。
現在、約20本の人気ポッドキャストを担当しています。
そんな石井さんと糸井が、石井さんの新刊
『「自分でやらない」ほうがうまくいく』をきっかけに
お話しすることになりました。
「話すこと・聞くこと」が仕事であり、
楽しみでもあるという共通点を持つふたりです。
始まりも終わりもテーマも決めない対談でしたが、
だからこそ、おのずと
「会話」のおもしろさが浮き彫りになりました。
石井玄さんのプロフィール
糸井
石井さんの新刊は、いつ出るんでしたっけ?
石井
9月29日です
(※すでに発売されました)
。
糸井
ゲラを見せていただきました。
もともと「出版するつもりはなかった」と
書いてありましたね。
そのへんの「するつもりない話」を
たっぷりしませんか?
石井
ぜひお願いします。
ぼくはいままでに2冊エッセイを出して、
「もう、しばらくは書くことがないな」と
思っていたので、
本を出すつもりがなかったんです。
そこに、編集の方が
企画を持ち込んでくださって。
「なんだか石井さんは、
企画をほいほい通して
楽しそうに進行しているように見える。
私は自分のやりたい企画が
ひとつも通らないんです。
どうやったら企画が通るのかを知りたい」と。
糸井
みんな知りたいと思います。
石井
「石井さんのしている企画の通し方や
仕事の仕方を本にしたら、
喜ばれるんじゃないか」と
言っていただいたんです。
だから、最初は
「わかりました。
あなたのためにつくりましょう」
という感じで(笑)。
できあがりさえすれば、
出版しなくてもよかったくらいなんです。
糸井
ホームメイドクッキーみたいなことですね。
石井
そうです。
なので、役に立つかどうかわからないけど、
つくってみました。
本を出して箔をつけたいとか、
自分の考えを広めたいという気持ちは
自分にはないんです。
糸井
エッセイも、自分からというよりは、
企画を持ち込まれて書いたんですか?
石井
はい。当時、若かりしぼくは
「ラジオをなんとかしなきゃいけない」
みたいな気持ちがあって、
Twitterでラジオに対する熱くるしい思いを
言っていたんです。
「ぼくはラジオの世界で本気で働いているし、
ラジオを盛り上げたい」と、意思表示して。
それを見た編集の方が
「この人はきっとなにかある」と
思ってくれて、
「ラジオへの情熱を本にしてほしい」と
言ってくださいました。
糸井
言いたいことがあるときに、
そのお誘いは嬉しいですね。
石井
はい。自分のエッセイによって、
ラジオがちょっとでも注目されたり、
ラジオ業界の人たちの参考になったりしたら
いいなという目的がありました。
糸井
そのときの気持ちって、
石井さんのなかで、
いまもずっと変わっていない気がします。
石井
たしかに、ラジオを盛り上げたい気持ちは
いまもあります。
最近、ダウ90000の蓮見(翔)くんが
「お笑い流行ってない」「演劇流行ってない」
と言っていましたけど‥‥
糸井
名言ですよねぇ。
石井
名言です。一方のぼくは、10年前に
「ラジオ流行ってない」
「だから流行らせたい」って
言ってたんですよ。
糸井
はあー。俺は「糸井が流行ってない」って
言ったことあるよ。
石井
「糸井」が(笑)。
糸井
ほぼ日を始めてちょっと経ったときに、
「糸井が流行っていた時代があったけど、
いまは流行ってない」と書いたんだ。
石井
あの言葉って
「たしかに流行ってた時期」を
持つものに対して使われがちですね。
たぶん、多くの人は「いまも流行ってる」と
思ってるんです。
それに対して「流行ってない」って
伝えてあげないと、次に進めないんですよね。
糸井
そうだね、次に進みたい人が言う言葉だ。
真正面から「ラジオはいいんです」と
言っても、聞いているほうは
「また言ってる」と思うかもしれないけど、
そこを「ラジオ流行ってないから
流行らせたい」と言うのがいいですよね。
石井
「ラジオっていいものなんです」と、
ラジオ業界の人たちがすごく言っていた
時期があったんです。
でも、ぼくは、ラジオのなかの人たちが
正面切って「ラジオいいものですよね」って
言ってるのが、いまはちょっと‥‥
むず痒くなってきて(笑)。
糸井
言ってしまえばポジショントークですからね。
石井
もっと前は、ラジオ業界の人たちは
「ラジオはいい」と言ってなかったんですよ。
「俺たちラジオなんてもうダメなんだ」と
下を向いてた世代がいて、そんな業界を
奮い立たせるために
「ラジオってすごくいいですよ」と言う世代が
現れました。
すると、さらに下の世代は、
「ラジオっていいものなんだ」と考えて
入ってくるわけで。
糸井
「オタク」って蔑称だったものが、
いいものと捉えられるようになって、
自分から「ぼくオタクです」と言う人が
現れたみたいな。
石井
そうなんです。そうなるとぼくは
「いや、そんなによくはないよ」
と思っていて(笑)。
もちろんラジオはいいものだという考えは
変わらないんですけど、
正面から「ラジオはいいんです」と
言うんじゃないアプローチをしていかないと、
これ以上流行らないというか、
ラジオが好きな人たちが
「ラジオいいぞいいぞ」と言ってるだけの
状態になっていくので。
糸井
石井さんが「ラジオが流行ってない」と
思っていることは、
石井さんのやっていることに
つながってますよね。
いまやってることも、大雑把に言うと、
ラジオの良さを表現しているみたいなところが
あるじゃないですか。
石井
そうですね。いまぼくが、
ポッドキャストやイベントを通してやっている
「いかに、ラジオ的なやり方を
いろんなジャンルに応用できるか」
という実験が、いずれ
ラジオの価値を高めるんじゃないかと
思っています。
(明日に続きます)
2026-10-20-TUE
『「自分でやらない」ほうがうまくいく
信頼されている人だけが知っている
7つのルール』
(PHP研究所)
石井玄さんの最新刊です。
「たくさんの企画を楽しそうに進行している
石井さんに、仕事の仕方を教えてほしい」
という編集者さんの希望から生まれました。
石井さんが実践してきた働き方、考え方が
惜しみなく書かれていて、
多くの「働く人」にとって
いい意味でグサッとくるはず‥‥。
2026年9月29日、PHP研究所から発売されました。
本対談と合わせてお手に取ってみてください。
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