ジョージ 男の子と待ち合わせをするのは、
この、メンズ館の1階が多いかも。
そして、一気に最上階まで上がって、
ゆっくり見ながら降りてくるんだけど、
きょうは、まず1階を、ぐるーっと見ていい?

── どうぞ、どうぞ。
入ってすぐ右が男性コスメなんですね。

ジョージ 伊勢丹ふりだしで
有名になった男性コスメも
けっこうあるのよね!
たとえばイソップ(Aesop)
気がついたらここから旅立ってた!
サンタ・マリア・ノヴェッラ
(Santa Maria Novella)

伊勢丹、入れるの、早かったわね。
モルトン・ブラウン(MOLTON BROWN)に、
キールズ。
アクア・ディ・パルマ
(ACQUA DI PARMA)
もいいのよ?
レギュラーでレモンの香り、
あるいはレモンノートに
ハーブの香りが入っているものも。
ただ、これ、食欲がでちゃうの。やばいの。
ほら、セージぽい香りがするでしょ。
あたしローストチキン? ブオナッペティート!

── 瓶が、かっこいいですねえ。

ジョージ 女の香水って宝石のようだけど、
男の香水って洋酒のよう。
このあたりはジンとかウォッカみたいだし、
あっちはブランデーやウイスキーでしょ。
プライベートで密やかな男の愉しみって
葉巻やお酒ってことなのね。



ジョージ それにしてもいいにおい!
一時期、かおりが控えめな
化粧品がはやった時期って、
寂しかったですものね。
みんな、色が白くなりたいか、
しわをのばしたいか、みたいな感じで。
ま、それも大切だけど、
とりあえず、香りをまといましょ! って思う。
それを考えると、メンズ館の1階が
これだけ香りがするのは、いいことだわ。
── いつのまにか男性用のフレグランスって
こんなに増えたんですね。
男性化粧品って、ちょっと香りが
一方向的で強いっていう印象が
以前はありましたよね。

ジョージ オヤジの臭いがするー!
っていうようなね。
葉巻の臭いだとか、
そうでなければムスク系
それはホルモン系でしょ?
女の人が一番苦手な世界だと思うの。
不思議なもので、
性の超越の話じゃないけど、
女の人の性は明るい方向に、
女らしさを象徴できるけど、
男の性ってホントにプライベートなものだから
人にあまり見せちゃいけないものかもしれない。
だから、いま、無臭のほうに向かっているけど、
無臭って臭いを隠せないのよ。
結局、臭いは出てくる。
だったら、香りをまとったほうが
いいような気がするのよ!

ただ、男性の香水って女性ものに比べて
種類が、というよりメーカーが多いのね。
しかもメーカーによって性格が明確じゃないから、
選ぶのがすごく面倒くさくなることがある。
だから、世の殿方は
方向性のはっきりしたものを選びがちなのよね。
ああ、もったいない。

── どういうふうになっていたら
選びやすいんでしょうかね。

ジョージ そうね、彼女がシャネルをつけている男性が
買うと良さそうな‥‥つまり、
シャネルと相性がよさそうな香水が
ひとかたまりになっていたり、
彼女がジバンシィが好きなら
このラインをというのが
アンチョコのようにあるとすっごい助かるわよね。
だって男って自分のために香るよりも
彼女と一緒に香りたいと思うから。
切り口はあると思うの。
男が思わず買ってしまうような
フレグランスの売り方‥‥。

── ここの店員さんは女性がほとんどですから、
そんなふうに相談に乗ってくださったら
ちょっとうれしいですよ。

さて、こちらは革製品の小物がいっぱいです。

 

ジョージ カミーユ・フォルネ(Camille Fournet)
大好き!
伊勢丹の人 わたくしも時計のベルトを変えるときなどに。
ジョージ そうよね、こういう革の小物は、
女性たちもメンズ館に来ると
いいものが見つかったりするのよね。
そんなにお値段もしないし。
あ、これ、わかる?
ビルフォルダー。
これにカードとお札を少々。
手ぶらでお食事に行けるわよ。



── 憧れのスタイルです。
あ、名刺入れも、いろいろありますね。

ジョージ マチがしっかりしてるものを選ぶのよ?
いくつあってもいいもの、
それは女の靴、男の名刺入れ。
シーンによっても使い分けられるし。

── 使い分けたこと、ありません‥‥。

ジョージ だってジャケット、スーツも
いろんな色や素材があるでしょう?
そこから出すときに、いつも同じものでよくって?
シーンによって使い分けるべきよ。
お財布だとか、時計のベルトだとか、
コインケースとかって、そんなに高くないんだから、
いくつか持って、お洒落をしたらいいと思うのよ。

── このフロア、いくらでも見ていられますね。



ジョージ そうなの。たとえばこのちーっちゃなコインケース。
「これじゃ、コインがはいらないや!」とか。
必要がないときはケチを付けられるのよね。
買わなくていい理由を考えられるから。
彼女がいる男の人が
女性を平常心で見られるのと同じよ。
自分の彼女のほうがいい! と思って見るから。
でもね、買わなきゃいけないときは
冷静に見れなくなるの。
買うべき理由を探そうとするから。
そうすると、買い物が楽しくないの!

── 必要に迫られて探すものって、
決め手に欠けて、
最後は妥協しているような気分になるんです。

ジョージ でもね、こんなちっちゃなコインケースでも、
デニムのコインポケットに
ちょうどはいるところがいいのよ。
すごくよくできてる。
ヨーロッパに行くとオペラのチケットって
だいたいこのくらいのサイズで小さいの。
昔、エルメスなんかも、
オペラチケットフォルダーなんてものを作った。
それにすごく近いのよね。
こういうのを見つけて、
なんで、こういうサイズのものがあるんだろう。
って考えるのが楽しいお買い物!





── めがね売り場もありますね。
百貨店でメガネをつくるって
すっごく贅沢な気がしますね。
不思議なんですけど。

ジョージ ここは999.9(Four Nines)ね。
でも、上の階にも、
コーディネートのアイテムとしての
メガネをあちこちで扱っているのよ。
 

































■ イソップ
体にやさしく地球にもやさしいっていうのがテーマの基礎化粧品‥‥、なのだけれど。すべてを「超えてる」感じがステキ。性別や年齢。国籍性もアッサリ超えてて、しかも化粧品とか薬品だとかその役割まで超えている。ただただ使い心地がいいのよねぇ‥‥。ラベルもとてもスマートで、イソップが並んだバスルームってウットリするほど美しい。オトコも女も超越してる、オカマ的にはいとおしいほど気になるの‥‥。

■ サンタ・マリア・ノヴェッラ
あまり親密でないお友達に、どうしても「香りモノ」をプレゼントしなくちゃいけなくなったとして、選ぶとしたら絶対ここのオーデコロンね。セクシーじゃないの。さわやか、そして癒し系。だって、1000年近くも続く薬局が作ってるのよ。もしかしたら世の中のすべての香りはここから生まれて育っていたのかもしれない‥‥、って思えるほどに、はじめて嗅いでもなつかしいの‥‥。恋人じゃなくて、ダーリンの香りネ‥‥、好きだわぁ。

■ モルトン・ブラウン
ワタクシ的に、クールなイギリスの象徴ですネ。コンラン卿がデザインした、クールでモダンなホテルのアメニティーにピタッとはまるクールなボトル。スパイシーでかなりコッテリとした香りがオトコの色気を引き立てるのよね。そうそう、頭から体までこれ一本で洗えるオールオーバーシャンプーが昔っからあってジムのロッカールームにありがたかった。一時期、ブリティッシュ・エアウェイズのファーストクラスのトイレタリーがモルトンブラウンだったりしたのもステキな思い出。擬人化すればジュード・ロウだわ‥‥、多分、そう。

■ アクア・ディ・パルマ
なんてったって「パルマの水」よ。ハムがおいしいパルマのお水。明るくってさわやかで、スプマンテ片手に生ハムつまんで陽気に過ごすイタリアの休日みたいな香りがするの‥‥。香水の中でこれほど、食欲に直接訴えかけてくる香りのモノってそうそうないわ‥‥。お腹が空くってステキなことよねぇ‥‥。

■ ムスク系
異性を誘う本能の香り。嫌いじゃないのネ‥‥、濃厚でコッテリとした本能ゆさぶる香りは好き。だけど自分の中からほとばしり出る、殿方を誘うフェロモンと喧嘩することがあったりするの。同質な匂い同士がぶつかり合って、鬱陶しくなってくるのが切なくて。だからちょっと嫌いだわ‥‥。















































■ カミーユ・フォルネ
腕時計のベルトであったり、財布であったり名刺入れ。エレガントな男性の手にこそふさわしい、上等な革。丁寧なあつらえ。ここのベルトをあしらった時計がとても上等になる。財布の中のお札はなんだか居心地よさげで、名刺が立派な名刺にみえる。カミーユ・フォルネでボクの体をくるんでもらえば、ボクも立派にみえるかも‥‥、って妄想しちゃう。

■ 手ぶらでお食事
丸の内とか赤坂で手ぶらでランチに出かけるって、フリーランスのワタクシとしてはちょっと憧れ。立派なビルの立派な会社のビジネスマンを装い食事をするために、手ぶら、できればノージャケットでお昼の街を歩いてみるのネ。大切なのは「ノーバッグ」じゃなく「ノージャケット」。大きなお財布は野暮なのよねぇ‥‥。シャツのポケット、あるいはパンツの前ポケットにストンと収まる小さな財布。ヒップポケットに分厚い財布なんて、もうダメダメで、そんなときにビルフォルダーがあると便利。でかけるときには忘れずに‥‥、だわ。























































■ オペラ鑑賞
胸にナイフを突き刺したまま、瀕死の重傷という設定でそれでも大きな声を張り上げ、延々10分近くも唄い上げつつ、結局、巨体を揺すって美女役が死ぬ。あまりに哀しく、あまりに残酷なその一部始終を看取りながらも悲劇の舞台に飲み込まれぬよう、華麗に着飾り戦に臨む。それがオペラ鑑賞という実際。戦いに臨む華麗な人たちを、鑑賞するのが実は一番たのしかったりするワタシ。意地悪さんでございます(笑)。























■ 999.9
男性にとって上半身の印象をかえる最高の小道具が「ネクタイ」だった時代がずっと続いてたのね。ネクタイが発明される前にはカツラ(笑)。ベートーベンのくるくるカツラみたいな大げさなモノをつかわなくても、ネクタイ一本かえると顔のムードをかえられる、いい発明ではあったんだけど、最近、ネクタイせぬのもオシャレのひとつになっちゃった。そこでメガネの出番だわよ。髪を切るより簡単に、自由自在に自分を表現できるメガネを探しにくるにはいいお店。





メンズ館の1階って、
そんなにすごく広いっていうわけでもないんですよ。
けれどこの充足感!
次回も引き続き1階を探訪しまーす。
2012-07-18-WED