…ま、それも「学校」の話。伊集院光✕糸井重里 …ま、それも「学校」の話。伊集院光✕糸井重里
面白くて笑ってばかりだったんですけど、
伊集院光さんと糸井重里の対談があったんです。
公開対談でね、そう、「ほぼ日の學校」の!

テーマが一応「学校」なんですけど、
関係なさそうな話がどんどん出てくるんです。
円楽師匠の話や『粗忽長屋』の話になったり、
伊集院さんの奥さんと糸井の共通点が語られたり、
謎の旅の話をしたり、窓ガラスに鳥がぶつかったり、
だいぶ下品なたとえ話が登場したり。
‥‥でもふと気づくと、いつのまにかそれが
「学校」や「学び」の話にもなっていて。

ふたりが掛け合わさると、こんなふうに話が
広がっていくんだ!という驚きのある全15回。
ま、どうぞ、ごらんください。
15.与太郎の力。
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伊集院
なんかね、仕事って、
計算式みたいに考えちゃうと
無駄に思える人材かもしれないけど、
「なんかそいつが使えないおかげで、
みんなががんばる」
みたいな人、いますよね。
糸井
その通りです。
伊集院
僕のやってるラジオの
最初のプロデューサーの周りはとにかく
仕事ができる人が集まるんですけど、
本人は深夜放送のキュー(進行の合図)を
振ってて、寝ちゃうような人で。
会場
(笑)
伊集院
周りに来る人材は彼の性格も知ってて、
「彼をちゃんとその役職にいさせるために、
俺らがんばる」のが楽しいと。


だからもう、落語で言う与太郎なんですよ。
糸井
ああ、与太郎。
伊集院
与太郎、「みんなで吉原繰り出すぞ」ってときに、
着ていこうと思った揃いの衣装が足んねえから
「与太郎を置いてこうか」となって、
そのあとの台詞がよくて、
「あいついると座が持つ」って言うんだよね。


「あいつは欠かせない、なぜなら座が持つから」
って理由なんだけど、
なんかそういうことなんですよね。
糸井
その通りなんですよ。
僕の知ってる人にも、そういう人いますね。
伊集院
で、「タイパ」「コスパ」を考えている人は、
「このことも入れて考えられますか?」っていう。


「じつはこの役立たず力が、
全体の効率を少し上げてます」というのを
ちゃんと考えられる人が、
本当の「タイパ」「コスパ」を
管理できる人だと思うんですけどね。
糸井
どこかがほんとうにダメだったら、
その場所に置かないんですよ。
だから、名付けようのない力。
写真
伊集院
そう、その力が大事なんですよね。
そこをなんか、少し考えないと。
糸井
法律って『六法全書』に全部書いてあるんですね。
でも「判例集」って本のほうが多いんですよ。


うちの親父が法律関係だったんで、
棚に判例集がざーっと並んでて、
子供のときは意味がわかんなかったんですけど、
大人になって、
「こういうときにはこういう判決が下った」
という例がすごく大事だと知って。
伊集院
それが現実ですからね。
糸井
そうなんです。
伊集院
『六法全書』自体も
びっちり分厚く書いてあるのに、
「そうは言ったって、
現実はもっとややこしいこといっぱいありますよ」
が判例集ですものね。
糸井
僕も、知識的に聞いた話ですけど、
「何で勉強するんですか?」
って生徒に聞かれた学校の先生が、
パッと四角い長細い絵を描いて、
「ここにトイレットペーパーがある」と。


そのあと真ん中に小さく色をつけて、
「‥‥これが拭いた後だ」と。


「紙の役割としては、
この拭いた後だけでいいじゃないか。
でも、まわりのこれがないとダメだろう?」
って言ったと。
会場
(笑)
伊集院
わぁ、いい話だなぁ。
写真
糸井
僕も知ったのは最近ですけど、ちょっと感動して。
伊集院
「お前らは、実際に使わない勉強なんて
無駄じゃないかと言うけれども、
じゃあお前、この直径3センチの
トイレットペーパーで大丈夫か?」という。
糸井
そう、この名付けようのない空白のなかに
トイレットペーパーの実体があって。
しかも、それをみなさん、
3枚重ね、4枚重ねにしているわけですから。
「真ん中だけ見て、知ったような気になるなよ」と。
伊集院
「この数式2行くらいしか使わないかもしれないけど、
教科書はこれぐらい厚くなるだろう?」っていう。
糸井
こういうののおかげなんだよ、っていう。


そのオチはね、
「勉強をうんこでたとえちゃいけないか?」で
終わってたんですけど、
「いや、たとえていい」と。


‥‥何かとうんこに行っちゃうんですけど。
すいません。
会場
(笑)
写真
伊集院
糸井さん、初めて会ったときから変わりませんね。
糸井
どうしてもそこに。
それで怒られなかったからでしょうね。
伊集院
たぶん、うんこってアイテムを使っても、
うまくたとえ続けてきたからですよ。
それでみんな、ちゃんと納得してきたっていう。
──
‥‥すみません、そろそろ質問コーナーに。
糸井
そうなんだよ、最後、質問コーナーなんだよね。
伊集院
そうですね。質問ちゃんと受けましょう。
――
ありがとうございます。
では、時間がほとんどないので、
事前にいただいていた1問だけ。


いきなりちょっと変わりますけれども。
「おふたりにとって、何歳からでも
通ってみたい学校って、どんな学校ですか?」
伊集院
なんか僕は早く高校を辞めちゃって、
辞めちゃう前もべつに皆勤賞とかじゃなくて、
行かながちの人だったんで。
だからやっといま、やっとですよ、
「勉強面白い」ってなってきたから、
どの学校でも、いつでも入れる学校は欲しいですね。


後悔してることがいっこだけあって、
最初に高校でつまずいたときに、休学して
高認(大検)取っちゃえばよかったなっていう。
親はそう言ってくれたのに、
なんか変な青さでできなかった。


「高認」ってたぶん早く取れるけど、
大学受験は18までたぶんできないんです、
最低年齢が決まってるから。
あ、皆さんそれぞれ調べてね、いい加減かも。


でもなんかそれが「いつでも行ける学校」に
近かったような気がして。


いま学校に行きたくなくて病んじゃってる子も
いっぱいいるなかで、
べつにポンって辞めちゃってもいいんだけど、
そういうやり方で心が落ち着くなら、
「いまある学校を、ある程度、いつ行ってもいい化する」
みたいのは思いますね。


だから僕はどの学校でも、
いつでも行ける学校があれば行きたいですね。


‥‥糸井さんは?
糸井
僕はね、やっぱり学んできたことを思うと、
「人」と「本」しかないわけですよね。


「学校」って名前はついてないけど、
1冊の本はもう、1つの学校ぐらいですよ。
くだらない本でも本ですよ、やっぱり。
それなりに何か書いてあるんですよね。
伊集院
わかるわー。
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糸井
そこはなんか
「お前より本のほうがいいと思って
読んだほうが得だぞ」
っていうのはひとつありますね。
本って、いつでも興味があるものを読めばいいだけだから。


もうひとつは「人」で、まったく無学の人から
学ぶことのほうが逆に多いですよね。
伊集院
ああ、かもしれないですね。
糸井
その意味で、いま「人に会うこと」が
全部僕にとっての学校なんで、
「ほぼ日の學校」っていうタイトルで
やろうとしてることは、それですね。
人にそれを配りたいんですよね。


「僕がこんなに面白かったんだから、
あくびしながらでも見ると、たぶん何かだよ」
っていう。
それはなんかやらないともったいないなって
気持ちはありますね。
伊集院
で、逆も真なところは、
そうやって「人に会う」とか、
「本と出合う」みたいなことをしたいから、
学校に近いものは必要。


そしてまた、それが押し付けられる勉強になって、
人に会いたくなくて、
本が読みたくない時期に学校に行くのは、
いったん止めていいでしょ、って思うんですよね。
糸井
全然止めていいんじゃないでしょうかね。
伊集院
全然止めていいって思うし、自分は止めてみました。
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糸井
そのときにしたいことを、
なにか思いつきさえすればいいんだと思いますね。
コンビニのお菓子が食べたいんだったら、
コンビニのお菓子とじっと1日
付き合ってもいいじゃないですか。
伊集院
ほんとにそう思うんですよ。
で、そっち側を極めていけばいいことだから。
世界のコンビニのお菓子食べたくなったら、
英語をやりはじめるかもしれないし。
お小遣いの制限があれば
算数をやるから、ってことでよくて。


やりたいことを見つければ、
逆にどこでも「学校」ですよね、
糸井
そうですね。
やっぱり「なにも感じない」ってときの
怖さがいちばん大きいんで、
「知らない」とか「何かやりたい」じゃなくて、
自分が「感じない」って思ったら、
「あれ?」って思っていいんじゃないですか。
で、「あれ?」って思うと感じるんですよ。
伊集院
なるほど。
糸井
「感じないなぁ‥‥」と思ったときに
つねったら痛いとか、ちょっとでも
「感じ」の手がかりを見つけたら、
そこからはじまれる気がするんですよね。
──
おふたりとも、ありがとうございました。


では、駆け足となってしまいましたが、
こちらで終わりにさせていただけたらと思います。
伊集院さん、糸井さん、聞いてくださったみなさん、
今日は本当にありがとうございました。
伊集院・
糸井
ありがとうございました。
写真




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(おしまいです。

お読みいただきありがとうございました)
2024-02-14-WED