GO!なひと/vol.02 ミロコマチコさん GO!なひと/vol.02 ミロコマチコさん
「GO!なひと」は、さまざまな地域に
通い続けている人や、
移住した先で活動している人を訪ね、
その土地とのかかわりや、日々の生活について
インタビューする新シリーズです。

第2回は奄美大島で暮らす
ミロコマチコさんにお話をうかがいました。
大阪で育ち、東京生活を経て、
たどりついた奄美での暮らしは、
「島から出たくない」と思うほど
日々が充実しているのだそう。

そんなミロコさんは、ただいま開催中の
第一回 前橋国際芸術祭 2026に参加されており、
作品を展示されている白井屋ホテルさんで
お会いしました。

聞き手はほぼ日のやすなです。
ほぼ日GO!とは、
ほぼ日が、日本全国の地域の方々と
幅広くて自由なコンテンツを作り、
更新していく場所です。



文・藤田亜紗美
第1回 島からやってきて、根をおろす
※ミロコマチコさんのインスタレーション作品が
展示されている、前橋の白井屋ホテルで
インタビューを行いました。
写真
──
よろしくおねがいします。
今日は主に、ミロコさんがお住まいの
奄美大島での暮らしについて
うかがいたいのですが、
その前に、今まさに私たちがいる、
前橋市での作品展示について、
お聞かせいただけますか。
ミロコ
はい。よろしくお願いします。
──
今回、芸術祭に参加されるために
奄美大島からいらっしゃったんですよね。
ミロコ
そうですね。今回は、作品の設営があったので、
1週間ほど前に前橋に来ました。
この芸術祭のための下見に来たときが、
はじめての前橋体験です。
──
実際に滞在されて、前橋について
どんな印象を持たれていますか?
ミロコ
私は大阪出身で、東京にも長く住んだんですけど、
北関東のことはほとんどわからなくて。
前橋への事前イメージもゼロだったんです。
今回、白井屋ホテルさんのご依頼だったので、
Webサイトを見て、
「わあ、すごい場所があるんだな」
と思っていたくらいで。
実際に来たら、駅の近くは大きな道路があって、
街のイメージがよくつかめなかったんですけど、
白井屋ホテルさんのあるエリアに近づくにつれ、
たくさんのお店や文化的なものを
目にするようになって。
歩いている人たちからは、
朗らかな空気が流れている気がして、
「なんか、いいな」
というのが最初の印象でした。
写真
──
私もさきほど前橋駅から
この場所に来たばかりなんですが、
この白井屋ホテルさんは、
一つ違う空間に入ったような感覚がありますね。
さらにミロコさんの作品が広がっていて、
また一段と違う世界に入ってきたような
気持ちになりました。
今回、「空気に根をおろす」という
色とりどりの作品を展示されていますけど、
どういう経緯で、この作品が生まれてきたんですか?
ミロコ
こちらに来てからの心の動き、
みたいなものが作品に入っています。
住んでる奄美大島から都市に来ると、
場所や空間に慣れるのに時間がかかるんですよ。
「植物が鉢の中に入っている!」という感じで。
ふだん、ジャングルみたいなところに
住んでいるから(笑)。
──
ジャングル(笑)。
写真
ミロコ
白井屋ホテルさんの
「グリーンタワー」にいるときも、
地面に接していないことにソワソワするというか、
心がちょっと落ち着かない感じがあって。
でも、そこで食事したり、
人と話したりしているうちに、
「あ、この私のソワソワ感が、
作品になったらいいな」と思って、
それでだんだんイメージしはじめて、
最終的に「空気に根をおろす」
というタイトルをつけた作品になりました。
写真
──
ミロコさんご自身の心の動きを
作品として表現されていったんですね。
ミロコ
はい。ふだんは島で、
地域に根ざした活動ばかりやっているので、
そこからここにポーンって来て、
やっぱり不安もあったんです。
ホテルって、いつもの生活とはまた違いますよね。
刺激的でおもしろいんですけど、
私は慣れるのに時間がかかるところがあって、
その、ちょっと足元がおぼつかない感じを
作品にしてみよう、と。
──
なるほどー。
ミロコ
奄美には、ガジュマルとか、
ハマイヌビワとか、アコウの木などの
「気根」を持つ植物たちがいるんですね。
根っこを空中にビヨーンと出して、
空気中の養分や光を取り込んで、
それを地面にぶっさして、
体を支えていく、みたいな。
だからその子たちは、下が砂浜だったり、
台風が多くて不安定な場所だったりしても
しっかり根を張って
体を自分で支えているんです。
「あ、そういうことができたら
いいかもしれない」と思って。
写真
──
ミロコさんも、その植物と同じように。
ミロコ
はい。私も、島から飛行機に乗って
空からやってきて、
人と会話したり、ご飯を食べたりして、
土地のものをちょっとずつ
取り入れていって。
それを養分にして、
前橋にちょっと根をおろしていくような
イメージを形にしたいなと。
──
一つひとつの作品は、
ミロコさんがここにたどり着いて、
時間を重ねていく過程でもあるんですね。
ミロコ
そうですね。
後で見ていただけたらと思うんですけど、
作品を展示している緑の丘、グリーンタワーの
真ん中に白い小屋があって、
上から種のようなものが降りてきているんですね。
私は「光のこども」と呼んでいるんですけど、
それは蓄光粘土でできているので、
光を蓄えて、夜にちょっとボワッと光るんです。
写真
──
へええ。
ミロコ
光を取り込みながら降りてきて、
「さあ、根付くかなあ」って実験してる感じです。
外に展示しているいろんな色の植物も、
よく見ると、根っこが地中じゃなくて、
地上に出ていて、それで体を支えているんです。
植栽に隠れているところもあるので、
ちょっとのぞいてみてもらえたら。
写真
──
楽しいですね。
しかも訪れる時間帯によって
違う印象のある仕上がりになっている。
ミロコ
そう。今、絶賛設営中ですけど、
夜はライトアップされる予定です。
お天気によっても見え方が違うと思うので、
楽しんで見てほしいです。
写真
©Shinya Kigure
──
都市部で過ごしていると、
光に対して鈍感になっていることに
気づくきっかけにもなりそうですね。
ミロコ
そうそう。前橋は、
この白井屋ホテルもですけど、
植物が町のあちこちに植えられていますし、
自然や風を感じられて、
すごくいい場所だなと思います。
もっと大都会に行くと、動いているのは
ご飯屋さんの旗だけ、みたいな(笑)。
──
奄美大島だと、もっと自然の動きを
たくさん感じられるんでしょうね。
ミロコ
奄美だと本当に何一つ止まっていないんです。
光も風も、葉っぱや鳥や虫も、
いつもうごめいてるから、
情報がいっぱいあって、安心できます。
写真
(つづきます)
2026-11-04-WED
「第一回 前橋国際芸術祭 2026」で、
ミロコマチコさんの
アートイルミネーション・
インスタレーション作品を展示中です。
写真
「空気に根をおろす」
芸術祭のテーマである「めぶく。」に合わせ、
白井屋ホテルの「グリーンタワー」全体に
ミロコマチコさんのつくる
色とりどりの「空想の種」が根をおろしています。
<展示期間>
2026年9月19日(土)~ 2027年1月12日(火)
<展示場所>
白井屋ホテル 屋外 
グリーンタワー

(住所:群馬県前橋市本町2-2-15)
<点灯時間>
毎日 17:00 ~ 23:00
※昼夜共にお楽しみいただけます。
期間限定企画として、白井屋ホテルの客室内に
ミロコマチコさんの作品が飾られた
「ミロコマチコルーム」が登場するほか、
限定コラボクッキー缶の販売も!
くわしくは白井屋ホテルさんの
Webサイトをご確認ください。