緑ゆたかな砧公園のなかにある世田谷美術館で、
「グランマ・モーゼス展ー素敵な100年人生」
が開催されています。
グランマ・モーゼスこと、
アンナ・メアリー・ロバートソン・モーゼス(1860-1961)は
1860年にアメリカ・ニューヨーク州東部で生まれ、
生涯のほとんどを農家の主婦として暮らした女性です。
本格的に作品を作りはじめたのは70代になってからで、
80歳ではじめての個展をひらきます。
その後、国内外で作品が評価されるようになっていくなか
農家での暮らしはそのままに、101歳で亡くなる年まで
1,600点以上の作品を描き続けました。
展示会場に並ぶ作品は、どれも
グランマ・モーゼス自身が暮らしのなかで
目にして、経験してきた景色をもとに描かれています。
人生の節目になる出来事や四季折々のイベントを描いた
見晴らしよくひろがるパノラマが印象的です。
ほぼ日カルチャんでも販売しご紹介している
「アップル・バター」を作るシーンの作品も展示されています。
りんごを収穫するひと、皮をむくひと、大きな鍋で煮るひと。
それぞれの持ち場ではたらく人たちが
ひとつの景色になって描かれています。
「アップル・バター」ができあがるまでの
ストーリーも感じ取ることができて、
その場のたのしさやうれしさが伝わってくるようでした。
わたしにとって、グランマ・モーゼスの作品は、
いちどに長い時間眺めていたいというより
人生のなかで何度も見返したいものになりました。
大自然のなかで、たがいに助けあいながら
たのしく暮らしていく、やさしさとたくましさ、
そしてユニークな感性にとても魅力を感じます。
わたしも、こんなふうに歳を重ねたい。
憧れと決心が混じり合った気持ちが
お土産になった展覧会でした。