ほぼ日カルチャん

特別展「桃山ー天下人の100年」

ミュージアム

0125

「かっこいい」が溢れた100年!

せいじ

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東京国立博物館で開催中の特別展
「桃山ー天下人の100年」に
行ってきました(見学日:1025)
とても魅力的な展示だったので、
少しご紹介させてください。

桃山期は、
とにかくかっこいい時代だと思っています。
絵画から茶の湯まで、
革新のすべてがロックでかっこいい
そんな時代を、
余すところなく味わい尽くせる展覧会でした。

▲国宝「洛中洛外図屛風(上杉家本)」右隻 狩野永徳筆 6曲1双 室町時代・永禄8年(1565) 米沢市上杉博物館 前期展示(展示は終了しました)

群雄割拠の展示品たちの中で、
私の一押しはやはり「洛中洛外図屛風(上杉家本)」です。
洛中洛外図とは、
京都の街並みを俯瞰するように描いた絵画のこと。
その一つである上杉家本は、
桃山期を代表する絵師、
狩野永徳23歳の作とされています。
その魅力は、23歳の作とは思えないほどに
微に入り細を穿つ描き込みにあります。
159.2 × 361.8 cmの屛風に、
2485人にも及ぶ人物が
生き生きと描き込まれているのです
お祭りの山車を持ち上げて
騒ぐ若者たちがいれば、
店先で客を呼び込む看板娘の姿も。
あそこに見えるのは、お偉い殿様でしょうか
細かい部分を見ていくと、
一向に飽きが訪れません。
しかし、時間が限られる展示会場では、
清水寺や渡月橋など、
みなさまの知っている京都の名所を探すのも、
楽しい見かたの一つかもしれません。

しかもこの屛風、来歴もまたかっこいい。
もとはといえば、
室町幕府13代将軍・足利義輝が
上杉謙信への贈り物として
永徳に注文した作品でしたが、
制作の最中に義輝は急襲され死亡。
その後完成した屛風を手に入れた信長は、
自身の手で屛風を謙信に贈った、
という説が現在では支持されています。
約束を果たす、という意思が
信長にどれほどあったかはわかりませんが、
そんな展開をちょっと期待してしまいます。
戦国のロマンをその身に纏った、
格別な一双です。

しかし、この上杉家本ですが、
前期展示(11/1まで)のみの出品らしく、
今から会場に行っても、会うことはできません。
その代わり、後期にはそれに匹敵する出来ばえの、
「洛中洛外図屛風(舟木家本)」が待っています!

▲国宝「洛中洛外図屛風(舟木家本)」右隻 岩佐又兵衛筆 6曲1双 江戸時代・17世紀 東京国立博物館 後期展示

奇想の絵師・岩佐又兵衛が腕を振るった、
これまた描き込みが凄まじい屛風です。
上杉家本と比べて、
人々の熱気がよりダイレクトに
伝わってくる作品だと思います。
ああ、語っていたら、
後期展示にもまた行きたくなってきました

ここまでは、私の「推し」である
「洛中洛外図屛風」をご紹介してきましたが、
もちろん「桃山展」、これだけではありません。
狩野永徳筆「檜図屛風」や、

▲国宝「檜図屛風」 狩野永徳筆 4曲1双 安土桃山時代・天正18年(1590) 東京国立博物館 前期展示(展示は終了しました)

長谷川等伯筆「楓図壁貼付」などのド派手な絵画から、

▲国宝「楓図壁貼付」 長谷川等伯筆 4面 安土桃山時代・文禄元年(1592)頃 智積院 通期展示

金や螺鈿(らでん)の輝きがまぶしい工芸品、
そして茶道具や甲冑まで、
とにかくかっこいいもの尽くしの
約230件(展示替えあり)

いやはや、息切れするほどの濃密さでした。
みなさまも、
「天下人の100年」を彩った逸品たちに、
会いに行ってはいかがでしょうか。

基本情報

特別展「桃山ー天下人の100年」

会期:2020年10月6日(火)〜2020年11月29日(日)
※前期展示:10月6日(火)~11月1日(日)
※後期展示:11月3日(火・祝)~11月29日(日)
会場:東京国立博物館 平成館(上野公園)
時間:午前9時30分〜午後6時
※金曜、土曜日は午後9時まで開館
休館日:月曜日(ただし11月23日[月・祝]は開館)、11月24日(火)

詳細はこちらから。