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| 楠かつのり・ 詩のかくれ場所。 |
| 発見12 採取場所 調布市仙川のプラザ・ギャラリー 「生命の知覚」展 1999年2月1日〜2月28日 採取時間 1999年2月6日 午後6時10分 「針金のグニャグニャが音符みたい。」  ビデオインスタレーションで 「自分の声」を展示しました。 作品名は、 「あじゅじょ 視覚もじょもじょ 声があじゅじょと生えてきた」。 オープニングパーティに来ていた 女子大学生がその作品を見て、 一緒に来ていた女友だちにそう話していた。 ジョン・ケージは色で音符を作っているが、 針金の形状が音符になっているとの指摘は 嬉しかった。 まあ、その針金の音符を再声できるのは、 かなりの21世紀者だと思います。 発見13 採取場所 新宿武蔵野館 採取時間 1999年2月12日 午後6時5分 「家を出て他の街で暮らしている お姉さんのために……。」 こんな台詞が生きていた。 映画『のど自慢』で女子高校生役の娘が、 「花」を歌った後で、司会者に 「どうしてこの歌を選んだのですか」 と尋ねられて答えた台詞。 話しことばではなく、 歌でしか伝えられないこともある。 カラオケじゃ、ドラマは生まれないけれど、 『のど自慢』の場にはそれはある。 井筒さんの情の深さは本物だね。 発見14 採取場所 楠自宅仕事部屋のパソコン画面上 採取時間 1999年2月14日 午前8時59分 「  （まるひ）」 バレンタインデーに アニメチョコレートをもらった。 インターネット上に現れたアニメチョコレートは とても大きなハート形をしていた。 人間のぼくは、それは食べることはできない。 でも、見ているぼくの顔は ニヤニヤしていたと思います。 もちろん、ダイエットにはgoodでした。 カードに付いていた彼女からの言葉は秘密です。 発見15 採取場所 楠自宅仕事部屋のパソコン画面上 採取時間 1999年2月21日 午後3時30分 「 高校時代から物まねが得意で、 俳優を志し上京。 横浜放送映画専門学院を中退後、 物まねタレントの付き人などを経て、 昭和58年から劇団民芸に入団。 平成3年親睦団員演芸会で演じた 物まねが米倉斉加年に認められたことを きっかけに休団し、腹話術師に転身。 5年口うるさく知ったかぶりする鳥の “さとる”と、 頑固じいさんの“ジョージ ”という 2つの人形を使ったトリオ腹話術でデビュー。 老人ホームなどでボランティアの 公演活動を続ける。 6年本格的なプロ活動を始め、イベント、 寄席、ホテルのショーや 各地の祭りなどで芸を披露。 10の声を使い分けるマルチ腹話術を目指す」 腹話術師・いっこく堂のプロフィール。 プロフィールというのは、 その人の表の顔のようなもので、 その顔を売って商売をする。 もちろん、商売にならない顔もある。 この顔はいい顔をしている。 腹話術師というのも魅力的だ。 「5年口うるさく知ったかぶりする鳥の “さとる”と、 頑固じいさんの“ジョージ”という 2つの人形を使ったトリオ腹話術でデビュー」 というのもいい。 実は今度、実物を見に行きます。 発見16 採取場所 六本木オリベホール 「日本の聲 気〜息〜肚〜そして声がはじまる」 （芸術文化交流の会主催） 採取時間 1999年2月27日 午後5時20分 「ひばり返し」  「聲明（しょうみょう）」と 「平曲（へいきょく）」と「古典落語」を 続けて聞くというイベントに行った。 「聲明」と「平曲」とは、 お坊さんたちのあげるお経と琵琶法師の 朗唱といえばよいのかな。 とにかく、肉声を味わってもらう 企画意図なんだけど、 お経をあげるお坊さんたちと 対面しているとなんだか落ち着かない。 あとでお坊さんの一人が、 「この場合、お客さんを 仏さまだと思っています」 といっていたので、 やはり生き仏にされていたのかと納得した。 その「聲明」の声の出し方の中に 「ひばり返し」 というのがあって、それは、 ひばりがヒューと一回転して、着地し、 ツッツッツッと三歩足が出てしまう、 そういう状態を表している声だそうだ。 それに「聲明」の楽譜も面白い（画像）。 これも書かれた詩じゃっ、ツッツッツッ。 発見17 採取場所 楠自宅リビング 採取時間 1999年2月28日 午前8時37分 「白髪のモヒカン」 NHK教育テレビ番組『新・日曜美術館』で 篠原有司男さんが「ボクシング・ペインティング」 をやっているのを見た。 ボクシングパンツ姿で67才の肉体を晒し、 白髪の髪をモヒカンにして、 墨に浸したスポンジを巻いたグローブを着け、 カンバスを殴る。 1、2分の短い闘い。 60年代ではこの行為が、 いろいろなイメージを与えたに違いないが、 「出来上がったものは見ないよ」といいながら、 「見るとしたたらこうだ」といって カンバスに背を向けて両足を開き、 股の間から見るサービスをしてしまう67才。 それらの行為はアートには違いないが、 それを見ていた大学生風の男の子が、 「白髪のモヒカンを見たのは初めてです」と 感想をいった。 |
1999-03-04-THU
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