HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

HARIBOにTOBIとインタビュー。

今度の「生活のたのしみ展」に、
HARIBOさんが出てくださるのです。
そうです、あの、
ちょっとかためのグミキャンディの。
ドイツうまれで、ヨーロッパでは、
子どもがはじめて口にするお菓子と
言われるほど、おなじみだとか。
そこで、その歴史や商品について、
HARIBOを輸入する三菱食品の
太田さんと橋本さんに、聞きました。
かねてより
「グミっぽいなあ」と感じていた
レ・ロマネスクTOBIさんと一緒に。
担当は「ほぼ日」奥野です。

第3回 グミのような人になりたい。

──
ときにTOBIさんは、
いま、ここにいるっていうことは、
グミが大好きってことで、
大丈夫ですよね? ちがいます?
TOBI
その質問、「今」ですか。
──
念のため確認しておこうと思って。
TOBI
正直、あなたたちに呼ばれたから
来てるんですけど、
でもグミは好きでした、たしかに。
──
グミに対する造詣が、
いちいち深いですもんね。

それでは、太田さんと橋本さんは、
今日なぜここに、
レ・ロマネスクのTOBIさんが、
いらっしゃると?
橋本
あまりわかってなかったんですが、
昨日、YouTubeで見ました。
──
あ、見ましたか。
太田
見ました。会社のデスクで。
TOBI
それ大丈夫? 給料下がらない?
勤務中にあんなもの見て。
橋本
大丈夫だと思います(笑)。
TOBI
大丈夫ですかね、ゴールドベアさん。

なんとなく、
ふたりの上司っぽい感じがするけど。
ゴールドベア
‥‥‥‥!
──
ちなみに、TOBIさんは、
なんでグミ好きになったんですか。
TOBI
やっぱり‥‥ボンタンアメかなあ。

そうだ、はじめてのグミの記憶は、
ボンタンアメだと思う。
──
ああー、あれもグミの範疇ですか。
オブラートに包まれたやつですね。

じゃ、学校帰りの駄菓子屋とかで。
TOBI
いや、実家で扱ってたんです。
──
ああ、そうか!
あなたは乾物屋さんのご子息‥‥。
TOBI
うちの店は、店主の父親の方針で、
乾いたものしか
扱ってなかったんですけど、
イリコやコンブなどにまじって、
乾いているという理由で、
ボンタンアメも入荷してたんです。
──
フレキシブルな経営ですね。
TOBI
創業者のスピリットが、
「今日売れなくても、
 明日売れればいいものを扱う店」
だったんですよ。
──
その点、ちょっと長くなりますが、
お話しいただけますか。
TOBI
えーっと、そこをしゃべります?

グミと関係ないし、
ぜんぜんいい話でもないんだけど、
ザックリ言うと、
あるとき、
トラック運転手だった父親が、
鮎の稚魚を、運んでいたんですよ。
太田
稚魚?
TOBI
生きた魚。鮎の子どもをトラック一杯に。

琵琶湖の鮎の稚魚を、
中国地方の川に運ぶ仕事だったんですが、
あるとき運送中に、
急に「役者になりたい」と思ったそうで、
稚魚を乗せたまま、回れ右をして、
東京の文学座に
2トントラックで、乗り付けたんですよ。
橋本
はあ。
TOBI
そしたら、杉村春子先生に、
「なんですかあなたは、帰りなさい!」
と、叱られたそうなんです。
──
無理もないと思います。稚魚もいるし。
TOBI
それで、しぶしぶユーターンをして、
広島まで帰ってきたら、
トラックの稚魚が全滅していた、と。
太田
はっ!
TOBI
それからというもの、
「もうナマものを扱う仕事はこりごりだ、
 俺は乾いたものを扱う!」
と言って。
──
乾きものだけをセレクトするショップを、
オープンされたそうです。
TOBI
なので、お菓子などについても
「乾いているか、否か」がポイントで。
──
商品を仕入れるかどうかが、
「乾いているか、否か」で決まる店。
TOBI
その点、ボンタンアメは、乾いてた。
橋本
なるほど~!
TOBI
ただ、いくら
「今日売れなくても、
 明日売れればいいものを扱う店」
だとしても、
何ヶ月も売れないと困るんですよ。
──
でしょうね。
TOBI
賞味期限が切れちゃうから。

で、そうやって、
賞味期限の切れたボンタンアメが、
家内消費にまわされて‥‥。
──
そうか。それで。
TOBI
期限切れのボンタンアメばっかり、
食べていたんです。幼いころ。
──
それが、グミとの出会い。
TOBI
ホラ、ぜんぜんいい話じゃない。
話さないほうがよかったと思う。
──
HARIBOさんが日本に来たのは、
何年ですか。
橋本
1985年です。
──
当時、TOBIパパのお店は?
TOBI
営業中です。
──
では、お店に入荷するチャンスも、
ゼロではなかったですね。
TOBI
まあ、そうだけど‥‥
絶対にたどり着かないでしょう、
うちの乾物屋が、
ドイツうまれのHARIBOには。

だって、当時は、
おしゃれな層に向けてたんでしょ。
太田
そうですね、
最初は輸入食品店が中心でした。
──
外国の雰囲気を味わえるような店。
太田
感度の高い女性向け、でした。
TOBI
おしゃれな輸入食料品店に並んで、
広島の田舎の乾物屋‥‥はないですよ。
──
今では、かなり一般に浸透してますね。
太田
おかげさまで、ここ数年、ぐぐーんと。

スーパーだとかコンビニエンスストア、
ドラッグストアなどにも、
置いていただけるようになったんです。
──
子どもたちにも、人気ですもんね。
何か、きっかけは‥‥。
TOBI
グミ・ブームみたいなのが、ねえ。
太田
はい。グミ自体が、盛り上がって。
TOBI
この調子で行くと、
コンビニ全体がグミだけになる日も、
近いですよね。
──
では、最後にTOBIさん、
HARIBOのグミの好きなところを、
教えていただけますか。
TOBI
えーっとね、ようするに、
「かたいのに、やわらかい」という、
HARIBOって、
その存在そのものが、いいですよね。
──
かたいのに、やわらかい。哲学的。
TOBI
歯応えとかそういう部分を含めて、
「かたい」のに、
イメージとか存在感は「やわらかい」。

そういうものって、他にはないし、
物腰はやわらかいのに、
じつはホネがあって、
噛めば噛むほど味が出るというね。
──
ええ。
TOBI
そういう人に、ぼくはなりたい。
──
HARIBOのグミのような人間に。
TOBI
なりたいです。
──
見た目はもうグミっぽいですけどね。
TOBI
すでにしてね。
──
本日は、TOBIさんの
「グミのような人間になりたい」
という話にお付き合いいただき、
太田さん、橋本さん、
本当にありがとうございました。
太田
ありがとうございました!
橋本
ありがとうございました!
──
TOBIさんも、グミ人間を目指して。
TOBI
がんばります。
<おわります>

2019-04-12-FRI