サハリンのちいさな写真展。

HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

こんにちは、ほぼ日の奥野です。

いまから5年ほど前、
写真家の後藤悠樹さんに、インタビューしました。

当時まだ「かけだし」の写真家だった後藤さんは、
偶然のきっかけでサハリンに惹かれ、
お金をためてサハリンに通っては、
サハリンの人々の姿や暮らしを撮影していました。

そうするなかで、後藤さんは、日本の統治時代に
サハリンに渡ったまま帰国できず、
いまも、その地に住むおばあちゃんに出会います。

photo:後藤悠樹

ヨシコさん、ハツエさん‥‥インタビューでは、
そんな日本のおばあちゃんたちのことを中心に、
お話しいただきました。

決して派手じゃなく、静かだけど、
しっかりと読まれるインタビューになりました。

もちろん、後藤さんは、
ヨシコさんたち「日本人のおばあちゃん」だけでなく、
それ以外のサハリンも、撮影していました。

ロシア系のおじさん、日系のご夫婦、韓国系の若者、
吹雪、ピロシキ、キオスク、中古の車、アパート、
むかし「豊原」と呼ばれた
州都ユジノサハリンスクの街の灯りや道ばたのネコ。

photo:後藤悠樹

一貫して「暮らしが撮りたい」という気持ちで、
サハリンで出会った人や見たものを、
ひとつひとつ、ていねいに、撮影していました。

そして彼は、当時から、そうした一切を収めた本を
出版したいという希望を持っていたのですが、
なかなか思うように進まず、5年の時が流れました。

その間も後藤さんは、サハリンに通いながら、
人々の暮らしを撮りながら、
きっと途中で諦めかけたこともありながら、
一歩一歩、歩みを進め、
このたび、ようやく、出版がかなったのです!

わー、おめでとう。パチパチパチ!

DU BOOKSより刊行)
※Amazonでのおもとめはこちら

出来上がった本は、写真集ではありませんでした。
(ぼくは、てっきり、
写真集が出したいのだと思っていたのですが)

サハリンの写真もたくさん載っていますが、
サハリンで出会った人々についての「写真文集」、
ノンフィクションの「読みもの」でした。

タイトルは『サハリンを忘れない』。

出会った人々との間に交わされた会話や、
目にした出来事を、ていねいに記述しています。
この本が「人」をベースにしているのは、
章立てが「人名」であることから、わかります。

後藤さんの書く文章は、
後藤さんの撮る写真みたいだなあと思いました。

そして、後藤さんという写真家は、
サハリンの写真を撮った珍しい人という以上に、
サハリンに住む人々と話し、
こころを通わせてきた人なんだなと思いました。

photo:後藤悠樹

というわけで、ささやかですが、
後藤さんの本の発売を、応援したいと思います。

TOBICHIの「すてきな4畳間」に
「サハリンに住む人々の暮らしの写真」を、
できるだけたくさん、並べます。

写真家の撮った「作品」ですが、
あえて、ぼくたち一般人にもなじみのある、
ふつうのプリント写真で、並べます。

photo:後藤悠樹

いくつかの写真には、説明を添えてもらいます。
そうすることで、後藤さんが撮りたかった
サハリンの人々の暮らしについて、
よりよく知ることができると思ったからです。

もちろん『サハリンを忘れない』も販売します。

まったく同じ会期で
神楽坂で『サハリンを忘れない』の写真展が
開かれるそうです。

そちらを「本展」とすれば、
こちらは、もっと「副音声」的な感じ(?)で、
サハリンの雰囲気を
感じることのできる展覧会になると思います。

ぜひ、後藤さんが撮影してきた、
サハリンの人たちの暮らしを、見に来て下さい。

photo:後藤悠樹

写真家・後藤悠樹さんが撮ったサハリンのちいさな写真展。

photo:後藤悠樹

会期:2018年3月16日(金)~25日(日)
会場:TOBICHI すてきな四畳間
住所:東京都港区南青山4-25-14
時間:11時~19時
料金:無料
定休:2018年3月19日(月)

☆同時開催☆
後藤悠樹『サハリンを忘れない』
刊行記念写真展

会期:2018年3月16日(金)~25日(日)
会場:神楽坂セッションハウス2Fギャラリー
住所:東京都新宿区矢来町158
時間:12時~20時
料金:500円
定休:会期中無休