FIREFIELDS #2
「カミサマのコーヒー庭園」

10日目:「雲のおじさんがやってくる。」


カミサマ:
ひゃあ…ますます大きな雲が立ちこめてきて
今日は朝から夜まで寝てたいような天気…
とか言ってられないな、
コーヒー庭園に行かなくちゃ。こりゃ心配だ。

…よいしょ、と。黄色い傘を発見。
さ、行こ行こっと。

 

さっきまで明るくてにぎやかだったのに、
だれもいなくなっちゃった。

それにしてもものすごい雲。
さみしいな。かみさま。
みんなの声が聞こえているだけでも
うれしかったのにな。

いいな、コーヒーの木は人気者で。
ぼくはいったいどんな大人になるのかな
どうしてこんなにけむくじゃらなんだろう。
どうしてへんなもようがついてるんだろう。
このままなのかな。

ああ、でもいいや。
こうやってコーヒーの木にくっついてるとほっとするなあ。
きみも大きくなったらどんな大人になるんだろうね。
もうちょっと雨やどりさせてね。ありがとう。

(けむけむ)

カミサマ:
あ、家に帰りそこねた毛虫だ。
雨だとみんな家に帰っちゃってさびしいね。
大丈夫、そうして【コーヒーの脇の下】で
コーヒーの花が咲く頃までぐっすり眠って、
そして目覚めたら素敵なことが待ってるんだから。

だからこの嵐、頑張って耐えるんだよー。

 

かみさまー ねえかみさまったらー
あめがどんどんふってくるよう
かぜなんかびゅーびゅーで
ほらーはっぱがとれちゃいそうだよう
かみさまー なんとかしてあげてよー

(めそめそ)

カミサマ:
えーとえーと。そんなこと言われても…どうしたら。
こんな時にカミサマのできることといったら
風に飛ばされないように
こうしているのが、精一杯で…わ、風が、
ひときわ強…な…むぐぐ…

 

けっ!!みんなしてよう、
コーヒーの木なんて大事にしてよう。
おもしろくねーなー!
どうせオレは、葉っぱなんて持ってねーよ。

雨でもなんでもふりゃいいんだ!
のこりの葉っぱ、全部かれちゃえ!

おっ!降ってきやがった。
うわっ!すげー雨だ。
これなら葉っぱなんてイチコロだな。カミサマも
残りの葉っぱをほしいやつらも、ザマーミロだっ!
みんな、楽しみにしてたんだろうな、、、、

おいっ!雨っ!!それにしても降り過ぎだろうが。
いいかげんもういいだろ!
ああっ!葉っぱ(9)が飛んでった!やめてくれ!
この葉っぱは全部オレんだ!やめてくれ!!

オレが守ってやる!オレがおまえらの盾になって、
この雨ぜんぶうけてやる!

だからおまえら、ぜったい枯れるな!
「飛んでった葉っぱ」のぶんまで、
ぜったい枯れるなよ!!

(あまのじゃく)

カミサマ:
【どこかに飛んでった葉っぱ】追いかけて、
あまのじゃくのやつ…。
本当はあんなにコーヒーが好きだったんだなあ。
あの葉っぱ"あまのじゃくに"あげよっと。

 

神様、神様、
あたしゃ通りすがりのちんけな行商人なんですがね。
生まれたての葉っぱに強い雨があたると可哀想でしょ??
売れ残りで悪いけど傘立て掛けとくね。
葉っぱが何だか喜んでるよ。嬉しいねぇ。

じゃあ、また通りかかったら成長した姿見せて頂戴ね♪
あらら、11の葉っぱセクシー唇みたい!!
傘を影にしてキスしちゃえ(ちゅっ)

(慈雨)

カミサマ:
わー。ど、どさくさに何をするんですか!? 責任とって、
うちの【セクシーな葉っぱ】。もらってくださいね。

 

こいつ、カミナリが落ちたらまっくろこげになっちゃうぞ?
しょーがねえなあ・・・。
カミナリが近づいてくる前に、
おいらが“ひらいしん”ってのを持ってきてやるよ。
待ってろよ、絶対うごいちゃダメだかんな!

・・・ハァ、はぁ、フゥ、ひぃ、ふぅ、みぃ・・・
どーだ!ここに置くぞ!このまえ
おいらの学校の運動会でつかった1等賞のハタだ!
おいらが、1等とった時のやつだ!

でもそんなおいらでも、
かあちゃんのおしりペンペンは痛いからいやだ!
だからそろそろ帰る!じゃあなっ!

(ぴぽ)

カミサマ:
あーあ、あんなに服もびしょびしょの泥だらけにしちゃって、
間違いなく今頃、おしり叩かれてるんだろうなあ。
これで少しはお母さんの機嫌がなおればいいんだけど…。

泥だらけの半ズボンのポケットの底に
金色のコーヒー豆がそっと転がった。

…わあ。ようやく明るくなってきたみたい。
あ、この避雷針。1等ってはたがついたままだし、
なんだかパタパタして嬉しいな。ね、コーヒー?

 

こんにちは、雲です、お久しぶりです。
今日はうちにおじさんが遊びに来たので
僕の大切なコーヒーの木を見せてあげようと思って、

そしたらおじさんが「早く大きくなるように
水いっぱいやんないといけねぇなぁ」っていうから頼んで、
そしたら 、おじさんは僕よりすごくっくて
風とかいっぱいふいちゃったり、
雨もたくさん降っちゃって・・・

でも、おじさんも「かわいそうな事しちゃったなぁ」って
言ってたし、なんだかコーヒーの木も雨や風に
負けないで、頑張って、強くなったみたい。

カミサマ、許してくれますか?

(yu-suke)

カミサマ:
おまえだったのかー!今日のこの嵐を連れてきたの。
おかげでみんな大変だったんだから、もう。
こんどからは手加減するようにおじさんに言っとくんだよ。

でも、ほんとだね。なんだかコーヒーが
鍛えられてたくましくなったみたい。

 

カミサマ。
今は誰の支えになれるかわからない私だけど、
大きく育って、気持ちいいお日さまや
雨をしっかり受け止められる大きな葉みたいになりたいから、
将来性のありそうな元気な葉っぱをお恵みください。

(にゃにゃお

カミサマ:
よーし、"にゃおにゃお"には
今日の嵐を耐えぬいた、
この【しぶとい葉っぱ】をあげよう。
セクシーなのより、なにより、しぶといのが
いちばんの将来性につながるとカミサマは思うんでね。

 

あ、あともう1枚。
【鍛えられた葉っぱ】が
持ち主のいないまま残ってるけど
これは明日でいいや。

ふー カミサマ、冷えきっちゃったよ。
はやく家に帰って暖かいお風呂に入ろっと。

今日はみんなおつかれさま。
またね明日、遊ぼうねー!!

 

10日目のメモ

#だれかにあげたもの。

・コーヒーの脇の下 … けむけむ
・どこかに飛んでいった葉っぱ … あまのじゃく
・セクシーな葉っぱ … 慈雨
・しぶとい葉っぱ … にゃおにゃお

#まだ持ち主のいないもの。

・鍛えられた葉っぱ

→いままでのメモ。


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