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10日目:「雲のおじさんがやってくる。」

カミサマ:
ひゃあ…ますます大きな雲が立ちこめてきて
今日は朝から夜まで寝てたいような天気…
とか言ってられないな、
コーヒー庭園に行かなくちゃ。こりゃ心配だ。
…よいしょ、と。黄色い傘を発見。
さ、行こ行こっと。
さっきまで明るくてにぎやかだったのに、
だれもいなくなっちゃった。
それにしてもものすごい雲。
さみしいな。かみさま。
みんなの声が聞こえているだけでも
うれしかったのにな。
いいな、コーヒーの木は人気者で。
ぼくはいったいどんな大人になるのかな
どうしてこんなにけむくじゃらなんだろう。
どうしてへんなもようがついてるんだろう。
このままなのかな。
ああ、でもいいや。
こうやってコーヒーの木にくっついてるとほっとするなあ。
きみも大きくなったらどんな大人になるんだろうね。
もうちょっと雨やどりさせてね。ありがとう。
(けむけむ)
カミサマ:
あ、家に帰りそこねた毛虫だ。
雨だとみんな家に帰っちゃってさびしいね。
大丈夫、そうして【コーヒーの脇の下】で
コーヒーの花が咲く頃までぐっすり眠って、
そして目覚めたら素敵なことが待ってるんだから。
だからこの嵐、頑張って耐えるんだよー。
かみさまー ねえかみさまったらー
あめがどんどんふってくるよう
かぜなんかびゅーびゅーで
ほらーはっぱがとれちゃいそうだよう
かみさまー なんとかしてあげてよー
(めそめそ)
カミサマ:
えーとえーと。そんなこと言われても…どうしたら。
こんな時にカミサマのできることといったら
風に飛ばされないように
こうしているのが、精一杯で…わ、風が、
ひときわ強…な…むぐぐ…
けっ!!みんなしてよう、
コーヒーの木なんて大事にしてよう。
おもしろくねーなー!
どうせオレは、葉っぱなんて持ってねーよ。
雨でもなんでもふりゃいいんだ!
のこりの葉っぱ、全部かれちゃえ!
おっ!降ってきやがった。
うわっ!すげー雨だ。
これなら葉っぱなんてイチコロだな。カミサマも
残りの葉っぱをほしいやつらも、ザマーミロだっ!
みんな、楽しみにしてたんだろうな、、、、
おいっ!雨っ!!それにしても降り過ぎだろうが。
いいかげんもういいだろ!
ああっ!葉っぱ(9)が飛んでった!やめてくれ!
この葉っぱは全部オレんだ!やめてくれ!!
オレが守ってやる!オレがおまえらの盾になって、
この雨ぜんぶうけてやる!
だからおまえら、ぜったい枯れるな!
「飛んでった葉っぱ」のぶんまで、
ぜったい枯れるなよ!!
(あまのじゃく)
カミサマ:
【どこかに飛んでった葉っぱ】追いかけて、
あまのじゃくのやつ…。
本当はあんなにコーヒーが好きだったんだなあ。
あの葉っぱ"あまのじゃくに"あげよっと。
神様、神様、
あたしゃ通りすがりのちんけな行商人なんですがね。
生まれたての葉っぱに強い雨があたると可哀想でしょ??
売れ残りで悪いけど傘立て掛けとくね。
葉っぱが何だか喜んでるよ。嬉しいねぇ。
じゃあ、また通りかかったら成長した姿見せて頂戴ね♪
あらら、11の葉っぱセクシー唇みたい!!
傘を影にしてキスしちゃえ(ちゅっ)
(慈雨)
カミサマ:
わー。ど、どさくさに何をするんですか!? 責任とって、
うちの【セクシーな葉っぱ】。もらってくださいね。
こいつ、カミナリが落ちたらまっくろこげになっちゃうぞ?
しょーがねえなあ・・・。
カミナリが近づいてくる前に、
おいらが“ひらいしん”ってのを持ってきてやるよ。
待ってろよ、絶対うごいちゃダメだかんな!
・・・ハァ、はぁ、フゥ、ひぃ、ふぅ、みぃ・・・
どーだ!ここに置くぞ!このまえ
おいらの学校の運動会でつかった1等賞のハタだ!
おいらが、1等とった時のやつだ!
でもそんなおいらでも、
かあちゃんのおしりペンペンは痛いからいやだ!
だからそろそろ帰る!じゃあなっ!
(ぴぽ)
カミサマ:
あーあ、あんなに服もびしょびしょの泥だらけにしちゃって、
間違いなく今頃、おしり叩かれてるんだろうなあ。
これで少しはお母さんの機嫌がなおればいいんだけど…。
泥だらけの半ズボンのポケットの底に
金色のコーヒー豆がそっと転がった。

…わあ。ようやく明るくなってきたみたい。
あ、この避雷針。1等ってはたがついたままだし、
なんだかパタパタして嬉しいな。ね、コーヒー?
こんにちは、雲です、お久しぶりです。
今日はうちにおじさんが遊びに来たので
僕の大切なコーヒーの木を見せてあげようと思って、
そしたらおじさんが「早く大きくなるように
水いっぱいやんないといけねぇなぁ」っていうから頼んで、
そしたら 、おじさんは僕よりすごくっくて
風とかいっぱいふいちゃったり、
雨もたくさん降っちゃって・・・
でも、おじさんも「かわいそうな事しちゃったなぁ」って
言ってたし、なんだかコーヒーの木も雨や風に
負けないで、頑張って、強くなったみたい。
カミサマ、許してくれますか?
(yu-suke)
カミサマ:
おまえだったのかー!今日のこの嵐を連れてきたの。
おかげでみんな大変だったんだから、もう。
こんどからは手加減するようにおじさんに言っとくんだよ。
でも、ほんとだね。なんだかコーヒーが
鍛えられてたくましくなったみたい。
カミサマ。
今は誰の支えになれるかわからない私だけど、
大きく育って、気持ちいいお日さまや
雨をしっかり受け止められる大きな葉みたいになりたいから、
将来性のありそうな元気な葉っぱをお恵みください。
(にゃにゃお)
カミサマ:
よーし、"にゃおにゃお"には
今日の嵐を耐えぬいた、
この【しぶとい葉っぱ】をあげよう。
セクシーなのより、なにより、しぶといのが
いちばんの将来性につながるとカミサマは思うんでね。
あ、あともう1枚。
【鍛えられた葉っぱ】が
持ち主のいないまま残ってるけど
これは明日でいいや。
ふー カミサマ、冷えきっちゃったよ。
はやく家に帰って暖かいお風呂に入ろっと。
今日はみんなおつかれさま。
またね明日、遊ぼうねー!!
10日目のメモ
#だれかにあげたもの。
・コーヒーの脇の下 … けむけむ
・どこかに飛んでいった葉っぱ … あまのじゃく
・セクシーな葉っぱ … 慈雨
・しぶとい葉っぱ … にゃおにゃお
#まだ持ち主のいないもの。
・鍛えられた葉っぱ
→いままでのメモ。
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