ほぼ日刊イトイ新聞 フランコさんのイタリア通信。アーズリにいちばん近いイタリア人の生活と意見。

2010-03-24-WED

インテル、45年の見果てぬ夢。

サッカーは世界で最も魅惑的なスポーツであると
ぼくは思います。
熱狂的なファンたちが、ここぞという時に、
それぞれの想像力を駆使して楽しめるから。
そしてファンの情熱は
「目覚めても続く夢」みたいなものです。
毎日毎時間いつでもどこでも、
希望をふくらませることが出来ます。

白黒の夢、悲願達成なるか?!

franco

インテルは、1965年、
まだチャンピオンズ・カップと
呼ばれていたころの優勝を最後に、
UEFAチャンピオンズ・リーグで勝てずにいます。
インテルはその後ずっと、
UEFAチャンピオンズ・リーグ優勝を夢見ているのですが、
当時は白黒だったテレビ映像の優勝カップを、
若い人たちは見たことすらありません。
今やテレビはカラーの薄型液晶の時代なのに
インテルのチャンピオンズ・カップは
白黒のブラウン管のままで、
新たなカップを45年間も待ち続けているのです。

しかし今回インテルは、
マッシモ・モラッティ会長と同様に
世界で最も裕福な男のひとり、
ロマン・アブラモヴィッチのチェルシーを打ち負かして、
準々決勝に歩を進めました。

franco
そして、そのチェルシーの現監督は、
インテルの宿敵ACミランをかつて監督していた
カルロ・アンチェロッティです。

2年前にアブラモヴィッチに解雇された
現インテル監督のホセ・モウリーニョは、
まさにロンドンで、
彼の後をついだチェルシーのベンチに対して
雪辱を果たしました。

チームとしてのインテルは、
かつてミラノ・ダービーで対戦していた
カルロ・アンチェロッティに、
仕返しができた格好です。
その一方、サミュエル・エトー選手は、
あまりに性急に彼を
「バルセロナの使い古し」だ、
破格の選手なんかじゃないと、
言った人たちの見解を変えさせました。
ロンドンでインテルを勝利させるゴールを決め、
まだまだ手柄をたてられるところを見せたのです。

franco

そして準々決勝の対戦を決める抽選で、
インテルは、かなり良いところを引きました。
準々決勝ではCSKAモスクワと戦い、
そのまま勝ち進めば、準決勝では、
バルセロナと戦う可能性があります。
昨秋の対戦で恥をかかされた
雪辱のチャンス到来です。
そしてインテルの45年間来の悲願達成まで、
準々決勝、準決勝、決勝と、
あと3歩の所にいるのです。

ユーヴェのザッケローニ監督の評判は。

そのインテルに雪辱を果たした人もいます。
インテルでは国際的なレベルを発揮できないまま、
昨年バルセロナに移籍したイブラヒモヴィッチです。
彼は、バルセロナの一員として、
FIFAクラブワールドカップで
すでに世界チャンピオンになっていますから。

franco

どの夢も叶えていないのが
デル・ピエロのいるユヴェントスで、
UEFAヨーロッパリーグでフラムに敗退しました。
1回戦は3対1で勝っていたのですが逆転負け。
しかも、ザッケローニ現監督は、
過去にはACミランにスクデットを1回
もたらしており、
今またユーヴェをヨーロッパで活躍させるために、
カンピオナートでは最低でも4位につけるために、
呼ばれたのですけどねぇ。

ロンドンでの対フラム戦で
4対1で逆転負けしたユーヴェは、
他のどの選手より貢献して来たデル・ピエロが
補欠の屈辱を受けており、
ティフォーゾたちはこのことを許せないと思います。

ザッケローニ監督が彼を出場させたのは、
試合終了まで5分の時点で、
すでに選手が減らされたユーヴェは
10人で11人と戦っておりました。
この状況下でデル・ピエロを投入して、
いったいどんな奇跡を期待していたのでしょうか。

デル・ピエロへの敬意を大きく欠く行為であり、
ティフォーゾたちは、
彼らの最も愛するチャンピオン選手に対する
ザッケローニの「悪意」と解釈しました。

今シーズンの終わりには、
ザッケローニは大して同情もされずに
ユーヴェを去るでしょう。

それとは逆に、モウリーニョ監督は、
インテルを去ってレアル・マドリードに行くはずですが、
もしこのUEFAチャンピオンズ・リーグの優勝カップを
置き土産にしてくれれば、
インテルのティフォーゾたちは彼の移籍を
嘆いてくれそうです。
でもそれもいつまで続くことやら‥‥。


訳者のひとこと

45年来の夢!!
さすがのワタクシにも、
45年前は遥か遠くに感じます。

え? 白黒テレビ、知ってますけどね。
いや、初めてテレビが我が家に来た日というのも
覚えてますけどね‥‥。

うららさんイラスト

翻訳/イラスト=酒井うらら



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