おさるアイコン ほぼ日の怪談

「シミ」

私が学生時代、一人暮らしをしていたときの話です。

当時、私が住んでいたマンションは、
4階のかど部屋で、
エレベータを利用して上がると
ドアを出てすぐ部屋の前に来ることができる
場所でした。

ある日、深夜のバイトを終え、
いつものようにマンションのエレベータで
自分の部屋に帰ると、鍵がうまく入りません。
しばらくガチャガチャと鍵穴と格闘していると、
ふと、ドアの前の足元に、
見慣れないシミがあるのが目に入りました。
どうやら、別階にエレベータが止まって、
私はそれに気づかず
他人の部屋に入ろうとしていたのです。
そそくさとまたエレベータに乗り込み、
自分の部屋に帰りました。

数日後、やはり深夜帰宅して、
エレベータから降りると、
またもやドアの前のシミが目に入りました。
数日前と同じ状況です。
私は、大家にエレベータの調子が悪い旨を伝えて、
調べてもらうことにしました。

数日後、帰宅すると、
マンションの周りに人だかりが出来ていて、
前にはパトカーが止まっていました。
青い顔した大家に話を聞くと、
エレベータの故障を調べたところ
特に機械上問題はなかったので、
その階の住人に様子を聞くことにしたそうです。
何度か、例のかど部屋も訪問したところ、
いずれも応答なし、家賃の滞納もあり、
気になった大家は合い鍵で部屋に入り、
変わり果てた住人を発見したということでした。

話を聞いた私は、急に例のシミが思いだされ、
寒気がとまりませんでした。
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