おさるアイコン ほぼ日の怪談

「お部屋に入れて。」

昨年の夏のこと。

仕事で広島に行ったのですが、
仕事が思いのほか遅くなったため、
予約していたホテルのチェックインが
12時を回っていました。

凄く疲れていたせいもあり、
早く寝ようと考え、部屋に入りました。
真夏だったせいか、冷房が効きすぎていたため、
窓を開けていたのですが、
効きすぎていた冷房も
ちょうど適温くらいになっており、
窓を閉めようと近づいた時、
窓の外に圧迫感というか、
人の気配を感じたのです。
もちろん、ホテルのその部屋は
5階以上の部屋でしたので、
当然人が窓の外にいられる環境ではありません。
とはいえ、僕は何かが見えたりする質ではないので、
ただ気持ちが悪くて、すぐに窓を閉め、
カーテンを閉めました。

そんなことがありつつも、
やはり疲れには勝てず、
すぐに寝入ってしまったのですが、夢を見ました。
木造の校舎に防空頭巾をかぶっている子供達、
引率している先生‥‥

そこでぱっと目が覚めました。

窓の外に目をやると
圧迫されるような気配だけが感じられます。

僕はよっぽど怖くなり、深夜ではありましたが、
副業でそういった関係の仕事をしている友人に
電話をすると、

「ああ、確かに窓の外にいっぱい人がいるね。
 でも、その部屋には
 なぜだか入れないみたいだけれども。
 だから大丈夫だとは思うけど、気をつけてね。」

と。
その日はたまたま母親からもらったお守りを
かばんの中に入れていました。

とにかくその部屋を出て、
ホテルのロビーで朝を迎え、
朝イチで帰ったのですが、
その時に気づいたのです。
その日は終戦記念日だったのです。
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