怪・その43

「ずっと住んでいる」


あれは私が結婚して間もなくのころ、
10年以上前の話です。

我が家は、長い間空き家だったのを、
結婚を機に
義父母が改装してくれた古い家です。

昼間、私は一人で家にいて、
二間続きの和室の一つで
昼寝をしていました。

その時、誰かが
部屋の中を走り回っているのに気づきました。

部屋には座卓が置いてあって
その回りを何周もしているようでした。

その足音は軽く、幼児のようで、
楽しそうに何度も座卓を走り回っています。

けれど、息遣いや声はなく、
ただ裸足が畳をするような足音だけが、聞こえます。

おかしいと思って起きようとしましたが、
身体が全く動かせません。
目を開けようとしても、開けられません。

と、その時、

今まで走り回っていた足音が
ふと止まりました。

部屋の中を走り回っていた誰かが、
急に私がいることに気がついたかのように。

まじまじと見つめるような気配がしましたが、
目は開けられません。

やがてまた、座卓を走り回る足音が
再開しました。

やっと身体を動かせるようになって起き上がると、

もちろん、誰もいませんでした。

変な夢を見たと思いましたが、
主人にも言えず黙っていました。

しばらくたって、仲人さんが
私の様子を見に来てくれました。

話をしていると、仲人さんが急に
肩の辺りを気にするようにし始めました。

様子がおかしかったので、訳を聞くと、
言いにくそうに、
何かが肩に乗っかってきた、と言いました。

その人は少し霊感があるそうです。
気味が悪くなって、
霊能者に見てもらったところ、
ずっと空き家だった我が家に、
すでに住んでいる存在がいて、
それが後から来た私達夫婦を訝しんでいる、といわれました。

その人の指示で、お塩とお線香でお清めをしました。
不思議なことは、起こらなくなりました。

(y)

こわいね!
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2019-09-05-THU