怪・その18

「母に夢で言われた」

今からお話するのは、
まだ幼かった私が、
祖母から聞いた忘れられないお話です。

祖母は幼い頃に母親を亡くし、
その後、父親と、後妻として嫁いできた義母に
育てられることになりました。

義母は祖母に辛く当たり、
欲しい物があっても言えずに
我慢していたそうです。

そんなある日、
学校で文房具が必要となり、
父親に伝えたところ、

「義母に言いなさい」
と言われたそうなのですが、
言えずに困っていたそうです。

そんな時、夢の中に
祖母の亡くなった母親が現れて、

「水屋(食器棚)の上に
お金を置いておくから、
そのお金で文房具を買いなさい」

そう夢の中で言われたそうです。


目覚めてから、
実際に水屋の上に手を伸ばしてみると、
夢と同じく、
お金が置いてあったそうです。


そのお金で、文房具を買ったの。
と、祖母が話してくれたことが
今でも忘れられません。

娘のことを案ずる母親の愛情は、
亡くなってからも変わらない。

自分が母親になったいま、
幼い頃とは違った感情で、
このお話を時折、懐かしく想い出すのでした。

(R)

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2019-08-15-THU