怪・その11

「夕暮れの散歩」

私のいとこは結構霊感体質で、
家の特定の場所で
必ず金縛りにあったり
誰もいないはずの2階から
女の子の声が聞こえたりと
よく不思議な体験をするのです。

そんな彼女が
九州へ行った時の体験談です。

彼女と他の姉妹、そして両親と
夕方外を歩いていた時に、

犬の散歩をしているおじいさんとすれ違いました。

「今の犬、かわいかったね」

と家族に言うと、

「え? 犬?」

と怪訝な顔をされてしまったそう。

彼女以外の誰一人、
犬を見た人はいなかったのです。

おじいさんが一人で歩いていただけだ、と。

驚いて彼女が振り返ると、
たしかに遠くなるおじいさんの足元に、
先ほど見たはずの犬はいませんでした。

その道は、田んぼの横の見晴らしの良い一本道。
なにかと見間違えるようなこともありません。

でもたしかに彼女は、
おじいさんの足元に
寄り添って歩く犬を見たと言います。
犬種や毛の色まで、はっきり見えたらしいのですが。

夕暮れは、逢う魔が時。
大好きだったおじいさんとの散歩を
今も続けているのかもしれません。

(ほしのすけ)

こわいね!
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