怪・その1

「手のひら全体に」

6年ほど前の実体験です。

一人暮らしをしているマンションで、
夜、寝ていたときでした。

体質的なのか、年に数回、
金縛りになることがあり、このときもそうでした。


テレビで、金縛りとは、
脳が起きていて身体が寝ている状態で〜、
という解説を見たことがあったので、
あまりパニックにならず、
眠りに着くのを待つことが、いつもの対処法でした。

ですがこのときは、
よく言う、黒い何かが自分の上にいるような、
重くて嫌ぁな感覚が、強かったのです。

そこで、試しに解いてみよう、と、
このときは思いました。

手足を思いっきりバタバタさせて、
「うわぁぁぁ〜!」と大声を出そう。

と、精一杯しているのですが、
身体は重くて全く動かず、
声も「ぅぅ…」と
小さい唸り声が出てるか出てないか、
というぐらいでした。

そのうち眠くなってきて、
「もう寝れそう…」と思ったとき、
右腕が動かせました。

「あ、動けた」と思い、
寝ぼけながら布団の中で
パタパタと右腕を動かし、
股下に手をやると


人の顔面を掴んだ感覚が

手の平全体に広がりました。


人差し指と中指の間から鼻が抜き出て、
手の平で口を塞いでいる、
正面から掴んでいる状態でした。

指先の広がりでなんとなく輪郭も伝わってきて、
子供ではなく大人の顔な気がしました。

人の肌の、
しっとりとした質感も、
手の平全体に感じました。


恐怖で身体が固まってしまい、
気を失ったのか、
明け方に目を覚ましました。
4時過ぎくらいでした。

ベッドにはもちろん自分ひとり。

怖かったのですぐにテレビをつけ、
通販番組の音で気を紛らわしながら、
いつも起きる時間になるまで
ボーっと横になることにしました。

今も同じマンションに住んでいて、
それ以降、
そんな怖い体験はありません。

今思い出すと、現実ではなく
夢だったのかなぁという感覚なのですが、

手の平で感じた感触だけは凄くリアルで、
未だに忘れられません。

(b)

こわいね!
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