怪・その17

「豆球の明かりで見える」

私が子どもの頃は、年末になると
各家庭で餅つきをしたものです。

ご近所数件で集まって、
賑やかで楽しいイベントでした。

ある年の餅つきの夜のこと、
大人は疲れて寝入っているのに
私一人、なかなか寝付けづにいました。

私の布団は押入れの襖の際に
敷かれていたのですが、
その襖のところに
「丹前」を着たおじいさんが立つのです。

まるで、襖絵のようです。

目を開けても、目を閉じても同じ光景です。

黙って静かに私たちを見下ろしています。

不思議に思って、隣に寝ている母に
「おじいちゃんが立ってはる」
というと、寝ぼけた母は

「夢や、夢。
 今日はつかれたもんなぁ。
 寝なさい」

でも、見えるのです。
豆球の明かりでちゃんと見えるのです。

それから、ずいぶんたったときに
母が何気に話した人の容姿が‥‥

あの餅つきの夜に私が見たおじいちゃんです。

その人は、私の祖父にあたる人、
つまり母の父親そっくりでした。

今思えば、それが私の霊体験の原点です。

(よっちぃ)

こわいね!
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2018-08-06-MON