怪・その8

「香りを残して」

今年の春に義父が亡くなりました。
自身の誕生日を迎えてその日の内に。

骨折をしてから、
あれよあれよと悪くなってしまい、
孫の家に遊びに行きたいと
何度も病床で訴えていたそうです。

その時、孫の家である我が家では、
義父が入院する前後くらいから
家のソファの辺りだけ
なぜか嗅いだことのある、
でも、なかなか思い当たらない香りがしていました。

家族全員嗅ぐのですが解らず、
掃除をしても取れることはなく。

それから、義父が亡くなった後、
ふとこの香りは、銀杏だと気付きました。

秋になると近所の大学によく銀杏が成り、
義父は我が家にもいつも分けてくれました。

香りのしたソファは
義父がお正月遊びに来てくれたときに
座っていた場所。

皆でトランプしたり
楽しく過ごした場所でした。

今ではあの銀杏の香りもすることは
なくなりましたが、
じいじは遊びに来てたんだねと
子ども達と話しています。

今年は初盆です。
また遊びに来てくれるのでしょうか。

(てつゆうまま)

こわいね!
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2018-08-03-FRI