怪・その17

「病院のカルテ庫で」

私は、地元の比較的大きな病院に
事務員として勤めています。

今は、病棟で勤務していますが、
入職したばかりの頃は、
土日夜間の受付をしていました。

土日夜間の診察室と事務室は、
カルテ庫や外来棟から一番離れた場所にあり、
若手だった私は、何度も往復していました。

夜も、暗い中を懐中電灯一つで
カルテを探しに行くこともありました。

1年目は仕事に慣れることで精一杯で
あまり怖いと言ってられませんでした。

2年目になると、仕事も覚え、
先輩達とも雑談する余裕が出てきました。
慣れというのか、誰も居ない病院を
一人で歩く事に対する怖さも薄れてきました。

ある日直勤務の日でした。
私はまたカルテ庫に
カルテを取りに来ていました。

カルテ庫は病院の一番奥にあり、
昼間でも薄暗く、
電気を点けて作業をしなければなりませんでした。

カルテ庫を開けると、
棚が6つ並んでいます。

その右端の棚の所に、

こちらを向いている

ソバージュヘアの女性が居ました。

女性の姿を視界の端に捉えた私は、
他の課の事務さんが来てると思い、
おつかれさまですと声を掛けて、
目当てのカルテがある奥の棚に向かいました。

カルテを探しながら、
おかしな事に気付きました。

まず、電気が点いていませんでした。

そして、女性の顔の位置でした。

カルテ棚は五段まであり、
一番上の棚は1.9mくらいの高さになります。

彼女の顔はその一番上から出ていたのです。

怖さもありましたが、
なんとかカルテを探し出し、
後ろを振り返らず
一目散に事務室に戻りました。

後から、先輩達に聞くと、
病院の奥の突き当たりにあるカルテ庫から
外科にかけて、怪談話が尽きないそうです。

その後、電子カルテが導入され、
カルテ庫に行く事は滅多になくなりました。
場所も縮小され、倉庫の様になっています。

でも、最近、
元カルテ庫に行く用事が増えてきました。
また彼女に呼ばれているのでしょうか。

(mi)

こわいね!
2015-08-15-SAT