おさるアイコン ほぼ日の怪談2008

怪・その32
ドアの向こうを


つい最近、うちで起こった出来事です。

家族皆が寝てしまった後、
お風呂上がりに一階の居間で
扇風機に当たっていました。

すると、ギシッギシッと
階段を降りてくる音がしました。

二階には妹しかおらず、
妙に重たい音がするなと思いつつも、
トイレにでも行くのかと
大して気にしないでいました。

お風呂とトイレ、洗面所は隣り合わせで、
狭い廊下を挟んで居間の向かいにあります。
その時居間のドアは全開で、
居間から出たときに
その先が真っ暗になるのが嫌なので、
洗面所の電気を、点けっぱなしにしていました。

トイレに行くなら、
その姿がドアの向こうを
絶対に横切るはずなのですが、
誰も通るような気配がなく、
いきなり、ジャーッと水音が聞こえてきました。

それなら階段の先にある
台所にでも行ったのだろうと思いましたが、
その音は洗面所の方から
聞こえてくるようなのです。

しばらく、顔でも洗うかのように
ジャバジャバと水音がしており、
それがピタッと止まってから、
パチンと、洗面所の電気を消す音がしました。

やっぱり妹は洗面所に行ってたのか‥‥
と不思議に思い、今度は見逃すまいと、
じっと開いたドアの向こうを見ていました。

ギシッ、ギシッ、といつもより軋む音をたてて、
廊下を歩く音がしました。

でもいつまで経っても誰も何も通りません。

まずその時は、家族以外の侵入者がいて、
廊下の先にある玄関先で
気配を殺してるのかも、と思いました。

恐怖感で一杯になりながら、
こちらも息を潜めていましたが、
随分経っても、やはり何の音も気配もしません。

そこで近くにあったハサミを握り締め、
恐々廊下を覗いてみましたが、何も見えません。

そして、
点けっぱなしだった洗面所の電気は
真っ暗になっていました。

余程、一階の離れに寝ている両親を
起こそうかと思いましたが、
何とか勇気を振り絞り、
台所の方から廊下、玄関、そして洗面所と
すべての電気を点けてみました。

やはり誰もおらず、
鍵もしっかりかかっていました。

その後、ものすごい寒気に襲われましたが、
もともと霊感などなく、何の気配もしないので、
取りあえず今起こったことを台所で走り書きして、
気持ちを落ち着かせようとしました。

その途中、階段の上から、
妹の部屋のスライド式のドアが一瞬開いて、
すぐに勢い良く閉まる音がしたので、
やはり妹が‥‥?
とますます腑に落ちない気持ちになりつつ、
確かめようと、妹の部屋のドアをノックしました。

妹は寝ており、一階には行ってないし、
今のドアの音にも気付かなかったとのことでした。

聞き違いにしては、
余りに連続して聞こえましたし、
洗面所の電気が消えていたのも、
どうにも説明がつきません。

翌朝、家族に話したところ、
父も深夜に居間で一人でいる時、
誰かいるような気配がすることがある、
と言っていました。

(y)

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2008-08-25-MON