おさるアイコン ほぼ日の怪談2006

怪・その5
「写らない家」

イギリスに留学していたときの話です。
ホストファミリーと一緒に、
ヨークへ旅行に行きました。

ホストパパは写真が趣味だったので、
デジカメで歴史ある町並みを
たくさん撮影していました。

いろんなところをうろつきながら
地元の人たちと話をしていると、
面白い話をしてくれました。

「『写真に写らない家』がある」と。

その場では何事もなくても、
現像に出してみるとその家の写っていたはずの写真だけ、
うまく現像できないそうです。

興味本位でその家に向かい、
ホストブラザーとその奥さんが
家の前に並んで記念撮影。
何事もなく写真は撮れたし、
帰宅後にパソコンにバックアップしても
何の問題もありませんでした。
「ちゃんと写ってるじゃん」
「やっぱりただの噂だったんだねー」と笑いながら、
プリントアウトもせず写真のことは忘れていました。

その3日後にパソコンが急にダウン。
ホストパパと、ホストブラザーが2人がかりで、
2晩かかってやっと元に戻りました。
心配だったのは保存していたたくさんの写真でしたが、
それも殆どが無事だったそうです。

しかし、
「こういうことってあるんだね」と、
ホストパパが真剣な顔で言うので、
何かと思って聞いてみると、

「1枚だけ復元できなかったんだよ。
 例の、ヨークの家の写真。
 画像がぐしゃぐしゃに乱れちゃっててね」

(ホイップ)


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2006-08-07-MON