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智慧の実を食べよう。
300歳で300分。

「ほぼ日」創刊5周年記念超時間講演会。

体温のある指導者
藤田元司さん


3人目の長老・藤田元司さんは、
すでに、このところの毎日の「ほぼ日」上の
「体温のある指導者」に、登場してくださっています。

ワルでもあったし、選手時代への後悔もあった上で、
人を育てて伸ばす側に身を打ちこんだ人。
それが、藤田元司さんなんです。
奥行きのある発言には、働いている人から大反響でした。


「簡単なものですよ、
 頑張ろう、なんていう言葉は。
 しかし、そう言っている人間が
 ほんとうに頑張ってるかというと、
 そうでもないんですね。
 頑張ろうという言葉で
 頑張ることができるのは、短いですよ。
 長く続かないです」


「ぼくは、いいかげんなんです。
 選手時代は、途中でいつも、
 あ、これくらいでいいやと思うほうでした。
 だから、それが悔しくて、監督になったあとは、
 もう一度現役に戻って、精一杯やってみたい、
 という気持ちになって、やっていました」


「高校での勉強は、
 ぼくは、余分に2年やっています。
 高校生活は5年。ワルでした。転校するときには、
 『あんなワルを、取っちゃいけない』
 という猛反発がありましたが、野球部長の先生が、
 『いや、そういうワルこそ、見込みがある』
 ということで、1人でかばってくれたんです。
 そのうちに、どういうわけか、
 人が『あいつは野球がうまいよ』という目で
 見てくれるようになったら、立ち直ってきました。
 人に認められるというのは、
 人間が立ち直るいい機会になりますね。
 それからは、このままじゃいけないんだな、
 ということで、だんだんだんだん静かになった」


「強く期待をされているのに、
 『そんなもん、知るかい!』と
 いいかげんなことをやる人は、少ないと思う。
 みんなが期待して認めてくれると、人間は変わる。
 今の若い子たち、
 どうしようもない子たちなんかも、
 そういうものを早く何か見つけて、
 気の入るものを見つけられるといいと思うんです。
 どうしようもない子たちが、多いでしょう?
 でも、ああいう人たちも、
 いくらでも、いい子になると思うんですね」



他にも、もう、いくらでも、去年の
「ほぼ日」での藤田さんの言葉を引用したいくらい!

がんばりたくてもがんばれない機微や、
だけど、ちょっとしたことで変わることができる、
人間の不思議さが、表情から、あふれているんです。

正しいことを言うだけでは
人の感情には何も伝わらない。
優等生だけの世の中はありえない。

そういうことを、さんざん実感しながらも、
「一生懸命、精一杯やるというのが、
 やっぱり、いいんじゃないだろうか?」
と、静かにつぶやいた藤田さんの言葉を、
今秋の講演会でも、うかがいたいと思っています。

本人以外からの評判こそ、
本人を浮き彫りにする場合もあるので、
今回は、最後に、去年の暮れの「ほぼ日」にいただいた
さまざまな、藤田さんへのおたよりを、
もういちど、紹介したいと思います。

藤田さんの人生への想像をふくらませて、
読んでみてください。


 田元司さんという監督。
 こんなに、すごい人だったんですね。
 選手みんなから慕われ、愛され、尊敬されている。
 藤田さんは、若い人でも尊敬できる。
 これは、なかなかできることではないですよね。
 私は小学校の教員をしています。
 私は、自分のクラスの一人一人の子どもたちに対して
 藤田さんのような気持ちで向かっているだろうか。
 一人一人を理解し、愛し、認めているだろうか。

 毎日、読むのが楽しみでした。
 終わってしまったのが残念です。
 時々、思い出しながら、日々の仕事を
 やっていけたらいいなと思っています。
 すてきな対談ありがとうございました」



 一杯っていい言葉なんですね。
 今までは、なんでも精一杯やるの当たり前じゃん。
 本当にやる人はそれ以上のなにかがあって
 出来るんだよ、たぶん、と自分に言い聞かせて、
 その当たり前の精一杯でさえ、
 やらずに生きてきたんだなぁと思ってます」



 田さんのお話は、今の自分に
 最も必要な人生論だ!と気づきました。
 桑田選手が高校の頃から
 絶えずメモをとっていて監督に見せたくだりは
 ぐっとくるところがあったのです。
 最近の自分。日々に追われて3日前くらいのことでも
 もう思い出せなくなっている。
 これではいかんと思って、桑田選手を真似て?
 毎日のメモをとることにしたのです。
 箇条書きで、どんなことが気になったか程度のものを。
 これをやってみると自分のいい加減さがわかったり
 日々を真剣に、意思を持っていきていかなくては、
 という自分の戒めにもつながりました。

 他に印象的だったのは、
 『昔の選手なんか、
  自分を含めて大した事ないんですよ』
 と言い切ってしまった藤田さんの度量の深さと謙虚さ。
 偉そうに昔のことを話す方が多い中で、
 さすがと思いました。
 他にアイディアの大切さ。
 上司が部下と一緒に悩んでいては話にならない。
 どうしたらよいかの方向付けをしてあげるべきなんだ、
 との言葉は今の自分には耳が痛かった‥‥」



 載初回の桑田投手の話から始まって、
 話の内容を自分に置き換えてみると
 何度となく心の触れられたくない部分が
 チクチク痛みました。
 連載中も『痛い、苦しい‥‥』と
 思いながら読んでいました。

 でも連載最終回で
 『そうか、人は傷を抱えたまま
  生きて行っても良いんだな』
 『これからもたくさん失敗しても良いんだな』
 と気持ちが楽になりました。
 人は前だけ向いて歩いていても、
 後ばかり振り向いて立ち止まっていても、
 ダメなんですね。
 何だか許せるような、許されたような
 そんな気持ちになりました」



 田さんの連載、
 最後、涙が出ちゃいそうになりました。
 会社なので必死に我慢しましたけど。
 そうですよね、いくら、素晴らしい指揮官がいて、
 素晴らしい選手が居ても、上手くいかないこととか、
 行き違いとかは、ありますよね。
 藤田さんはそれを未だに、傷として持っている。
 未だに、後悔している。

 選手のほうでもそのことを
 傷として持っているのかもしれないですけど、
 そうだとしても、藤田さんがそのことを
 今でも傷として抱えている、って知ったなら、
 それはとても救われる思いがするのではないかなあ、
 それはとても、幸せなことだなあ、と思いました。

 そう思ったら、今までの自分の、
 様々な行き違いとかすれ違いとか、
 なんかそういう思いとかが、
 ちょっとこみ上げてきちゃいました」



 んだか毎日、ブラウザ開いて、
 読み終わっても何故か閉じられなくて、
 しばらく余韻を味わっていました。
 今回の連載で、藤田監督に対するイメージは
 どんどん変わっていきました。
 いわゆる『やんちゃ』だった若い頃のことを
 『とにかくいつも怒っていた』
 って表現していたのが印象的です」



今週は、3人目の長老を、静かに、ご紹介しました。
当日は、darlingとふたりで話すというかたちでの登場予定。
耳から入る智慧の実を、もう、今からたのしみにしています。

2003-07-04-FRI

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