おとなの小論文教室。

受験のテクニックとして、小論文の書き方を勉強した?
その後は、ナイスなテキストを書いていますか?
考えること伝えることの愉快を、ここで味わいましょう。
ありがたいことに、小論文というものを
考えたり、たのしんだり、たくさん読んできた
カジュアルで優しい先生がいるんです。
さぁ、山田ズーニー先生、お願いしまーす。

Lesson1090
おたがいの「真実」の尊重

「自分はそういうつもりはなかった」、
けど、相手は傷ついていることがある。

だったら、自分が傷つけられたと思う時、

「もしかしたら、相手はそういうつもりでなく、
何か事情があったのかも」

と1回思ってみて損はない。
ほんの一瞬、その視点を持つだけでも、
心と頭の風通しはよくなる。

たとえば、

上司が完全に不注意で手があたって、
卓上のカップをガタン!と倒してしまった、
コーヒーがこぼれたとする。
ほんとに、ただ、それだけのこと。

しかし、そこにいた部下は、
「上司の機嫌をそこねてしまった、
威圧された、どうしよう」
と内臓がキリキリし冷汗が出てくる。
こういう場合、

どっちも「真実」、どっちも尊重できるかどうか?

“ちょっと待って、
ただの不注意でカップが倒れたんだから、
上司が真実。
誤解した部下は間違ってるんじゃないの”
と思った、そこのあなた、

わかるわかる、かつて私もそうだった。

かつて、私は、誤解された時、
「自分は絶対に悪いことはやっていない。
だから真実は私が握っている」
と言ったことがある。

すると、それを聞いた友だちは、
そうではないと、

「人の数だけ真実はある。」

と諭してくれた、『ミステリと言う勿れ』を引用して。
(田村由美さんの漫画、ドラマ化もされている)

その後の私のコミュニケーションの
あり方を変える一言だった。

どういうことかというと、
さきの上司と部下で言えば、部下は、

「たとえ誤解であっても本当に傷ついている。」

部下は、ガタン!とカップの倒れる音に、
ビクッ、とする。
この体のビクッ、は決して演技などではない、
本物の全身の怯え(おびえ)だ。

瞬間、過去に威圧された記憶が蘇ったなら、
それも、実体験からくる本物の感覚だ。

やがて、内臓が締め上げられるように
キリキリと痛み出し、冷汗が出てくる。

その記憶も、痛みも、汗も、
まさに部下の体と心に今ほんとうに起こっている
紛れもない「真実」。

こういう場合、
コミュニティマネージャーとか、
まわりの人たちはどうしたらいいのか。

「どっちが悪いか? どっちが正しいか?」

と、やりがちな人や集団も多いと思う。

もちろん世の中には、
犯罪に相当するくらいの上司の威圧も
実際あるから、その問いに意味がないとは言えない。

けど、この場合は、ただすれちがっているだけ、
本来ふたりは対立していない。

そして、こういうケースは、
対面の人間関係でさえ多くあり、
ましてやネットの人間関係ではなおさら多い。

こういうケースで、周りの人が、
どっちが悪いか、どっちに味方するか、
で動いてしまうと、
対立や分断を際立ててしまう。

「どっちも真実、どっちも悪くない、どっちも尊重」

という仮説を立ててみてはどうか。

甘い、と言われるかもしれない。

しかし、教育の仕事を通して、
数えきれないほどの人の人生に触れてきて、
われわれの日常で起こっているいざこざは、

「だれも悪くない」、もしくは、
「みんなが少しずついたらない」
ケースも、とてもとても多いのだ。

私がやりたいことは、
上司の味方につくことでも、
部下に味方することでもない。

私自身の立ち位置は、
フリーランスという、
上からの圧力を受けやすい立場だ。
けど、ひとたび授業となれば、
教育者として生徒を威圧しないよう
気をつけなければならない立場になる。

ひとりの人間が、
上の立場にも下の立場になる、
場によって年長者にも年少者にもなる、
ということは実際、多いのではないか。

だから、
弱い立場を守ろうとしてくれる存在も、
私には涙が出るくらいありがたいし、
上司の側の気持ちをわかろうとしてくれる存在も、
ありがたい、必要だ、と思う。
じゃあ、どっちなんだ、と言われそうだが、

「私がやりたいのは両者に橋を架けることだ。」

コミュニケーションは、
人の心と心に橋を架けるような行為で、
気づけば私は、ずっと、
橋を架けよう、橋を架けよう、として
生きてきたように思う。

この場合も、
誤解された側か、誤解した側か、でなく、
上の味方か、下の味方か、でもなく、

「どうしたら両者に橋が架かるか?」

と無意識に考えてしまう自分がいる。

こじれた糸を、強いチカラでひっぱったら、
よけいにきつく固くなってしまって
ほどけなくなってしまう。

だから、こういう場合は、まわりは、そっと、
少しずつ、少しずつ、ほぐしていくように、
じっくり、じっくり、

「話し合うよう助ける」

のがいいのではないだろうか。

おたがいの気持ちを伝えるように、
おたがいの想いを聴きあえるように、もっていく。

話しあい、理解が深まるにつれて、
上司はほんとに威圧などしてなかったと
誰の目にも明らかになったなら、

まわりは、
“上司は威圧なんかしていなかった、
だから部下が間違ってた、謝れ”
と、なるんじゃなくて、

それでも部下の真実にも寄り添えるか。

「誤解だったとしても本当に怖かったよね」
と部下の身と心に起こった真実を認め、
そのうえで、

「部下の上司に対する恐怖心は、
どんなコミュニケーションをすれば緩和していけるか?」

と考えていったらいいのではないだろうか。

コミュニティでいざこざが起こったら、
どっちが悪いか、と早々に裁かない、
片方に味方しない、と、私は私に言い聞かす。
まず、

「それぞれの真実の尊重」

そのうえで、

「疎通を促す=話し合えるよう助ける」

本来架かる橋は、
一つでも多く架けていきたい
と私は思う。

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【満員御礼!】この講座は満席になりました。
キャンセル待ちも締め切りました。
たくさんのお申込みありがとうございました。

宣伝会議 表現力養成コース

編集・ライター養成講座20周年記念講座

山田ズーニー専門クラス
——–伝わる・揺さぶる!文章を書く

山田ズーニーです。
私は、これまで北は北海道から南は鹿児島まで、
大学・高校生から
ビジネスマン・プロのライターから作家まで
幅広い層に、数えきれないほど表現講座を開いてきました。
その原型が生まれたのが、
宣伝会議の編集・ライター養成講座でした。
現在も講師をつとめており、毎回、
受講者に次のような声をいただき手ごたえを感じています。

 

・自分の想いの根幹を探るという経験を
こんなにじっくりと時間をかけてやったことはなかった、
得難い経験でした。

・終了したとき、この講義の意図が
身体にしみわたるように理解できた。
コミュニケ―ションが苦手だったが、
非常に楽しく有意義に受講できた。

・自己開示が苦手だったが、一気に開くことができた。

・現実の出来事を多角的に見て、表現のヒントを探すことは
全ての実務に活かせると思います。

・自分の可能性を信じようと思えた。
自分はつまらない人間ではない。

今回20周年を記念して、ご担当者の、
「この先を行く特別な講座をひらきたい。
表現力をつけたい気持ちはあるものの、
そもそも自分に伝えたいことはあるのか、
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自分を貫くテーマを発見したり、
相手の心に響くように伝えるコミュニケーション力を
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という志に共感しました。
2時間×12コマで、
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相手に伝わる表現、社会に説得力を持って書く、
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までを責任を持ってサポートします。
ひとりでは気づけない自分の潜在力も、
多彩な仲間とともに引き出しあえるから開花します!
表現を通して他の受講者と心底通じ合える
「感動」の授業です。
心を揺さぶる文章を書きに、ぜひ、来てください。

あなたには書く力がある。

●詳細・お申し込み・お問い合わせは、すべて
こちらのページから
(株)宣伝会議 教育事業部 担当:小林Tel.03-3475-3030まで
*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。


表現して人とつながる勇気のレッスン!



『理解という名の愛がほしい。』
河出文庫

会社を辞めた私がツラかったのは、まわりが
平日の昼間うろうろしている
無職のおばさんと見ることだった。

それまで仕事をがんばって経験を積んできた
他ならぬ私をわかってほしい。

この発想・考え・想い・感性が、
かけがえなく必要とされたい。

理解という名の愛がほしい。

「理解されたいなら、自分を表現しなきゃだめだ。」

やっとそう気づいた私は、
インターネットの大海原で
人生はじめての表現へ漕ぎ出した。


山田ズーニーワークショップ満員御礼!

いったんウェイトリストを締め切ります。

2017年6月開講したワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」
にたくさんのお申込みをありがとうございました。

大好評で即日満席、
2期、3期、4期と増設するも追いつかず、
1年待ちのウェイトリストのみ受け付けておりましたが、
現在までに12期分のお申込みがあり、
2年待ち以上の方が出てくる見込みが強くなりました。

責任を持って対応するため、
ここでいったんウェイトリストを締め切ります。

言葉の表現力をつけたいと
申し込んでくださった方々の想いを大切に
受け入れを進めてまいります。

 

●この講座に対するすべてのお問い合わせはこちらへ。

お問い合わせ先 
毎日文化センター東京 TEL03-3213-4768

http://www.mainichi-ks.co.jp/m-culture/each.html?id=699

2018年以降、東京開催、詳細未定、1年待ち。

*「ほぼ日」へのお問い合わせはしないでください。
*コラムの感想メールでお問い合わせはしないでください。

 

ワークショップ型実践講座
「伝わる・響く!言葉の表現力をつける」

――3回で一生ものの書く力・話す力が育つ

書くことによって、人は考える。
自分の内面を言葉で深く正しく理解する。
そのことにより、納得のいく選択ができるようになり、
意志が芽生える。

さらに、

言いたいことを、相手に響くように伝えられるようになる。
インターネット時代に、広く社会に
説得力を持って自分の考えを発信できるようになる。

書く力=想い言葉で表現するチカラを鍛えれば、
自分を知り、自分を表現することができる。

自分の想う人生を、この現実に書いて創っていける。

あなたには表現力がある。

山田ズーニーワークショップ型実践講座、
2017年6月東京で開講しました!


「おとなの小論文教室。」を読んでのご意見、ご感想を
ぜひお送りください
題名を「山田ズーニーさんへ」として、
postman@1101.comまでメールでお送りくださいね。

注:講演など仕事の依頼メールは、
上記アドレスに送らないでください。
山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)に
直接ご連絡いただくか、
山田ズーニーの本を出している出版社に
連絡先をお問い合わせのうえで、
ご依頼くださいますようおねがいします。


★出演情報などお知らせのあるときは
 山田ズーニーのtwitter(@zoonieyamada)にも掲載します。



『半年で職場の星になる!
 働くためのコミュニケーション力』
 ちくま文庫

あなたが職場の星になる!コミュニケーション術の決定版。
一発で信頼される「人の話を聞く技術」、
わかりやすい報告・説明・指示の仕方、
職場の文書を「読む技術」、社会人としてメールを「書く技術」。
「上司を説得」するチカラ、通じる「お詫び」、クレーム対応、
好感をもたれる自己紹介・自己アピールのやり方。
人を動かし現場でリーダーシップを発揮する表現力から、
やる気が湧き・上司もうなる目標の立て方まで。
この1冊で仕事のフィールドで通じ合い、チームで成果を出していける!
自由はここにある!


ラジオで、山田ズーニーが、
『おかんの昼ごはん』について話しました!

録音版をぜひお聞きください。
「ラジオ版学問ノススメ」(2012年12月30日~)
 インターネット環境があれば、だれでもどこからでも
無料で聴けます。
 聴取サイトは、http://www.jfn.co.jp/susume/
 (MP3ダウンロードのボタンをクリックしてください)
 または、iTunesからのダウンロードとなります。


ほんとうにおかげさまで本になりました!
ありがとうございます!


『おかんの昼ごはん』河出書房新社
「親の老い」への哀しみをどう表現していいかわからない
私のような人は多いと思います。
読者と表現しあったこの本は、思い切り泣けたあと、
胸の奥が温かくなり、自分の進む道が見えてきます。
この本が出来上がったとき、おもわず本におじぎをし、
想いがこみ上げいつまでもいつまでも本に頭をさげていました。
大切な人への愛から生まれ、その先へ歩き出すための一冊です。



『「働きたくない」というあなたへ』河出書房新社
「あなたは社会に必要だ!」
ネットで大反響を巻き起こした、おとなの本気の仕事論。
あなたの“へその緒”が社会とつながる!



『新人諸君、半年黙って仕事せよ』
―フレッシュマンのためのコミュニケーション講座(筑摩書房)
私は新人に、「だいじょうぶだ」と伝えたい。
「あなたには、コミュニケーション力がある」と。
            ――山田ズーニー。



『人とつながる表現教室。』河出書房新社
おかげさまで「おとなの小論文教室。II」が文庫化されました!
文庫のために、「理解という名の愛がほしい」から改題し、
文庫オリジナルのあとがきも掲載しています。
山田はこれまで出したすべての本の中でこの本が最も好きです。



『おとなの進路教室。』河出書房新社
「自分らしい選択をしたい」とき、
「自分はこれでいいのか」がよぎるとき、
自分の考えのありかに気づかせてくれる一冊。
「おとなの小論文教室。」で
7年にわたり読者と響きあうようにして書かれた連載から
自分らしい進路を切りひらくをテーマに
選りすぐって再編集!



▲文庫版でました!
 あなたの表現がここからはじまる!

『おとなの小論文教室。』 (河出文庫)


ラジオ「おとなの進路教室。」
http://www.jfn.co.jp/otona/

おとなになっても進路に悩む。
就職、転職、結婚、退職……。
この番組では、
多彩なゲストを呼んで、「おとなの進路」を考える。
すでに成功してしまった人の
ありがたい話を聞くのではない。
まさに今、自分を生きようと
もがいている人の、現在進行形の悩み、
問題意識、ブレイクスルーの鍵を
聞くところに面白さがある。
インターネット、
ポッドキャスティングのラジオ番組です。



「依頼文」や「おわび状」も、就活の自己PRも
このシートを使えば言いたいことが書ける!
相手に通じる文章になる!

『考えるシート』文庫版、出ました。



『話すチカラをつくる本』
三笠書房

NHK教育テレビのテキストが文庫になりました!
いまさら聞けないコミュニケーションの基礎が
いちからわかるやさしい入門書。


『文庫版『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
ちくま文庫

自分の想いがうまく相手に伝わらないと悩むときに、
ワンコインで手にする「通じ合う歓び」のコミュニケーション術!


『17歳は2回くる―おとなの小論文教室。III』
河出書房新社


『理解という名の愛が欲しいーおとなの小論文教室。II』
河出書房新社


『おとなの小論文教室。』
河出書房新社


『考えるシート』講談社


『あなたの話はなぜ「通じない」のか』
筑摩書房</small



『伝わる・揺さぶる!文章を書く』
PHP新書

内容紹介(PHP新書リードより)
お願い、お詫び、議事録、志望理由など、
私たちは日々、文章を書いている。
どんな小さなメモにも、
読み手がいて、目指す結果がある。
どうしたら誤解されずに想いを伝え、
読み手の気持ちを動かすことができるのだろう?
自分の頭で考え、他者と関わることの痛みと歓びを問いかける、
心を揺さぶる表現の技術。
(書き下ろし236ページ)



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