YAMADA
おとなの小論文教室。
感じる・考える・伝わる!

Lesson886  読者の声
     ― 2つの文章+文章と相思相愛


ネットで書き続ける人に、何か支えをと想い、

「あなたが文章を大事にすれば、
文章は必ず応えてくれる。
人の文章を深く正しく読めば、
読むことを大事にし読む力がある人が集まってくる。
書く文章を1回1回大切にすれば、
想いはコツコツ伝わり、
想いに添った人生へ導いてくれる。
言葉が誤解され傷ついても、
読む・書く力ある人が、必ず支えてくれる。」

という先週のコラム「文章と相思相愛」 を書いた。

これは、2つの文章シリーズ、
「批判にあっても、恨まず、めげず、とらわれず、
どう心の余裕を見出して書き続けるか?」
について、私が出した「答え」でもあった。

きょうは、
「2つの文章シリーズ+文章と相思相愛」へ
たくさんいただいたおたより、
全部載せられなくて残念だが、
ごく一部を紹介する。


<初めてメールを送ります>

「2つの文章―2.温度差」の、

「ほんのちょっと叱っただけで、
部下が、心折れたの、もう仕事辞めるだの、
過剰反応して疲れる。なんであんなに弱いの?
あれくらいのこと、自分も言われて育ってきた。
と、弱すぎる部下にうんざりしている人も‥‥」

自分のことだ! と思いました。

引継ぎで入社した人に、
早くひとり立ちしてもらおうと指導しました。
その人が同い年だったので、

「なんで自分と同い年なのに、
そんなに弱いんだろう。
前の職場が甘かったんだ。
この仕事が楽だと思ってたんじゃないか。」

と自分基準に考え、
言い方がキツくなってしまいました。
結果その人は体調を崩して、
退職されてしまいました。
コラム「温度差」にあったこの言葉、

「自分の思う30倍も相手は痛いかもしれない」

と、事前に思っていたならば、
冷静になり相手の性格を考えて
指導できたのかもしれない。

(kanoko)


<私も表現者として発信する者です>

以前、私の初めてのライブパフォーマンスに
師匠を招待したところ、
私には何も言わず自身のブログに
私のライブパフォーマンスについて
ボロカスに書いていたのを発見して、
ショックを受けたことを思い出しました。

表現して発信するということは、
もちろん批判も同時にくっついてきます。
そこはしょうがないと思っています。

しかし、直接話してくれればよかったのに
たくさんの人が見るブログに書くなんてひどい! と思い、
そこから尊敬できなくなりました。

その後しばらくして会う機会があり、
師匠がその時の批判について話してくださいました。
しかし内容はものすごく変化し、
以前ブログに書かれていたこととは全く違ったものでした。

そこにまたショックを受けました。

私はずーっと内容を覚えており、
思い出すたびに嫌な気持ちになったものです。
それが変化しているなんて!

私のことブログに書いてましたよね?
と丁寧に伝えましたが、
相手は忘れポカンとしており、
やり切れない感じがしました。

コラム「温度差」
(こちらが30ダメージ受けていても、
相手は1ダメージのつもり、
ひどい場合はダメージを与えている自覚さえない)
を読んで、

批判する側、される側、
本当に温度差があることを知って、
今まで悶々としていたことが

「そうだったのか」

と納得できました。
そして、いつまでも被害者意識にとどまっていないで
前に進もうと思います。

(はまぐり)


<「2つの文章−3.上から目線」を読んで>

私自身、上から目線になっていることがあり、
メールに文脈の節々に、にじみ出ていたと思うと

恥ずかしくなります。

人は、
居丈高になるのでもなく卑下するのでもない状態を
自分で観察していないと

ブレルことがある動物で

それをしっかり見ていかないと
せっかく持っている知識も伝わらないと
今回深く感じました。

(前に進む)



再びズーニーです。

「私はなぜ、ブロックをしないのかな?」

と考えた。
SNSで、私が敬愛する人たちも、
ばんばんブロック機能を使っていて、
ブロックする行為を尊重しているにもかかわらず。

やっと気づいた。

「人は育つ。」

文章表現教育を仕事にし、
4時間で見違える文章を書く人や、
わずか3日間の集中講義で、
別人のように文章表現をする人、

日々、変わる人を見ている。

人は変わる。

きょう、ネットのなかで嫌だと思った人が、
あすは、すごく素敵なことをつぶやくかもしれない。

きっと私は、教育者として
そこを信じているんだな、とわかった。

最後にこのおたよりを紹介して、きょうは終わろう。


<一年たって>

一年前の4月、
会社の意見発表文を提出することになり、

長い文章なんて学生時代に書いたっきり、
もう20年近く経っていて、
どうすれば良いのかと、狼狽しました。

まったく何から書けばよいのか全然検討もつかず、
恋人に泣きついたところ、
貸してもらった本が、
ズーニーさんの『伝わる・揺さぶる! 文章を書く』でした。
本の冒頭の女子高生の文章を読み、

「私もこういう文章書いてる!」

周りの空気を読み、それに合わせることで
自分の奥底にある思いと向き合い
それを掬する(すくいとる)
ことをしてこなかったと、

愕然としました。

そして一年後の今年の4月、

また会社の意見発表文提出があり
2週間かけて1500字の文章を書きました。

結果はなんと金賞でした。

会社でトップの成績でした。

感動した、と言ってくださった方も何人かいました。

一年前の自分では予想できない、結果でした。
自分の心の奥底にあるものを掬いとることが
できるようになっていた。

文章を書くことは時にしんどい作業であり、
途中で投げ出したくなり、
こんなもの面白くない! とふて寝したりしましたが

完成したときには
何日か鼻唄混じり、
ご機嫌で過ごせるくらいの達成感がありました。

楽しい。自分の思いが伝わるのは、幸せ。

(R)


ツイートするFacebookでシェアする


山田ズーニーさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「山田ズーニーさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2018-08-01-WED

YAMADA
戻る