エナガのねぐら。  カワイイ小鳥の観察記 フロム富士山麓
 
今週のエナガ  ぎゅうぎゅう  観察日 2012年5月16日 − 5月22日
 

今週は残念なお知らせと、
うれしいお知らせがあります。

まず残念なほうから。
ずっと観察を続けていた5号巣、
明日にも巣立つかな…という日に、
どうやらヘビに襲われたらしく、
雛がこつ然と消え失せてしまいました。
(おぉぉなんてこった)

16日の午後、観察に出向いたところ、
巣のあたりから親鳥がジュルリジュルリと
大騒ぎをする声がしていました。
あまりの騒ぎに、近所のシジュウカラや
ヤマガラたちが見に集まるくらいでした。

5号巣は隈笹の薮の中に作っているので、
巣を直接観察できず、薮の外から親鳥の
動きを見守るしかありません。

はて、いったいどうしたのかな?
ネコやカケスの気配はないし…
と思いながら、
そのまま様子を見守っていました。

だいたい30分ほどで騒ぎは収まり、
親鳥は巣を離れて、
エサを探しに行きました。

15分ほどしてエサを持ち帰った親は、
巣のある薮に入って行きました。
が、しばらくして薮から出て来た親鳥は、
なんと、エサを持ったままでした。

エサを食べる雛が、いないようなのです。

それから1時間ほど観察を続けましたが、
親鳥は何度もエサを運ぶものの、
一度もエサをあげることはありませんでした。

▲5号巣の親

ダメか…と、私はもう、
心底ガッカリしてしまいました。
ガッカリしすぎて、本当に
「目の前が暗く」なりましたですよ。
(どよーん)

翌朝も、念のため観察してみたところ、
親が時折やってきては、雛を探している様子です。
でもやはり、エサをあげることはありませんでした。

いちおう直接確認してみようと、
薮をかきわけて巣を調べてみましたが、
やはり、もぬけのカラでした。

▲これが5号巣。無念。

巣が壊れた様子はなく、
雛だけがきれいにいなくなった感じです。
したがって、ネコやイタチ、カラス類の仕業ではなく、
ヘビによる捕食、と推測しました。

何日も観察を続けた5号巣、
その順調な様子にすっかり安心しきっていましたが、
いつ、何が起るかわからないのが自然、なんですね。
厳しいなあ、自然。とほほ。

今年はもう巣立ち雛には逢えないのかなと、
ヒジョーにブルーな日々を過ごしていた22日のこと、
家の外から、エナガらしき声が聞こえてきました。

その声の調子が、いつもと微妙に違うような気がします。
はて?と思い、小雨が降る中、
カッパを羽織ってカメラを手にし、
家の周囲をパトロールに出掛けました。
すると、ツタのからまった薮の中から、
かぼそいチチチチといった感じの声が
聞こえて来るではありませんか。

やや!やややや!
これはひょっとして!
薮の中をのぞいてみると…

▲あわわわ…エナガの巣立ち雛だ!

ピピピピピなどと騒ぎながら、
すっごく遅いスピードで、
へらり、へらり、と
飛んだりしています。

▲こここここ、こっち見たー!

親にくらべて顔の黒い部分が多く、
クチバシが黄色くて、
マブタが赤いですね。
これは間違いなくエナガの雛です。
(やったー!ばんざーい!)

雛たちは10分ほどフラフラ移動したあと、
次第に一本の枝の上に集まってきました。

七つ子のようです。
ギュウギュウです。
コレです。コレが見たかったんです。
ギュウギュウのコレが見たかったんです!

ありがたやー。

このあとずっと日暮れまで、
エナガの雛たちを観察&撮影いたしました。

雛たちはまだ自分でエサを取れず、
両親が運んで来るエサを食べていました。

▲雛たちの親鳥。とても元気そう。

ギュウギュウの雛たちの元へエサを運んだり、
カケスを追っ払ったりと、両親は大忙しです。
まことに、ごくろうさまです。

雛たちは、ギュウギュウの状態で
1時間ほど休憩したあと、
数十メートル離れた木まで移動し、
またギュウギュウになって休憩しました。
日が暮れるまで、これを繰り返しました。

▲今度は馬酔木でギュウギュウに。

▲ギュウギュウ!

というわけで、
今週頭は5号巣の失敗でションボリしてしまいましたが、
思わぬ巣立ち雛の登場に、
感謝感激の一週間となりました。

私は毎日、目を皿のように耳をダンボのようにして
家の周囲を探索していたのですが、
それでもまだ気づかなかった巣が、
あったようです。
ううむ。エナガはすごい! すごいっす!

来週は、このエナガの雛たちの様子を、
できるだけ追ってみたいと思います。

 

その10 仕草編2・丸いまま飛ぶ

エナガのまるいとこが好きなみなさん、こんにちは!
今週は仕草編第二弾、「丸いまま飛ぶ」です。

エナガは小鳥ですから、とうぜん空を飛ぶわけです。
普段飛ぶときは、だいたいの場合は、シュッとした
スマートな形で飛んでいるように思います。

それが、なにかの拍子に丸い形のまま、
空を飛んでいることが、あるのです。

ほら!


▲丸いまま飛んでる!


▲離陸の直後。ポッテリした腹が。


▲これも離陸直後。脚もいい感じ。


▲発射!

どうやら、離陸直後や、
あまり速度が出ていない時は、
丸い形のまんま、
空を飛んでいるようですね。

それにしても、エナガはまるで、
翼の生えたゆで卵のようです。

丸いなー。可愛いなー。うははははー。

それではみなさん、また来週〜!

2012-05-29-TUE
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