気象予報士的「アースボール」のたのしみ方。 気象予報士的「アースボール」のたのしみ方。
11月5日、ついに発売されました!
「ほぼ日のアースボール」のセカンドモデル。
もうチェックしていただきましたか?

見た目は、宇宙から見たそのままの地球。
アプリやタブレットをかざすと、
刻々と変化する地球の「今」が見えます。
台風の渦も、熱帯の雨も、アフリカの猛暑も、
ぜーんぶリアルタイムで見れちゃいます。
これがまた、ほんとうにすごい!
おそらく気象の専門家が見ても、
びっくりすると思うんです。

そこで、3人の気象予報士をお呼びして、
実際にアースボールを見ていただきました!
はたしてどんな反応になったのか‥‥。
全6回、どうぞおたのしみください。
ほぼ日のアースボール
02 偏西風は「西」から。
写真
──
今年9月、大型の台風10号が、
九州地方に接近しましたよね。
寺川
はい、ありました。
過去最強クラスと言われた台風でした。
──
じつは、あのときの台風の動きを
データで残してあるんです。
ちょっと見てみますか。
写真
▲今年9月に接近した台風10号。(2020年9月2日~9月9日までの雲データを使用)
寺川
おおおおおお!
佐々木
ちゃんと目まで見えてますね。
坂本
うわー、すごい。
寺川
つまり、このアースボールを使えば、
台風がどのへんで発生して、
どういう進路を進んでいるのか、
そういうこともわかるってことですね。
──
はい。
台風の雲にあわせて、
雨や気温もごらんいただけます。
このときはじめて知ったのですが、
台風の目の中心って、
まわりよりすこし気温が高いんですよね。
寺川
ああ、そうですね。
そんな細かいところまでわかるんですね。
佐々木
日本の天気をやってる気象予報士の場合、
ふだん見ている地上気温のデータって、
日本付近だけのことが多いと思うんです。
全球の気温というのは、
じつはあんまり見る機会がないというか。
ちなみに、そのデータを提供している
アメリカの企業というのは、
ちゃんとしたデータを使ってるんですよね?
写真
──
はい、問題ありません。
カスタムウェザーという会社なんですが、
世界中の気象データを扱う企業も、
そこのものを利用していたりします。
ただ、念には念をということで、
開発途中で気象専門家の方にも見てもらって、
最終的に「問題なし」とお墨付きをいただきました。
佐々木
ちゃんと見てもらったんですね。
じゃあ、問題ないですね。
坂本
ちょっと気になったのは、
海面の気温というのは、
どこの温度のことなんですか。
いわゆる「海面水温」のことですか?
──
このアプリでいう「気温」というのは、
地球の「表面温度」のことなんです。
地面なら「地面の表面」で、
海なら「海の表面」という感じですね。
写真
佐々木
一般の方が見る分には、
それだけわかれば十分ですよね。
だって、これで天気予報を
するわけじゃないんですから。
──
そこはちょっと割り切ったところですね。
やっぱりプロからすると、
もの足りない部分もあるかもしれませんが、
全球のデータを誰でも手軽に扱えるというのが、
このアースボールの価値だと思っています。
佐々木
さっきも言いましたけど、
プロの気象予報士でも外国のほうまで
見ることってあんまりないですからね。
寺川
正直、それがもどかしいときはありますね。
もうちょっと中国のほうが見たいとか、
大陸のほうが見たいのにって。
写真
佐々木
ありますよねー。
寺川
異常気象があったとき、みなさんから
「なんでこういう現象が起きているのか」
ってよく聞かれるんですけど、
そのときに言えることって、
たいてい偏西風の話ぐらいなんです。
それって答えとしては、
あんまり腑に落ちる答えじゃないというか。
でも、こういう全体の流れを見れるなら、
いま地球規模で起こってることが、
なんとなくでも想像してもらえる気がします。
──
ふだん天気予報されるときって、
どれくらいの範囲を見るんですか?
佐々木
見てみますか? 
いま、カバンに天気図が入ってるかも。
通常の日本の天気予報だったら、
だいたいこれくらいのサイズ感ですね。
写真
──
へー、こういうデータなんですね。
えっと、ここが日本だから‥‥。
意外とシベリアのほうまで見るんですね。
佐々木
予想天気図だとこれくらいですね。
実況天気図だともう少し広くなりますが、
それでも地球の裏側がどうなってるとか、
そこまでは見ないですね。
──
すごく素朴な疑問なんですが、
日本の天気予報なのに、
なぜシベリアのほうまで見るんですか?
佐々木
なんでかって言いますと、
偏西風というのは「西風」なので、
上流の状況というのが、
下流の日本にすごく影響するんです。
なので、この天気図も日本の西側にある
大陸のほうを広くとってあります。



ただし、日本よりもっと下流にある
北アメリカの状況を見なくていいかというと、
そういうことでもないんです。
下流のことがわかることで、
いま上流で起きている現象の理由が、
もっと説明しやすくなるというのはあります。
写真
寺川
そういう偏西風の動きがわかるツールって、
けっこう限られてたりするんですよね。
ふつうの方だったら、
なかなかそこまでアクセスできないと思う。
そういう方にとっては、
このアースボールはちょうどいいですね。
1週間前までさかのぼれるわけだし。
──
偏西風の流れというのは、
1週間くらいデータがあれば、
なんとなくわかるものなんでしょうか。
佐々木
ある程度はわかると思います。
とくに秋なんかはわかりやすいですよね。
秋は偏西風がすごいキレイに蛇行して、
すんなり流れていく季節なんです。
「移動性高気圧、温帯低気圧、移動性高気圧‥‥」
という感じで順繰りにやってきます。
移動性高気圧は1日~2日でいなくなっちゃうので。
──
だから秋の天気は変わりやすいんですね。
佐々木
そういう季節的な変化くらいなら、
アースボールでもわかると思います。
秋だったらキレイに雲が
変化していくようすが見られるんじゃないかな。
一方、梅雨は雲がずっと同じ場所で
固定しちゃってたりするでしょうし。
そういう季節による違いを見るのは、
けっこうおもしろいと思いますよ。
写真
(つづきます)
2020-11-20-FRI
ほぼ日のアースボール