第16回 サナギに夢中です。

第14回で、サナギは
「自らの肉体を一度とかして作り直す」
というショッキングな事実をみなさんにお伝えしてから、
サナギが気になってしょうがない今日この頃。
それは読者のみなさんも同じだったようです。
本日は、そんな読者のみなさんから寄せられた
メールをいつもより多めにご紹介していきますね。




『みなしごハッチ』に
サナギのエピソード?!


第14回「サナギの中身どろどろ」から、
脳のどこかが刺激されて、
思わぬ記憶がよみがえりました!

子供の頃に見た、
たぶん『みなしごハッチ』だと思うんですが、
「サナギの液体状の中身」についての
エピソードがありました。

アニメの筋書きによると、とある陰謀によって、
サナギ(たしかハチの仲間)の中身が、
すりかえられてしまうんです。
サナギに穴が開けられて、本来の中身は別の壷へ。
サナギには赤の他人のハチの
「液体のような中身」が流し込まれる。
サナギの孵化を待っていた家族のハチは、
種類が異なる他人が孵化してきてびっくりぼーぜん。
しかし、その本来の中身は、
壷の中で無事育って孵化し、主人公の活躍によって
家族のもとへ帰ることができたのでした。

その、サナギの中身を入れ替える作業が、
確かに「液体を扱う」ように描かれていたように
記憶しています。
大体、壷の中でサナギの中身が無事育つって‥‥。
なんてシュールなんだ!

大人になった今では、
ムシを擬人化して考えることに、
かなり気合の入った想像力が必要です。
だって、見えてる世界とか
感情とか違うと思うし‥‥。
昔は、大した隔てはなかったんだけどなあ。
(『みなしごハッチ』や
 『みつばちマーヤ』があったせい?)

サナギの中身についての真実、知りたいです。
新情報、よろしくお願いします!
(ARROW・東京都)

サナギは溶ける!

長年の疑問を晴らしていただきました。
その昔、「みなしごハッチ」で
お姫様(または王子様)の
サナギに穴を開け、中の液体を入れ替えて
王国のっとりをたくらむ悪者の話があり、
サナギの中は液体なの? と、
ずうっと頭の中に疑問として残っておりました。
ありがとうございました。
(Taka)

ARROWさん、Takaさん、「みなしごハッチ」を
思い出してくださってありがとうございます!
もう、気になって気になって、思わず
「みなしごハッチ」のDVDを購入してしまいました。
セレクションシリーズだったので、
そこにこのサナギのエピソードが
入っているかどうかは分からないのですが、
はりきって見てみようと思います〜!

ちなみに私は、いろいろ調べるうちに、
とうとうサナギを解剖した写真に辿り着きました。
蛹化直後、細胞が崩れてゼリー状になっている様子を、
さすがにじっくり細部まで見ることはできなかったものの、
必要な部分を残しつつ、
あとはとろっとした液体になっている様は、
遠目には植物のようでした。
その状態からだんだんと、眼や口、翅などの組織が
現れてくるのは、そういうものだと思っても、
やっぱり不思議です!

幼虫の体にある「成虫」のもと

大学では一応生物を学んでいた者です。
以前の「虫博士」でご紹介されていた
サナギの中身はどろどろ、
という問題についてですが、
以下のような話を聞いたことがあります。

幼虫の体の中には「成虫原基」とよばれる
大人の体のもとがそこかしこに詰まっており、
サナギの間に、どろどろしながら
それら成虫原基を組み合わせて
おとなの体を形作っているのだ、と。

うまく説明できないのですが、
サナギになっていきなりどろどろと
成虫の体を作りだすのではなく、
幼虫の時点で体内に
成虫の体のもとを隠し持っている、
というあたりが、
虫たちがただ者ではないポイントです。
(アユミ)

なるほど〜、変態って本当に興味深いものですね。
アユミさん、とってもわかりやすい説明を
ありがとうございます!
「成虫原基」。
これはひとつ、虫博士用語として、
覚えておこうと思います。
今日の検索にも登録しておきますので、
気になった方や虫博士を目指す方は、
ぜひ見てみてくださいね〜。

サナギの色は2色?

アゲハチョウの幼虫って、
緑のものと茶色のものがあるんですね。
サナギになるときに緑の葉っぱの所では
緑のサナギに、
木の幹とか茶色の所では
茶色のサナギになります。
脳から出るホルモンが柑橘系の匂いの刺激で、
何色のサナギになればいいか決めるらしいのです。
アゲハチョウって柑橘系の木の葉に
卵産むんですよね。
むし! あんたたちほんとにすごいよ!
(♪iwaki♪)


アゲハチョウのサナギって茶色のような褐色と緑と、
2色あるということ、みなさんはご存知でしたか??
私は、サナギは虫の種類によって2色あるものだと思って、
2色あることを不思議に思っていなかったのですが、
そうか不思議なことだったんだ! と思って、
もう少し調べてみたところ、
アゲハチョウのサナギの色が緑になる条件というのは、
サナギになる直前の幼虫が糸をかける足場が
1,生きた緑色の植物のにおいがする
2,曲率が大きく半径が小さい
3,すべすべしている
4,気温が高い
5,湿度が高い
というように言われているみたいです。
(参考図書:『ワンダフル・バタフライー不思議にみちたその世界』

iwakiさんがおっしゃっているように、
匂いの影響で脳神経から分泌されるホルモンの作用で
サナギの色は変わるようなんですが、
「生きた緑色の植物のにおい」って、
虫からするとどんな匂いなんだろうな〜。

ところでミノムシですが。

ところでミノムシですが、
奴らの中身は芋虫です。
私が子供の頃、
母親がミノムシをつかまえてきて
ハサミでミノを切って中の芋虫を取り出し
きれいな布や折り紙なんかを
細かく切ったものが入った箱に
その芋虫を入れておくと、
きれいなミノムシができるという
遊びを考えだし、よくやっておりました。
ミノムシにとってはひじょーに迷惑な話ですね。
小さい頃の記憶なので曖昧ですが、
芋虫は黒っぽい色の地味な感じの
虫だった様に思います。
なつかしー。
(ちゃまるねこ)


ちゃまるねこさん、
気になっていたミノムシ情報を
ありがとうございます!

今まで「秋だなあ〜。」と何気なく秋冬の虫として
頭を素通りしていたミノムシ(ミノガの幼虫)、
あらためてよく見てみると、
とても変わった虫に思えてきました。

とりあえず、まずびっくりしたのは、
ミノムシのオスは羽化をするけど口がない為、
エサを食べることがないというんです‥‥。
そして、さらに驚くのはメス。
私が見たオオミノガというミノムシのメスは、
タマゴを産むためだけに成虫になるため、
翅はもちろん、手足も目もなく、
一生蓑から出ることはないらしいんです!
蓑の中で交尾をして、
蓑の中でタマゴを産み死んでしまうとのこと。

ちゃまるさんと同じく、
ミノムシは折り紙で蓑を作るか? という理科の実験で、
蓑の部分を切ってミノムシを取り出したりしていたことが、
なんだかとんでもないことのように思えてしまいました。


サナギやミノムシの情報も、
引き続きお待ちしています。
ではまた来週〜!


今回登場した虫たちをご覧になりたい場合は、
こちらをクリックしてどうぞ。

(検索エンジンgoogleの
 イメージ検索を利用しています。)


成虫原基 アゲハチョウ ミノガ


<はらだゆきこさんイラスト壁紙
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2005-11-20-SUN



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